怪しいセールスマンは突然に…
初めての投稿となります。生暖かい目で見てください…。
主人公にはモデルがあり、メインモデルは皆さん多分お気づきになると思います。
それでは、どうぞご覧ください。
皆様初めまして、僭越ながら始めに自己紹介を。
私の名前は、天野幸吉<あまの こうきち>
仕事はしがないセールスマンをしております。
趣味は読書と映画鑑賞、それから"人間観察"ですかねぇ……
特技は人の悩みを聞いたり、ちょっとしたアドバイスや支援をすることで、その人にとっての幸せをお手伝いすることです。
困っている人は放っておけない性格なものですから、ついつい声をかけてしまいます。
ですので知人からは社交的とも言われたり、お人好し、捻くれた方には"偽善者"とも言われますがね。
セールスマンという職業はこのような性格の自分にとっては天職だと感じています。例え見返りは少ないと言われようが、私はこの仕事にやりがいを感じております。
今貴方が思っている事は、セールスマンと銘打っときながら自分語りが長いし、そもそも何を売っているのか?でしょうかね。
ここだけの話
__"この世の物では無い"商品を提供しています。__
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___どうして彼は、こんな俺を選んだのだろう…
彼は、俺のことを助けると言った。確かに俺の人生の分岐点はこの日が境だったと思う。でも、何故俺だったんだろう…。
今日この日、俺は人生最悪な日を迎える。
___そして、現れたんだ。
あの<セールスマン>が……。
20××年 ○月□日 午前7時45分
__ジリリリリリリリリリリ……___
「ふあぁ~…………………………ん?嘘だろぉ!もうこの時間かよ!」
慌ただしく目覚ましを切って、俺はすぐに制服に着替え家を出た。
玄関を後にする時「朝ご飯はど__」とまでは聞こえたがそんな事は知ったこっちゃない、緊急事態だ。
俺は最近遅刻気味だ、三日連続となれば居残り補習確定、それだけはごめん被る。
夜更かしが多くなってるからギリギリアウトかギリギリセーフを繰り返すことここ1週間。今日は一番やっちゃいけない!って日にこの様だ。
電車からおり、田舎の一本道を走り続ける俺、菊池俊也は朝のホームルームに間に合うことは無かった…………
<<<<<<西之森高校2-1教室>>>>>>
___「DS2ってそんな面白いの?俺1やったけど普通のRPGって感じで期待外れだったし、居残りかかってるのに夜更かしするか?」
「わかってないなー、2はクリア後のやり込みハンパないんだぞ?クリア後が本編って言われてるからな、あれ」
___「んで?ゲームのやりすぎで、シュンヤは結局ホームルームに間に合わん模様(笑)」
「うるさいなー、一々煽るなよマル…」
マル「遅刻して居残り確定になったお前が悪い。ま、俺今日バイトあるから先に帰るわー」
「冷たー」
マル「あ、のぞみちゃん今日は部活じゃん、よかったなー!、一緒に帰ってもらえ」
「バカ……先週彼氏いること知ったばっかりだよ」
マル「え……うん、なるほどなぁ……そりゃゲームばっかりのめりこむ訳だよ。そんじゃあな、元気だせよ……」
そう言いながら一番の友達の丸山義孝、通称"マル"は気まずそうに帰って行った。
そう、ゲームは只の気晴らし。起きていて何もしてない、何も考えてない時間は今の俺にとっては苦痛である。
(結構いい感じに連絡とっていたのに、勘違いだったのかな、向こうからしたら只のいい友達止まりだったのかな)
こういう感じで、自然と片想いしてた彼女のことを考えてしまうのだ。
だからこそ、やり込み要素のあるゲーム。要は長いこと暇が潰せるこのゲームは俺にとっては都合のいい物だった。
放課後 午後17時30分
「やっと終わったよ……っていうか親に連絡すんなし、もー……」
家に帰りたくない…朝ごはんを用意してくれた母が今日の夕飯を抜きにして怒鳴り散らす構図が目に浮かぶ……
家までの道なりで、ここまで足取りが重く感じるとは。遠くまで見渡せる田舎道の景色を見てそれが気を遠くさせる。
___「はい菊池君ちょっと来てー」
後ろから声が、それも今一番聞きたくもない声
うわっ振り向きたくない、っと少し躊躇したのが向こうに伝わったのか別の一人がすぐさま「おい、聞こえてんだろ早くこい」
行きたくもない。呼ばれた理由はわかっている。最初に俺を呼んだのは高坂誠。他ならぬのぞみの彼氏である。
今までこいつとは他クラスで面識も無く話したことすら無かったのに、名前で呼んでいるということは、どうやらのぞみと俺とのやりとりを知っているからだろう。
ただでさえ彼女関連の件にはもう関わりたくないが、仕方ないので大人しく従った。大丈夫、話せばわかる。やましいことは何もしてないのだから。
高坂「なぁ、のぞみは俺の彼女ってわかってるよな?いい度胸してるねー君…」
「あの、俺は彼氏いるなんて知らn」ドゴォ、グンッ!
「ゲホッ、グァッ…」言い終わる前に、目の前の奴は俺の腹に一撃、怯んでお腹を抑えて前のめりになってる顔面に一撃を入れた。くそ、なんて奴だ。まるで躊躇が無い…
高坂「お前ぇの言い訳なんかいらねんだよ!黙って土下座することもできねーのかこのクズ。言い訳を聞きに呼んだんじゃねーんだよこっちは」
やべぇ、怖い…急に態度が変わって、軽い口調からドスが効いた声がする。知らなかったのは本当だとか言ってる場合じゃない。
「すみません……でし_」高坂「聞こえねーよ!」「すみませんでした!」そう言いながら膝・両手を地面につけ、頭も地面に擦り着けた。うわ、土下座ってこんな屈辱感あるんだ。
俺を殴った奴はしゃがみこみ、俺の髪を掴みながら耳元で
高坂「なぁ……俺は大切な彼女が他の男に取られるんじゃないかと思ってめちゃくちゃ苦しんだんだよー、精神的苦痛って奴、わかる?あのさ、お前慰謝料払え。な?わかるよな?これ、あと手切れ金ね、二度と俺の彼女に口聞くんじゃねーよ?なぁ、締めて10万だ、」
いい終えると最後にもう一発、腹に拳を叩き込んだ。
「ゲホッ…ゲホッ…うっぁぁぁ…」息ができねぇ…喧嘩とは無縁の生き方だったからか、俺はみぞおち2発と顔に1発でその場に伏した。
高坂「来週までに払わないと今度は誰とも話せないようにしてあげるから。ちゃんと持ってきてねー。」
向こうも2,3発殴って気が紛れたのか口調はすっかり戻る。
これは自分の彼女がちょっかいかけられたからではない、単にそれを口実として俺から金を巻き上げるたいだけみたいだ。しかも、自分の彼女自分の彼女とのぞみの名前は口にしなかった。
彼女のためではない、自分の物に手を付けられたからその憂さ晴らしも兼ねてる。無性に腹が立つ。
しかし、痛みと恐怖心で身体が動かない。
___「うわ、まじであいつダサい(笑)」
___「すいませんでしたーっ、こんな感じか?(笑)
___「もっとキモいわ(笑)ってか来週だっけ、裏山行くの」
高坂「あぁ、その後に調達した金で打ち上げでしょ!」
取り巻き達と話ながら去っていく。金は俺の金のことだろう。誰が払うかクソが。もうこんな屈辱はまっぴらだ、そもそも10万なんて大金俺には無理だ…。
最後の腹の一撃でうずくまったままの俺は、色々な感情が交差して、唐突に虚しさにかられた。
殴られたことに対しての怒りや恐怖。土下座を強要された屈辱感。想いを抱いてる人があんな奴の彼女になっているという悲しさ。
だが最後に行き着く答えは一つ、どれに対しても何もできず、ただ悪くなった事態に流されてるだけ。そんな無力な自分に対しての虚しさだった。
「クソ……俺がなにしたってんだよ…!」
___「お困りのようですねぇ……少し、お話を聞かせては頂けないでしょうか?」
あまりの悔しさについ口から言葉が溢れたが、それに呼応して誰か声をかけてきたようだ。
「え?あんた……」
俺は予期せぬ声かけに驚き顔をあげるとそこには
___「黒いパンツに白シャツに黒いベスト、いかにも古くさい探偵物に出てきそうな黒いハットを被った胡散臭い人ですが……私は、こういう物です。」
心の声を全部代弁してくれた。っていうか自分で言ってて恥ずかしくないの?え、っていうかなんなんだこいつは、名刺?それも黒い名刺だ、文字が白く打たれている。
異能訪問販売員
天野幸吉
~あなたの幸せをお手伝いします~
※料金は要相談
ヤバい、とんでもないやつに絡まれた。絶対怪しい宗教やマルチ商法の類いだ!どうしよう今逃げれない。まじで災難だ…しかも無駄に顔整ってるからなんか腹立つ。
___「うーむ、やはりこの名刺は使うのやめましょうかね、年頃の男子学生なら逆に心惹かれるものかと思ったのですが……あなたの反応見てると色々とお察しします。」
そんなものに食いつくのは中2病を患ってる奴だけだ、男子学生皆怪しい物に心退かれている訳ではない、この人学生なめてるな。まぁいい、丁重にお断りしよう。
___「まぁまぁ、断る前に名前だけでも名乗らせて下さい。」
また先を読まれた。仕方ない話だけでも聞こう、そしてすぐに帰ろう。
___「私は天野幸吉と申します。セールスマンをしております。」
異能訪問販売って書いてたからそれはわかる。肝心な異能を説明してほしい一番怪しい部分だからなそれ。
天野「失礼ながら、さっきのやりとりを見てとてもお困りの様子でしたので、お声をかけしました。」
だから異能の説明……って、こいつさっきのやりとり見てたの?だったら警察呼べよ!
天野「まぁ折角の商売のチャンスですし、それに貴方が欲しいのは警察では無く、この私だと思いますよ…。」
なんなんだよこいつは、さっきから心を見透かしてきて気味が悪い…。
「あの、さっきから言っていることがよくわからないんですけど。そもそも、異能ってなんですか?一番気になるんですけど。」
あれ、なんでこんな質問してるんだろう。
天野「ふむ……一口で言うなら魔法、が一番近いでしょうか。ただまぁ、一つ違いを言うなら……あ、お客様もしかしてご興味がおありでしょうかね!?」
「べ、別に…俺はただ話を早く終わらせ__」
天野「ならば百聞は一見にしかず、ですかね!」俺の話に割って入り、その怪しい男は指をパチンとならす。
「あ、あの俺早く行きたいんですけど。用事があるので。」
天野「あ、くれぐれもその場から動かないことです。下手に動くと、身体がネジ切れますので」「え?今なんて_」不穏な発言を確認しようとしたその時だった!
俺と男の足元の周りが急激に黒い穴が広がる。そしてその穴は二人とも飲み込んだ!「なんだよ!これええぇぇぇぇ!……………………」天野「お気をつけて下さーーい!」
あぁ、俺死ぬのかなぁ……ちくしょう……よりにもよってこんな胡散臭い奴のせいで…
そしてそのまま俺は、その暗く深い暗闇に落ちていったのだった……。
___いやぁ、彼の事は今でもよく覚えております。いかにも、普通の高校生って感じですよねぇ…。
よく悩み、そして困難という壁にぶち当たる。まぁ彼についてはその壁があまりにも大きく、彼自身の力で乗り越えるのは無理でしょうねぇ…。
なので、私がささやかながらアドバイスと、ちょっとした商品を彼に提供しました。さて、少しお話が長くなりましたので。ここでちょっと、休憩を。
え、続きが気になりますか?お茶でも飲んでリラックスしてからにしましょう。ここからのお話は……異能を知らない皆様には更に奇怪なお話になるので…………。それでは、また…。
初めての作品を連載にするという計画性の無さ……
次回は不良にボコボコにされちゃった俊也が幸吉と商談に入るとこからです。
もう執筆はしてますが、いかんせん纏まらないものですね…頑張ります……。
読んでくださった皆さん、今後ともよろしくお願いいたします。