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刻印の花嫁 〜姫の嫁ぎ先は闇の国〜  作者: 森ののか
第2章 ジルダー勇者伝説
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第34話 アポロンの懺悔

書きたかったアポロン様の一人称回。アポロン様は医術とか疫病とか芸術の神様です。太陽神ではないのでそこのところはよろしく。

死すべき人の子らよ、ごきげんよう。

私はアポロン。

輝ける君(ファイボス)アポローンだ。

タイトルにはアポロンの懺悔、と書かれているんだけど、懺悔しようにも私は完璧なる神だし何も悔いていることなんてないので間違ていると創造神に言っておいてくれ。

まあそういうことなんだが、せっかくだし一つだけ告白しておこうと思う。


先日シェレネ姫が倒れて治療しに行ったとき、同じ部屋に人間ちゃんたちがいたんだけど。

なんだかずっとこちらを見ているからついつい視線の先を追ってしまったんだ。

あの時は彼女たちの視線がひらの方に向いていると思っていてねえ……なんでかは分からないんだけど……

で、思わず言ってしまったんだよ。


『ああ、ひら可愛いよね。わかるよ』


とね。

今思うとあれは絶対私に見惚れていたんだと思うんだ。

既婚者の人間でさえ私に見惚れてしまうなんて、私は罪な神だなあ。


あ、それともう一つ思い出した。

だけどこれは秘密にしていてくれないかな?

もうだいぶ昔のことだしね。


サースシー伯爵は知っているだろう?

従妹の君ロゼッタの養父だね。

そのサースシー伯爵領は今はないけど過去に領民のために借金していてね。

その原因は流行り病なんだけど……あれだけは申し訳なかったと思ってるよ。


あれはいつ頃だったかな。

うーん、二年前ぐらいか。

セリオノーリス伯爵家という伯爵家があるんだけど、あの時は――まあ今もなんだけどかなり傲慢でね。

生意気だから病を流行らせて懲らしめてやろうと思ったんだよ。

ただ私は地上にあまり興味がないからセリオノーリス伯爵領がどこだか分らなかったんだよ。

そこに運よく地上によく行っているディオニュソスが現れてね。

本当なら親友のヘルメスに聞きたかったけどあれも忙しい。

ちょうどいいからディオニュソスにセリオノーリス伯爵領の場所を聞いたんだ。

いやー、酔ったやつに何か聞くのは間違いだね。

絶対にもうやらないよ。

セリオノーリス伯爵領とサースシー伯爵領は隣接していて、ディオニュソスが酔っていたせいでサースシー伯爵領の方がセリオノーリス伯爵領だと言ったんだ。

私の矢がぶれるはずがない。

疫病の矢は一直線にサースシー伯爵領にとんだよ。

すっかり全部終わったと思ったから安心して優雅に茶を飲んでいたんだけどね。

二、三日してから従妹の君が鬼の形相で駆け込んできたから何事かと思ったよ。

一生思い出したくないな。

その時やっと気がついたんだ。

あれ、セリオノーリス伯爵領じゃなくてサースシー伯爵領だったんだね。

あれは本当に本当に申し訳ないと思ってるよ。

信じて。

私が嘘をついたことなんてあったかい?

というわけで私の回は終わりだ。

この輝ける私アポロンをこれからももちろん崇めてくれるよね?

それと、創造神に。

登場回を増やして欲しいな。

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