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刻印の花嫁 〜姫の嫁ぎ先は闇の国〜  作者: 森ののか
第2章 ジルダー勇者伝説
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第42話 騎士団員に悶えられる奥様

長く空いてすいませんでした~

本日より再開します!

「わあー、可愛い!」


小さな置物を手に取り、嬉しそうに口元を綻ばせるロゼッタ。

王都にデートしに来ていたクロフォードとロゼッタは今彼女の希望で雑貨屋に来ていた。


「欲しいのか?」


さっきからあれこれ目移りしている彼女に、彼は話しかける。だが彼女は首を横に振った。


「欲しいですけどひとつに決められませんし……」


「なら全部買えばいい」


平然と言ってのけたクロフォードに彼女は目を丸くする。

ここにあるのは可愛いものばかり。

あれもこれもと目移りして、欲しいなと思ったものは二十を超える。

こういう時は何も買わない方がいいのだ。


「全部なんてありえません! せめてひとつです」


「だがその程度なら安いものだぞ」


その一言を聞いてロゼッタは内心ため息をついた。

しかも彼は心の底から善意で言っているようだからたちが悪い。

仕方がないから、ほんの少しだけ高めの置物を手に取った。

全部買われるよりはこっちの方がましだ。


「これ一個だけで……」


「それだけでいいならいいが……」


流れるような手つきで彼女から品物を受け取った――と言っても彼女は渡していないが、クロフォードはさっさと支払いを済ませて唖然としているロゼッタの手に戻した。

それを見ていたデート中の女性騎士三人は思った。

もうちょっとどうにかならなかったのか、と。



「みんなー? もうちょっとで団長が来る時間だよ!」


クロフォードたちより少し先に喫茶店に行っていたドロテアが店内にいる団員たちに声をかける。

大半が自分の妹や姉と来ていて、若干可哀想な感じになっている。

それから、女装している四人は女装していると言われないと分からないほど女性になりきっていた。

何を隠そう、女性騎士三人に遊ばれたのである。


「じゃあ俺たちはちょっとあとから入るな」


怪しまれないためクロフォードたちが来た後に入店する組が店を出る。

そして各々好きな席に座ると、頑張って自分の家族とカップル感を出し始めた。

なお、話している内容はまったく恋人感がない。


「いらっしゃいませ」


店内にそんな声が響いた。

団長が来たと、みんな一斉に気を引き締める。


「わあ、素敵なお店ですね!」


張り詰めた空気が一瞬で和んだ。

彼らの視線の先にいるのは、団長であるクロフォードの隣にいる人物。

栗色の髪に可愛らしい顔立ちで、白いワンピースを着た少女。


「待って……あの超可愛い女の子があの団長の奥さん……?」


「嘘だろ……?」


信じられないという声がそこかしこを飛び回っている。


「ご注文はお決まりですか?」


「えー、どうしましょう。チーズケーキとフルーツタルトで迷います……」


当のロゼッタは、割と真剣に何を食べるか迷っていた。

彼女は無類の甘いもの好きなので、天界ではよく蜂蜜クッキーを食べている。


「どちらも頼めばいい。半分ずつ分けて食べれば値段は同じだ」


「え?」


突然のそんな提案に彼女は思わず聞き返した。

まさかそんなことを言われるとは思っていなかったのだろう。


「そんな、私のためなんかにそこまで……」


「今日来たのは君のためだ。迷惑だとか、そういうことは思っていない」


その顔で言われるとあまり説得力がないのだが、彼は元からそういう顔なので仕方がない。

少し迷っていたロゼッタだったが、やがて意を決して彼のほうに向きなおった。


「じゃ、じゃあお言葉に甘えて……」


周囲では、その不安そうな上目遣いを見て多くの団員が悶えていた。

注文しているクロフォードの横で、ロゼッタがメニューをぱらぱらとめくりだす。

そして、ぼそりと呟いた。


神酒(ネクタル)飲みたい……」


「どうかしたのか?」


クロフォードが振り返って聞き返す。

彼女は誤魔化すように、


「いえ、なんでもないです」


と笑顔で答えた。

彼は不思議そうに首を傾げ、また店員のほうを向き話し出した。

今回で全体の話数(CoffeeBreakとか合わせずに本編だけの話数で)100話いきました!

すごいね! まだ終わりませんけどね!

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