62 迷宮都市 カジノ
集中すると楽しいです!
俺と女神達はカジノを経営するクロと名乗る爺さんに、カジノのVIPルームへ案内されます。
へー、お金持ちしか入れないような部屋だね?
年期が入ってるカード台や、何万回と回されたルーレット台もあります。
「勝負内容は貴方に任せます。どのカードゲームでも、ルーレットでも、選んでもらって問題ないです。掛け金は、貴方が本日『この店で勝ったコインすべて』です。貴方が勝てば白金コイン1,200を上乗せさせて貰い、白金コイン2,400枚が手持ちになります。つまり、この店の景品すべてを手にできます。 コイン24万枚分……ですからね? 現金化されても、金貨12,000枚分です。その代わり私が勝てば、貴方が本日この店で勝ったコインすべてを、カジノ側に返却させてもらいます。よろしいでしょうか?」
このカジノを経営する、クロ爺さんが説明してくれます。
「うーん、俺はどれでもいいですよ。そっちの得意な奴でお願いします」
俺はクロ爺さんに伝えます。
「そうですか……それでは……こちらの、ルーレットにしましょうか?」
クロ爺は答えます。
(余程自信があるようですが、これは、私が最も得意とするルーレットです。特にこの台は、狙った位置に落とせる。ここで、ルーレットを選ばせた貴方は、運が悪い……)
「それではこちらへ」
クロ爺は、俺達をルーレット台へ案内します。
「よっこいしょ、よし! ラッキーちゃん、俺の膝に座るんだ!」
「はーい!」
俺は椅子に座り、ラッキーちゃんに膝に座る様に頼みます。
他の女神達は、俺の後ろで成り行きを見守っています。
「本日、ディラーを務めさせて頂く私『クロ・グーイ』と改めて申します。今回の勝負内容は、ルーレットでございます。私が玉を投げ入れ貴方が言った色の箇所に入れば、貴方の勝ちです。貴方が選んだ色以外に玉が入りましたら、私の勝ちです。それでは? どの色にかけますか?」
クロ爺が、俺に説明して聞いてきます。
俺はルーレット台を見てみる、どうも0~35と数字がバラバラに書いてあります。
奇数が黒、偶数が赤、0が緑と、一般的なルーレットっぽいなぁ?
さっきのスロットもこのルーレットもそうだけど、異世界に現代の人間とか混じってるよね?
日本の転生者なのか、転移者なのかは分からんけどさ?
探せば、転生者とかいるかもしれんね?
俺がいる位だからなぁ?
まぁ、昔からあったんなら今生きてる可能性は無い気がするけどね?
「ラッキーちゃん、どれがいいと思う?」
「んー? みどり!」
俺は、ラッキーちゃんに聞きました。
「んじゃ『0の緑』で」
俺は悩む素振りも見せずに、クロ爺に伝えます。
クロ爺はその言葉を聞いて、馬鹿にせずに俯きます。
「分かりました……」
クロ爺は、勝負師の顔になります。
「それでは、回させていただきます! ……入ります!」
クロ爺は、回転するルーレットに玉を放ちます。
俺達は、玉の成り行きを見守ります。
黒いレールの溝を、白い玉が高速で走っています。
回転するルーレットの内側の数字が、見えるようになってきました。
クルクル回ります。
玉を目で追っかけて行くと、頭がクラクラしそうになりました。
そう感じていると、玉の速度がゆっくりなっていきます。
その時、軽い揺れが発生します。
(最近、ダンジョンが活発化してる。寄りにもよって、こんな時に起きなくてもいいのに、それでも私の勝ちは揺るがないがな……)
緑側の対面する位置に、玉が落ちようとします。
(終わったな)
ルーレットの様子を見て、クロ爺は目を細めます。
「ゴゴゴゴ……ドーーーーン!!」
次の瞬間、ものすごい縦揺れが発生します。
(なんだこの縦揺れは!! こんなダンジョンの活性化!! ここ数十年、無かった!!)
クロ爺は思いました。
クロ爺はルーレットの玉から目を離しません。
地震の衝撃で玉は枠の節に当り、飛び跳ね0の方向に転がって行きます!
(させるか!!)
クロ爺は仕掛けを使い違和感が無い様、俺達のいる部屋を『部屋丸ごと2度』傾けます。
(イカサマは駄目でス)
マジちゃんがそのトリックに気づき、カジノの建物を『建物丸ごと2度』傾け、部屋の角度を修正します。
(何故、軌道が変更されない!?)
クロ爺は、目を見開いて、玉が向かう先を見据えます。
「カラン……」
玉が枠に収まる音がします。
玉は0枠『緑の枠』に収まります。
(馬鹿な! ありえない! どうしてなんだ!?)
クロ爺は困惑した表情を浮かべています。
「終わったかな?」
俺はクロ爺を見ます。
「ま、待ってくれ! 今のは! ダンジョンが活性化した、地震によって招いた事故だ! やり直しを要求する!」
「部屋を2度ほド、傾けたのも事故ですカ?」
「な、何のことだ!?」
「とぼけないで下さイ? 地震が起きテ、玉がルーレットノ、中央に行った時ニ、この部屋ヲ、2度傾けましたよネ?」
「……」
「ギャンブラーでしたラ? 潔い方ガ、カッコイイですヨ?」
「……私の負けだ……」
マジちゃんは、クロ爺と話しています。
そうだよねぇ。
パチンコ屋で停電になっても、出玉保障してくれない店もあるからねぇ。
台風の日に、パチンコ屋に行く人の気持ちがしれません。
まぁ、何起きたか分かってないけどね!
てかさ? なんか地震会った時、地面から少し浮いてたんだよね?
すーちゃんか、マジディフェちゃんか、分からないけど地震のダメージを無くさせたのかな?
クロ爺、ルーレットに凝視してて気づかなかったみたいだけどさ?
「これでクロ爺さんからの勝負は、受けた事になりますよね?」
俺はクロ爺に提案します。
「ちょっとほしい物が数点あるので、それを下されば、今回の件、引き分けって事にしてもいいですよ?」
「……何がほしいのだ……」
えっと、それはですね……。
「――――――――――――」
「本当に……それだけで良かったのか?」
「大丈夫だ、問題ない」
俺は、クロ爺さんに聞かれたので答えます。
・鍛冶屋セット コイン300枚
・オリハルコン コイン10,000枚
元々ドワーフのおっさんの、仕事道具回収するつもりでやっただけだしね。
だってあのおっさん、オリハルコンほしくてカジノ通ってたんじゃないかな?
何となくだけどさ。
てか、迷宮都市の一等地とか貰えばよかったんじゃね?
固定資産税やら税金で、維持費取られるから嫌じゃん。
それにしがらみがあると、その土地に固執しちゃうじゃん?
俺達の旅って、もっと自由でもいいじゃん。
あれ? でもすーちゃんの転移魔法あれば、いつでも戻ってこれるよね?
よく考えたら、迷宮都市に税金とか無いような気がするけど。
むしろ金あるから、維持費位は払える気がしなくはないかなぁ。
異世界だし、深く考える必要なかったかなぁ?
余ったコインは、貯玉しとこうか。
てか、貯玉システムってあるのかな?
なければ現金化できないかね?
ん? 預かりはできるんだ。
半年使われないと、消滅するのね。
まぁ、今使う予定無いし預かって貰おうかな。
ラッキーちゃんいれば、いつでも荒稼ぎできそうな気はするからなぁ。
鍛冶セットとオリハルコン貰った残りが、貯コイン大体110,700枚分位かな?
121,000-10,000-300=110,700でいいかな?
屋敷は、よく考えてから貰おうか。
ルーレットの勝負続行して倍プッシュしてさ?
カジノ経営の権利書、貰ってもよかったかな?
まぁいいっか!
「あれ? 皆さん、こんな所に居たんですか?」
エルフのフルちゃんが、俺に話しかけてきました。
地味に、500枚のコインを貯めていたようです。
「貯コインできる見たいだし、余ったコインは預けます。クロ爺さん? 夜逃げとか、できると思わないで下さい。よし、回収できるのはできたから、出ようか!」
俺はフルちゃんに伝えた後、深刻な顔をしているクロ爺さんに夜逃げしないよう伝えます。
さてとりあえず、ドワーフのおっさんまだいるかな?
俺は、カジノの外を見てみます。
ドワーフのおっさんは、泣いてる娘と一緒に質屋に入ろうとしてます。
アホか!?
俺は質屋の前に向かいます。
「ドワーフのおっさん? 鍛冶屋セット、取り返してきたけどさ? 返す条件で、二度とあのカジノに近づかない事が一つ。後、娘さんを泣かせない事、それが守れるなら鍛冶屋セット渡します」
「ありがとう……ありがとう……心を入れ替え、鍛冶します……」
「ついでに、お願いがあるんだけど、こいつを見てくれ? どう思う?」
「すごく……大きいです……」
俺はドワーフのおっさんに、カジノの景品にあったオリハルコンの塊を見せます。
「こいつが、ほしいか……?」
「ほ、ほしいです……!」
ドワーフのおっさんが、目の色を変えてオリハルコンの塊を見てます。
「さっきの条件の他にこいつを使って、エルフのフルちゃんの武器を作ってくれませんか? 魔法が使えない状態でも、効果が発揮できる武器なら尚いいです。報酬は武器製作で余った、オリハルコンでいいかな?」
「あ、ありがとうございます!! 儂は、そのオリハルコンが、叩きたくて! 叩きたくて! 毎日カジノに通ったんじゃ!」
「それじゃ頼みます。目的と手段を、見失うんじゃないですよ? 数日は、この迷宮都市の宿に、泊まる予定だから、できたら言ってね? 間違っても、手を抜くんじゃないですよ? オリハルコンをケチって、残り丸々懐に入れてたら、許さないからね?」
俺はドワーフのおっさんに、フルちゃんの武器製作依頼をしました。
「見ず知らずのドワーフを、助けて下さって! ありがとうございます! 貴方様の、お名前は、何ていうのでしょうか!?」
「そうだな……俺の名は、『アキラ』です」
俺は、ドワーフのおっさんに伝えました。
「アキラ様……ありがとうございます! ワシの、全身全霊を、込めて! 打たせて、もらいます!」
ドワーフのおっさんが感動しながら俺に伝えます。
「流石です、勇者ササキ・アキラ様!」
フルちゃんが俺を褒めます。
また……この子勘違いしてるよ。
もう、日が暮れ始めてるなぁ。
ギルドは諦めて宿屋に向かおうか。
俺と女神達とフルちゃんとマツカは、迷宮都市の宿屋に向かいました。
段々いい感じに、なってきました。




