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202 お風呂。

 何度目の風呂だろう?


 俺は現在、魔王城にあるお風呂場へ向かっています。

 周りには女神達(ヴァルちゃん、マジちゃん、すーちゃん、ディフェちゃん、マジディフェちゃん、すーちゃん、ラッキーちゃんとあきらちゃん)が居り、ニコニコしながら付き添ってくれます。

 なんだろう? 嫌な予感しかしません。


「ボォーーーーン!」

 

 そんな思想を巡らしている最中、魔王城内で爆発音がします。

 もういい加減にして下さい。俺は爆発音を無視して、無事脱衣所に到着します。

 脱衣所に到着し、ササっと服を脱ぎます。


「どうゾ!」


 すかさず、マジちゃんが虹色のカラフルなタオルを用意してくれます。

 俺はササっと腰にタオルを巻きます。

 何で虹色のタオルなの? 意味があるのかさっぱり分かりません。

 あえて言うなら、R-18にしない為の措置だと考えます。


 俺がタオルを装着し振り向くと既に、女神達はバスタオル姿で準備万端の様子です。

 あきらちゃんは何故か浮き輪を装備しています。

 ラッキーちゃんはお風呂セットを装備しています。

 いや? お風呂は遊ぶ所じゃないからね?

 とりあえず確認します。


「とりあえずさ? 今回は目隠しなくても大丈夫なんだよね?」


「「「「「はい! 問題ありません!」」」」」


 俺は女神達に確認を取ります。

 確認ヨシ! 指差し呼称ヨシ! 俺にヨシ! 風呂場に全速前進だッ!

 突撃ッ!! うおおおおおおおおおおおおおおお!

 俺は全速力で風呂場に突撃します。


 脱衣所と風呂場の栄目にある段差に躓き、空中で回転切り揉み脚を決めます。

 着地後、床がヌルヌルしておりスライディング回転状態で風呂場にダイブします。


「ドボーーーーン!」


 女神達も俺に続いて、次々と回転スライディングしながら風呂場にダイブします。


「ドボボボボーーーーン!!」

 

 うぼっぅ! 我ながらマナーがなってないな。

 風呂場は遊ぶ所じゃないって、思ったばっかりなのにね?

 スライディングしながらダイブしたのに、障害物に当たらないとか風呂広すぎです。

 周りを見渡すと湯気でよく見えません。

 徐々に湯気が消え、周りを見ると『ジャングル風呂』は健在でした。


 ラッキーちゃんは浮き輪で湯船にぷかぷか浮いています。

 あきらちゃんはお風呂セットで遊んでいます。

 あれなんだろう? 湯太郎かな?

 俺の視線に気づいたのか、あきらちゃんが近寄ってきます。


「パパ遊ぼ!」

「何して遊ぶんだい?」

「水鉄砲!」


 あきらちゃんが答えると手の平で貯めたお湯を、レーザーの様に噴出させます。

 近くに生えていた木に『穴』が開き「メキメキメキ……」と折れます。


「ハハハ、お風呂は遊ぶ所じゃないよ?」

「パパ、分かった!」


 あきらちゃんは元気よくパシャパシャと、はしゃぎながら返事をします。

 それにしても、木が折れるとかすごいな……水圧でレーザーの様になるのか?

 俺も……試しに両手に湯を貯めて「ピュー」と、水鉄砲をやって見ます。

 上手くできないな。

 女神達も、お湯を貯めて水鉄砲をし始めます。


「アキラ様、このようにすれば上手にできます」


 ヴァルちゃんが手の甲にお湯を貯めて、水鉄砲をしてくれます。

 全力で込められたお湯は小爆発を起こします。


「ガギンッ、ドーーーーーン!」


 お湯は鈍い音の後、風呂場の壁に飛散していきます。

 どうやらディフェちゃんに、ヴァルちゃんのお湯が掛かりそうになったようです。


「ヴァルさん~? これは宣誓布告とみてよろしいんでしょうかぁ~?」

「すまんディフェ。手元が狂いました」

「誠意がこもってませんねぇ~? お返しですぅ~。それぇ~」


 防御の女神ディフェは大きい胸の谷間を使って水鉄砲をしています。


「キンッ! ズドーーン!」


 柔らかそうな胸筋で圧縮されたお湯は、ヴァルちゃんに飛んでいきます。

 しかし、お湯はヴァルちゃんの作られたお湯手鉄砲で跳ね返し、風呂場の壁に飛散します。


「なんなんですかー? それは私に対する当てつけですかー?」


 素早さの女神であるすーちゃんがディフェちゃんに、ガンを飛ばし始めます。

 ガンを飛ばしたかと思いきや、水滴がガトリング砲の様にディフェちゃんに降り注ぎます。

 すーちゃんは超高速で手をパシャパシャさせ、ディフェちゃんにお湯を掛けます。


「私の守りは鉄壁ですぅ~! ちょっと!? たまに貫通してますぅ~!?」


「下手な鉄砲ー、数うちゃ当たりますー」


「ディフェ加勢しますぅ~! 途中で魔水弾も混じって抜けて来ていますぅ~」


「「私達二人なら、超鉄壁ですぅ~!」」

「てか、マジちゃん~? ちゃっかり便乗しないで下さぃ~」


「バレましたカ?」


「ディフェいくよぉ~? お湯を圧縮ぅ~、気体を圧縮ぅ~、時間を圧縮ぅ~」

「空間を圧縮ぅ~、胸を圧―――」


「―――プラズマ避けですー!」


「「ちょっと~! 必殺技出す前に避けないで下さぃ~!」」


「甘いですねー。当たらなければ大したこと無いですー」


「避ける事ばっかり考えてるから豊満な胸が育たないですよぅ~?」

「まな板が受け止める事なんて正直無理ですよねぇ~? 痛いだけですしぃ~」


「胸は関係ないよねー? あまり、私を怒らせない方いいよー」


「「洗濯板が怒るとどうなるんですぅ~?」」


「……さて、問題ですー。固体、液体、気体、私ー、活発な物質はどれでしょー?」


「「謎々ならマジちゃんに聞いて下さぃ~? どうせ気体でしょ~?」」


「ぶぶー。正解は私ー、プラズマですー」


「ズドーーーーーーーン!!」


「ううぅ……貴女、素早さの女神でしょ~!? 最近枠から外れてませんかぁ~?」


「貴女達も私の様に立派な胸になれば分かりますよー?」


「アキラ様ぁ~! あいつが私達をいじめますぅ~」

「最近調子にのってますぅ~」


「まぁー、一番活発な物質はアキラ様なんですけどねー?」


 女神達のお湯鉄砲で、風呂場がひどい有様になってます。俺物質なの?

 さっぱり分かりません。

 そんな風呂場の殺風景の中でも俺、怪我一つ無いのはなんでだろう?

 周りを見渡すと近くでラッキーちゃんが湯船でぷかぷか浮き輪で上機嫌です。

 湯船の中、ディフェちゃんとマジディフェちゃんが涙目で俺の両腕にすがってきます。


「だめだよ? 女神同士で喧嘩しちゃ。っていうか、ここ風呂場だからね?」


「あら~? アキラ様の前ですよ~? 喧嘩は無しですよ~?」


「女神達の戯れですかラ、アキラ様はお気になさらずニ」


「喧嘩じゃ無くてー、お風呂でのお遊びですー」


 俺の伝えると、ひーちゃんと、マジちゃんと、すーちゃんが答えます。

 ちょっと俺が調子乗って羽目外すと女神達が暴走するのか?

 危険だな。周りに他の人が居なくて本当によかった。

 さて温まったし、風呂から出るか。

 俺は風呂から出ようとします。

 

「「「「「「アキラ様!」」」」」」


「ど、どうしたの皆?」

 

 俺は一斉に声を上げた女神達を疑問を覚えます。


「「「「「「私達まだ、アキラ様のお身体を洗ってません!」」」」」」


「え、ちょっと待ってよ。俺もう風呂から上がるんだけど?」


「「「「「「いけません! まだ、お身体に汚れが付いております!」」」」」」


 何故か、ここらへんは女神達の統率力が発揮されるようです。

 女神達は手を「グーパーグーパー」白濁させ、にこやかににじり寄ってきます。


「大丈夫だから! 身体位、自分で洗えるから! 大丈夫だから!?」


 いやぁああああ! お風呂怖い!!

 俺は恒例の行事を女神達から受けます。

 ラッキーちゃんは湯船にて、浮き輪でクルクル回りながらお風呂を堪能してました。


(……みちゃった)

 

 魔王城の一室から、ミルちゃんは風呂場を覗き見してました。



 風呂怖い。

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