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【短編集】無題の自由帳  作者: あぼだ
9/12

エメラルドの欠片

昼はさわさわ涼しく、夜はとっぷり静かな森の奥、ひっそり佇む小屋の中に、少女の姿を模した蝋人形が1体。

緑のスカート、ベレー帽、束ねられた髪は、一本一本がまるで本物のように繊細に作られている。まるで生きているかのように、大きな瞳がこちらを見ている──。

なんてエピローグが似合うような可愛さを持つ私、ラルドレちゃんは、今、とある街で迷子になっています!!

木はほ〜んのちょっとしか生えてなくて、大きな石から作られたような、高い高い建物がたくさん生えています!あと、すごい速さで道を走るよくわからないものが、たくさんいます!道に立ってる大きな青い板には、見たことない文字と、見たことない絵が書かれてます!なんだろう、矢印、かな?

ここはどこなのかお尋ねしたいのだけれど、私はこの街の言葉も話せません!もうどうしよう!!絵でならきっと、ある程度のことは伝えられそうなのだけど…

近くに絵の得意な人、いたりしないかしら…それか、私の話す言葉が分かる人。


「こんにちわ!」

「こんにち…え?」


いきなり挨拶してくれたのは、真白いふわふわ髪の、小さな女の子。


「あなた、私の言葉が分かるの!?」

「うん?あれ?なんで?おねーさん人間さんでしょー?」


さすが、子供は純粋と、本で読んだ通りだわ!

この子は普通の人の子じゃないって、すぐにわかった。


「あ、…ううん、実はね、迷子になってしまったの。」

「うん!なんかこまってるなーって思ったもん!」

「そうなの!困ってたのよ!ここはどこか教えてくれるかな?」

「んっとねー、ここはね、ちきゅうの、日本!」

「にっ…ぽん…?」


聞いたことのない地名。ここが地球なことは知ってるけれど。にっぽんって、国の名前なのかしら?

そうして悩んでいると、女の子は私の心を読んだみたいに、色々な事を教えてくれた。

日本はとても自然が綺麗であること、色々な人がお互い優しいこと、食べ物がとても美味しいこと。どうやら、悪いところではなさそうだわ。ちょっと冒険してみようかしら。


「教えてくれてどうもありがとう!」

「どういたしまして!お人形さん!」

「…え!?どうして私が人形だってわかったの!?」

「あはっ、やっぱりー!だって、ふつうの人のにおいとちがうんだもん!宇宙人のあたしのお鼻はおりこうさんなの!」

「う、宇宙人?あなた宇宙人なの!?」

「えへへ、いまは人にへんしんしてるけどね。ね、このまちあんないしてあげるから、お友だちになろうよ!」


お友だち。とても久しぶりに聞いた言葉。

しかも、こんなに幼い女の子に、たくさんの私にとっての初めてが詰め込まれていて、そんな素敵な子と友達になれるなんて、夢見たい!

どうやら私の冒険は、とっても楽しくなりそう!


「あなた、名前は?」

「アルファルドだよ!アルファってよんでいいんだよ」

「ふふ、じゃあアルファちゃんね。私はラルドレ!」

「ラルドレちゃん!よろしくね!」

「こちらこそ、よろしく!」

森から徒歩で来た(?)蝋人形

ラルドレ


とある木こりが趣味で作った蝋人形に、ある日突然、命が宿った。

好奇心旺盛で明るい性格。

森の外の事については殆ど無知。

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