206 退屈は人を殺す
弱チェリーの話は気が向いた時に書きます。
ここはどこだろう?
魔王城一室にあるベットの上で目を覚まします。
全然寝たりないんですけど? 眠い目を擦りながら起き上がります。
「「「「「「アキラ様! おはようございます!」」」」」」
女神達が元気よく、おはようの挨拶をしてきます。
「おはよう」
おはようの挨拶に対して、俺も挨拶を返します。
まったくやる気が起きません。
このまま永遠の眠りに就きたいくらいです。
「とりあえず二度寝する前に補充します」
「「「「「「はい!!」」」」」」」
俺は女神達に優しく口づけをします。
何で朝っぱらから口づけをしないといけないのか?
簡単に言うと『魔力補充』です。
この女神達は、俺が所有するスキル『七柱の女神』という事らしいです。
女神達に口づけをすると魔力が50%されるみたい。
今更感が強いです。
何で口づけをしなくちゃいけないのか?
それは異世界で生き抜く為に必要な事だからです。
別に口づけしなくても、異世界で生きて行けるんじゃない?
そう思っている時期が俺にもありました。
「んで、今日は何するんだっけ?」
頭の中空っぽなので女神達に聞いて見ます。
「はい~。モラルがスキル『時空』で呼び寄せた死神等を根絶やしにしました~」
「現に別世界線に転移してますー!」
「危険因子は全テ、潰しましタ」
「うん?」
「こちらに元凶である【モラル】を転移させておりますー!」
パンツとシャツ一枚姿で淡い水色髪をした、女の人がこちらに話しかけます。
「おはようございます【モラル】です。
神様。昨日の件は申し訳ありません。
それと同時にありがとうございます。
昨日はスキル『時空』を使用して別世界線と繋げた際に、よくない『モノ』が世界線を移動してきたのですが消滅して下さったのを確認しました。
『天災』は神様が直接こちらの別世界線に降り立った後、殆ど消滅しました。
これ程までに、早く対応して下さるとは思っていませんでした。
神様の力を侮っていたわけではありません。感動のあまり言葉で表現できません。
神様が転移してきたと同時に、神の祝福と共に『不』の連鎖から解放され、世界に本来あるべき平和が訪れる事が分かります。
感謝してもしきれません。
本当にありがとうございます」
熱心にパンツ姿のモラルちゃんが、何度も何度もお辞儀を繰り返しています。
何言ってんだろ?
「そうか。まだ夢を見てるのかな? 寝よう」
俺は二度寝します。
「それじゃ、元いた異世界に戻りますよー」
「「「「「「はーい!」」」」」」
――――――――――――――――――――――――――――――――――
神様は行ってしまわれました。
【モラル】は今起こっていた事が夢ではないと再認識します。
神様が降り立った瞬間、世界を書き換えてしまったのではないかと錯覚する程でした。
突如視界が変わり、神様の寝ている部屋に転移したと思ったら、
神様の眷属達は『じっ』と私を見ていました。
「説明は不要です」
「モラルの思考と、魔力の波長である『座標』を共有しますー」
「できたー」
「確認しましたー。飛びますー!」
転移中、時空を超える歪みの感覚がします。
次の瞬間、部屋ごとどこかに転移しました。
転移後何も変わった様子はありませんが、私が以前居た元の世界という事が分かります。
「着きましたー」
「出し惜しみは無しです」
「各自、早速取り掛かって下さい~」
「「全力でいきますよ~!」」
「「「「「はーい!」」」」」
神様の眷属達はそう答えた瞬間、眩い光を放つと同時に視界が白く染まっていきます。
光が収まったと同時に神様の眷属達には天使の羽が生え、神々しい姿に変わっていました。
「「害を成す存在を認識、殲滅、消滅しました~」」
「再発しない様に世界線に予防線を引きます~」
「神聖力を全力解放しましタ」
「かいほー」
「アキラ様を敵に回した事を、後悔する間も与えませんー」
神様の眷属達は答えます。
まさか、世界を改変させる程の力の持ち主だと想像もしていませんでした。
「あレ? アキラ様が起きそうでス」
「こんな姿見たらアキラ様勘違いしますー!」
「元の姿に戻りましょう~!」
「「「はーい」」」
神様の眷属達は淡く光り輝き、服装が村人の服装に替わります。
「「「「「「アキラ様! おはようございます!」」」」」」
神様の眷属達が元気よく、おはようの挨拶をします。
「おはよう」
神様は眠そうに受け答えしています。
「とりあえず二度寝する前に補充します」
「「「「「「はい!!」」」」」」」
神様は眷属達に優しく口づけをしています。
一連の口づけ行為に、私の目が釘付けになります。
なんと神々しい光景なのでしょう。
キスという行為に、何故これ程まで胸が熱く、高鳴るのかが分かりません。
私もいつか神様みたいに、熱いキスができる相手に出会いたいものです。
私は神様に感謝の言葉を述べます。
そうしているうちに神様は興味を無くしたのか、再度眠りに就きます。
「それじゃ、元いた異世界に戻りますよー」
「「「「「「はーい!」」」」」」
神様達はそう言い残すと時空の歪みを感じさせ、居なくなります。
後から聞いた話ですが、魔王城から光の柱が立ったそうです。
その日を境に、聖堂都市にあった壁画から透明な液体が滴る様になりました。
私はこれを『神の涙』と敬称する事にしました。
これから忙しくなりそうです。
眠い。