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心城さんちの変な家族  作者: 心之助
6/9

六日目「私の存在が薄いお姉ちゃん」

 今回は零花ちゃんのお見合い回でーす。

「......とうとうこの日が来てしまった」


 と、お父さんが悲しそうな声で呟いた。


「さ、零花。これからお見合いする御三方に失礼のないようにね」


『う、うん、お母さん』


 そう、今日はこの私『心城 零花』のお見合いの日である。


 最初は半ばやけくそ気味でお父さんに頼んだら、あっさりお見合いが実現してしまった。


 あ、ちなみに、私以外の弟と妹達は学校に行ってて、今は両親と私だけが家に居ます。

 お見合いは我が家の和室で行います。


 果たしてどんな人達が来るのか、少し不安です。


「お、どうやら来たようだ。私が出迎えるとしよう」


 お父さんが玄関に向かって私のお見合い相手を出迎える。隣の部屋へ三人を招き入れ、段取りを整えてから数分後に最初の一人が襖を開けて入ってきた。と同時に彼は私の顔を見て目を丸くした。


「! 美しい......ハッ!? こ、これは失礼しました!」


『い、いえいえ、お気になさらず!』


 い、いきなり美しいって......わ、私って、こんなにチョロかったの?


「は、初めまして、『護良(もりなが) 誠治郎(せいじろう)』。職業はゲームブランドを手掛ける会社の代表取締役でございます」


『は、はい、心城 零花......です。げ、現在は無職です......はい』


 うわー、うわー、緊張しちゃうぅ、ど、どうしよ、彼の顔が直視できないぃ。


「お、お話しは聞いております。二年前にお亡くなりになったとか.......」


『あ、ううん、気にしてないです。あ、でも幽霊になって不便に感じる事は多いですね。はは』


「そ、そうなんですね、はは......」


『あはは.....』


「......」


『......』


 て、うおぉい!? お話しオワタ!?


 あ、あれ? こ、これは向こうも緊張してるのかな?


 と言うか、この人確かゲーム会社の社長みたいな人だったよね?


『あ、あのぉ、ところで、どのようやゲームを作っておられますか?』


「あ、は、はい、僕は昔っからアクションゲームが好きでして.......」


『へぇ、アクション好きなんですね』


「.....その筈だったのですが、僕が作りたいゲームのジャンルと異なるゲームを作ってまして、やっぱり自分の思った通りにはならないですね」


『ですよねぇ。私も同人を描いてますが、それほど売れなかったりすることがしばしばあるんですよぉ......ちなみに、今どんなゲームを作っておいでですか?』


「......」


 あれ? なんか急に顔が暗く......。


「い、今は......その......(ピー)から(あーん)から(うわーお)そして(Oh Yeah!)です。はい」


『......は、は、は』


「?」


『ハレンチですよーー!!』


「うわぁぁぁぁぁぁぁ!?」


~お父さん乱入~


「ちょ、零花! お見合い相手を念力で投げるな!!」


『はわー!? ご、ごめんなさーい!!』


~お見合い相手救急搬送中~


『う、うぅ、な、なんであんな恥ずかしい事を......』


「いや、だからと言ってあれはないだろ。あれで『人間』だったら瀕死の重傷だったではないか」


 ......ん? 人間だったら?


『......お父さん?』


「あ、いやそのぉ、護良君は、お父さんが魔王だった頃の部下である『四天王』の一人でな。正体は『ガーゴイル』なんだ」


『......まさか、他の二人も?』


「い、いやいや! 一人は人間との間に生まれた子が居るから大丈夫!」


 何が大丈夫なの!? ......そうだよねぇ。冷静に考えたら、私みたいな幽霊なんか好きになる人なんて......。


「すまないとは思ってる。だが、一度でもいいから残り二人とも話してみてはどうだ?」


『......うん』


 はぁ、お父さんに人間のお見合い相手を期待した私が馬鹿だったのかなぁ......いやでも、お父さんが折角用意してくれたんだし、お父さんの言う通り残りの人達とも話してみよ。


~選手入場~


「......『水山(みずやま) (とおる)』。元魔王四天王が一人で、昔は『水龍』でしたが、今は『スライム』です」


 ドウイウコトナノ?


『え、えぇと、ご、ご職業は?』


「今は市役所所員をしております。趣味は人の姿からスライムに戻った際に女性の(ピー)から(ピー)入って(ピー)して(アーッ!)をすることです」


『消えてなくなれぇぇぇぇぇぇぇぇ!!』


~救急搬送中~


『はぁ......はぁ......お、お父さん?』


「......すまん、昔はあんな奴じゃなかったんだ。あれでも元龍だから紳士然としていたのに......そもそもスライムに堕ちたなんて今日初めて知った」


 まだ一時間も経ってないのにこれは酷すぎるよー! うわーん!


「つ、次は私の会社の同僚でもある荒井君の息子さんだ! ほら、さっき言ってた人間との間に生まれた......」


『......むぅ、これでまた変な人だったら、お父さんのこと嫌いになるからね』


「っ!? そ、それは困る! 彼なら安心だから! いや本当に!」


 ......私、なんでここに居るんだっけ?


~選手入場~


 はぁ、どうせ大した事無いに決まって......。


「は、初めまして『荒井(あらい) (れい)』です。16歳の高校生です」


 16歳? 十夜ちゃんと同い年かぁ。さっきの二人よりかはましな美少年、てか顔が中性的で女の子みたい......ん?


『......え、えーと、玲君。君高校生だって?』


「は、はい、以前から零花さんにご興味がございまして、今日は学校を休んできました......」


『そうなんだ。ところで玲君』


「は、はい」


『君は『女の子』だね?』


「!? な、なんで」


『......え? 本当に女の子なの?』


 カマかけたら当たった。なんかそんな気がしたから言ってみたら......。


「ご、ごめんなさい。身体は確かに女の子ですが、心は男なんです」


『えーと、解離性同一性障害ってやつ?』


「......はい」


 とは言え、本当に心が男の子なのかよく分からないな。なんか、なよなよしてるし。


「う、うう、信じてくれませんよね。僕が男だなんて、こんな女々しい感じで」


『ううん、そんなことないよ?』


「え?」


『玲ちゃ、玲君が男だって言うならそうなんでしょ? 身体が女の子だから自信が持てずにいるんだろうけど、まずは自分がどうなりたいかじゃないかな?』


 うわ、なんか偉そうなこと言っちゃった。でも玲君はなんか喜んでるみたいだしいいか。


「お、お父さんから零花さんの写真を見せられた時、なんて美しい人なんだろうと思って、ひ、一目惚れ致しました。れ、零花さんは、こんな僕でも大丈夫ですか?」


『......うーん』


 悩ましい、実質女の子に告白されてんだよね?

......。


『ごめんね玲君』


「やっぱり僕が女の子だから......」


『違うの、玲君。ハッキリ言って玲君は凄いわ。女の子だと自覚していながらも、こうしてお見合いの場に来てくれた。それは並大抵の覚悟じゃないと思うの』


「......で、では」


『お付きあいは出来ないけど『友達』から始めましょ? それで将来的に玲君が男の子か女の子か、どちらの道を選ぶのか一緒に考え、悩んで上げることが出来るから』


「......とも......だち」


~お見合い終了~


『はぁ、終わった。うわ、まだお昼過ぎなんだね』


「......すまん零花。お前のお見合い相手を見付けられなくて」


『別にいいよそんな事......今日、可愛い友達が出来たしね♥』


~おまけ1~


「不死義くん?」


「すまない古都音さん」


 私は『心城 不死義』。今は妻の古都音さんに説教されてる。今回私が用意したお見合い相手が悉く零花に合わなかった事に対してである。


「どうして人間のお見合い相手を見付けられなかったの?」


「いや、探したが、悉く断られた」


「......はぁ、零花が生きていたら話が変わってたのかしらねぇ」


「うーむ、早く生き返らせたいが、『零花の身体』がまだ見付からなくて......いったい誰が持ち去ったのやら」


「......うちの可愛い娘の身体を持ち逃げするなんて、見付けたらお仕置きしなくちゃいけないわね。うふ、ふふふ」


 私も、見付けしだい、そいつを血祭りにするやもしれん。零花の魂がここにある以上は、まだ身体の方は無事だと思うが......。


~おまけ2~


『よーし、今日はイラストでも描こっと......ん?』


 あ、玲君からの添付メールだ。


『......っ!? うひょぉぉぉぉい! ほ、本当に玲君『バニーガール』になってくれたぁぁぁぁぁぁ!?』


 今日のお見合いの後に渡したバニースーツ(お手製)を着て、それを恥ずかしそうに自撮りした写真を送ってくれた!


『うふふふふふ、可愛い~。やはり持つべきは友だね~。今度じかに会ってペロペロしたい~』


「れ、零花ねぇ......」


『うわぁ!? せ、千ちゃん!? いつからそこに!? あ、ああ、ちが、違うの! これは......』


「大丈夫。趣味は人それぞれだし、零花ねぇがそういうの好きなのは知ってるから」


『せ、千ちゃん......』


「ただし、私にそんなハレンチな格好はさせないでね」


『しょ、しょんな~。せっかく千ちゃん用に20着の萌え衣装作ったのに~。うえーん』


「引くわッッ!!」


~おまけ3~


 わたち『しんじょう れいか』さんさい。


 わたちには弟が居ますが、何故かうさぎさんです。


 でも、かわいいので、これはこれで有りだと思いました。


 今日、おかあさんが出産する日です。妹か弟か気になります。


「零花! 一兎! お母さんから連絡があったぞ!」


「ほんとう!?」


「良かったな零花、一兎。お前達に妹が出来たぞ!」


「やったー!」


 次の日、お父さんと一緒に病院に行って、お母さんと新しい妹に会いに行きました。


「おかあさーん! いもうとちゃーん!」


「あらあら零花、病院では静かにね。ほら『十夜』、貴女のお姉ちゃんよ」


「とおやちゃん! はじめまし.......」


 とおやちゃんにはツノが生えていました。


 私の妹は鬼だったのです。


 ━━ま、当時の私は無垢な幼女だったから、この時は疑問に思いませんでした。


~そして、時は流れ~


 わたちは『しんじょう れいか』4歳。


 今日は新しい弟が出来ました。


「はじめまして! 『ひゃっか』ちゃ......」


 ......種?


「ねぇねぇおかあさん。ひゃっかちゃんは?」


「うふふ、この子が『百華』よ」


 ━━お母さんの手の上にある種が弟の百華だと言う事に気付くまでに、当時の私は1ヶ月ぐらい掛かりました。


~そして更に一年~


 わたしは『しんじょう れいか』5歳。


 今日、また妹ができました。


 とおやちゃんとひゃっかちゃんの事もあるので、今回はどんな妹なのか楽しみです。


「はじめまして! せんなちゃ......おかあさん!?」


「あらあら、どうしたの?」


「『他の子』をつれてきちゃダメー!!」


 ━━千菜ちゃんが先の弟、妹達に比べて普通の子すぎたので、当時の私は、お母さんが他の子を誘拐したのかと勘違いしてしまいました。千ちゃんごめーん!


 その四年後に万璃ちゃんが生まれるんだけど。


 当時の私は、他の弟、妹達のインパクトが強すぎて、特にツッコミも入れずに、生まれてきた事を喜びました。



続く。

 すまない。マトモなお見合い相手が思い付かなかった。マジすまない。次回はお父さんの話しだ。


 ではさらば!

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