42 もういいや
腹減りました。
目の前で、暴食を尽くす竜を見ながら、俺は女神達にお願いしました。
次の瞬間、横に居たヴァルちゃんの姿が消えました。
次に目に映ったのは、爆食の竜の首が胴体から切り離された姿が見えます。
ヴァルちゃんが巨大な竜の胴体を、上空に放り投げます。
さっき解体した、巨大猪の様に空中で解体していきます。
大量の肉片と、素材が落ちてきます。
地上でマジちゃんが空中で器用に浮かせてまとめて、収納魔法で回収しています。
周りで倒れてる人を、ひーちゃんが回復魔法を使用し回復していきます。
リリの血は止まり、傷口がふさがっていきます。
勇者は何事もなかったの様に、街の壁に横たわり眠っています。
竜状態のデルはまるで食いちぎられて無くなった左腕など無かったと思わせる位、元通りになっています。
怪我をしたり巻き込まれて瀕死状態の街人は、自分の身体が元の状態まで回復して何が起こったのかと不思議がっています。
俺は竜になったデルのおっさんに近づきます。
「デルのおっさん? 竜のままだと目立つから、人間の状態になれます?」
「……うむ……分かった……」
俺はデルのおっさんに伝えると、煙が出て人族の姿になります。
巨大竜の素材回収が終わったマジちゃんは、パズルを直すかのように崩壊した街並みを組み立ててます。
後、マジちゃんに屋台を回収してもらいました。
あっけにとられる街人達と、俺を知ってる人や、竜族の二人は、言葉も無いまま俺達を見ています。
まるで俺達を「人間じゃない他の何か」って、感じの視線を覚えます。
全てを捨てて、逃げ出したくなるような気分になります。
「どうやら俺達は、面倒事に巻き込まれる性質を持っているみたいですね。この街から出る事にします。短い間だったけどありがとう。それじゃね……さようなら」
「――――――――」
俺達を見ている言葉を失った人達に、そう伝えます。
「面倒事が嫌いだからさ? 俺がこの街にいると、面倒な事が多く起きそうだから違う街に行きたいんだけど……いいかな?」
俺は呟いた後、女神達に告げます。
「「「「「「「はい!」」」」」」」
女神達のいい返事を聞きました。
別の街とか知らないから困ったね。
とりあえずギルドに、俺と女神達は転移します。
「よぅ、どうした? 浮かない顔をして」
街の騒ぎがまだ届いてないギルドマスターに話をします。
「先ほど解体依頼をした巨大猪は、こちらのギルドで買い取るようお願いします」
「いいのか? あんな大物こっちで買い取るなんて」
「少し急用ができて、精肉を取りに行けなくなったのでその報告です」
「あい分かった! それでは、金貨15枚分の買取でいいか?」
「ありがとうございます。それでお願いします」
俺はギルドマスターから金貨を貰い外に出ます。
流石に他の街に行くって言ったら、止められたり足がつくかもしれないからなぁ。
そんなどうでもいい、細かい事を思います。
ダメ元で転移で宿屋に戻ってみます。
「いらっしゃいやせ……お客様……お泊りですか? 休憩ですか?」
女将は俺達に聞いてきます。
「女将ちょっと聞きたいんだけど、この店って他にも店舗あるの?」
「へい! この宿は裏の世界では有名でして、大陸7つの箇所に店舗を持っていやす!」
「その店舗ってどこにあるん?」
「へい! こちらの案内紙に、場所が書いてありやす! 説明しやす!」
宿屋レギャン
・奴隷都市店
・迷宮都市店
・魔法都市店
・聖堂店
・帝国店
・ドワーフの国店
・獣人の国店
・ドルフォース王国店
「こちらに書いてある、7つの都市や国にありやす! もし寄ることがありましたら、各支店へ、お越しお願いしやす!」
「ありがとう。もし寄る機会があったら、是非利用させてもらうよ」
「またのご利用、お待ちしておりやす!」
俺は女将に挨拶をして、女神達と宿から出ました。
やっぱり思った通りです。これだけ立派な宿屋があるんなら、他の国にもあると思ったんだよね。
どれどれ? 奴隷都市はここから一番近くて、西に向かった位置にあるのかな。
確か馬車で3週間だから、結構遠いなぁ。
「すーちゃん。西側の奴隷都市に行きたいんだけど、転移できる?」
「大丈夫だよー。魔王城に比べたら、近すぎるレベルだよー」
すーちゃん頼もしいです。
さて、この世界の観光と参りますか!
俺と女神達は奴隷都市に向かって転移します。
面倒くさくなってアキラは逃げ出しました。




