表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
彼岸の聖者  作者: 空波宥氷
5/39

友香の家・神津探偵事務所

主な登場人物

 

・反町友香(ソリマチ ユウカ

中華街に暮らす探偵少女。中学2年生。

ピンク味の帯びた白い髪に、赤い瞳を持つ。

茉莉花茶が好き。


・青山清花(アオヤマ サヤカ

神奈川県警の刑事。友香の姉的存在。

英国人と日本人のハーフ。

灰色の髪色に青い瞳という身体的特徴を持つ。


・神津柳(カミツ ヤナギ

中華街で探偵事務所を営む女性。

カールしたショートボブと眼鏡が特徴。

友香の叔母にあたる。


「で?まーた危ないマネしてきたわけね?」



 手を腰に当てた小柄な女性が、ソファに座った友香を見下ろしていた。



「あら?ちゃんと清花に連絡したわよ?」

「あのねぇ、いくら清花に電話したからって、人が殺されたところをウロチョロしてたらダメでしょうが」



 彼女は神津柳かみつ やなぎ。友香の叔母にあたる人物だった。



 柳の風貌は若く、20代中盤に見えるが32歳。身長は160センチほどで、カールしたショートボブをハーフアップにしており、楕円形の眼鏡が理知的な雰囲気を醸し出していた。

 彼女は、探偵業を営んでいる。今日は非番だったからか、ポロシャツにジーパンとラフな格好をしていた。


 清花と別れた友香は、下宿先である柳の事務所へと戻っていた。

 買い物から帰ってくるのが遅かったことを訝しんだ柳は、当然彼女を問い詰める。そんな叔母に、友香はサラッと事の顛末を話した。その結果、友香は柳の小言を聞く羽目になっていた。



「何かあったらどうするのよ」

「まぁ、結果良ければ全て良し、よ?」

「よくないわよ。全く……」



 テーブルを挟み、友香の向かいのソファに座った柳は頭を抱えた。


 友香はいつもこうなのだ。年頃のせいなのか、性格なのか彼女は好奇心旺盛で、気になることがあるとすぐ首を突っ込んでしまう。彼女自身は、危ないことはしないと言っているのだが、柳は心配でたまらないのである。

 

 また、今回のように、進んで事件に関与してしまうことも以前に何度かあり、その度に友香に苦言を呈するのだが、どこ吹く風と軽く流されてしまう。柳が友香にいいようにあしらわれてしまうのは、お約束だった。



「あ、そうだ。はい、お釣り」



 ふと思い出したように、スカートのポケットを弄る友香。花の模様が刺繍されたガマ口の財布を取り出すと、柳に釣銭を差し出した。



「ああ、そういえば買い物頼んだのよね……ありがとう」



 お金を受け取り、ソファから立ち上がる柳。



「買った物は台所に置いておいたわよ。ほうれん草は冷蔵庫の中ね」

「ん。助かったわ」



 柳が頷くと、友香はソファから立ち上がり、



「じゃあ、私、またちょっと出かけるから」

「またどこか行くの?夕飯までには帰ってくるのよ」

「ええ、餃子楽しみにしてるわよ」

「はいはい……ってなんで知ってるのよ」



 小走りに自宅を出て行く友香には、柳の声は聞こえていないようだった。

 一人になった事務所で、彼女は割と真剣な表情をして呟いた。



「今晩は小籠包にしてやろうかしら……」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ