193 帝国 操り人形
操り人形です。
俺とミルちゃんとフルちゃんは、帝国地下にあるダンジョン最下層にいます。
正座している白髪のパンツ一丁の少年『リョウ』に、女神達を消されました。
もう諦めよう。
正座しているリョウがこちらに向きます。
「はいアキラ様! 先程、説明している10分の間は、スキルドレインの準備ディレイが発生します。かなり制限を加えましたけど『7柱の女神』を、正式に手に入れる事ができました。見て下さい」
リョウは嬉しそうに、ヴァルちゃんを出します。
「思った以上に魔力消費が激しいですね。3分が限度ってところですか? それではアキラ様を捕まえて、監獄に入れて下さい」
「……」
「どうしたのですか戦女神? アキラ様を捕まえて下さい……。言う事を聞けよ!」
リョウはヴァルちゃんに命令するけど、ヴァルちゃんはピクリとも動きません。
何で動かないんだろ? さっぱり分かりません。
殺すなら、早く殺して楽にして下さい。
「うーん? さっきもひーちゃんが言ってたけど、俺のスキルだから、他の人が使える事はできないんじゃない?」
「そんな馬鹿な! 専用スキルとか聞いた事ありません! これまで奪えなかったスキルは無かったです! まぁいい……アキラ様は、女神が使えなければレベル1です」
「あれ? なんで俺の事さっきから『アキラ様』って、いってるんです?」
「今の10分間で、魔法防御の女神から時空1000倍加速を受け、7日分の拷問を女神達から受けました。アキラ様との従者関係が、深層心理で築き上げられました」
リョウが足をもじもじさせながら答えます。
足でも痺れてるのかな?
「足痺れてるなら、正座崩してもいいですよ?」
「はいアキラ様! ありがとうございます」
嬉しそうにリョウは答えて足を崩します。
「こうなったら実力行使で行くしかないありません。戦女神、アキラ様を捉えろ――」
「――させません!」
ヴァルちゃんを操って俺に攻撃しようとしますが、目の前にいるフルちゃんはオリハルコンの短剣を出して、剣を交えます。ヴァルちゃんとつばぜりあいをしています。
フルちゃんがヴァルちゃんと剣で互角とかすごくない?
「……私がいるのも忘れて貰ったら困る」
そう言って、ミルちゃんは上空から風魔法を、リョウに向けて放っています。
室内で機敏に動き、アクロバティックをしながら魔法を放っています。
「何だ、この高魔力の魔法は!? クッ! もういい! 戻れ、戦女神!」
リョウが叫ぶと、ヴァルちゃんが消えます。
あれ? 女神機能OFFできるの? どうすればOFFできるの?
教えて欲しいです。
「こうなった……これだ!」
目の前にフルちゃんが2人になります。
どうやらリョウは『変身能力』でフルちゃんに変身した様です。
お腹の贅肉まで再現されて、どっちが本物のフルちゃんか分かりません。
「……こっちが本物のフル」
そういってミルちゃんは片方のフルちゃんに魔法をぶっ放します。
贅肉の違いも同じだから、スキル魔眼でみたんだろうなぁ。
「クソ! 何で本物が分かるんだ! これならどうだ!」
フルちゃんが8人になりました。
少ないなぁ。せめて101人位分身して101匹フルちゃんとか作って下さい。
匹なの? わかりません。
「……同じ事」
ミルちゃんは呟くと同時に、空中から偽物と思われるフルちゃんに、風魔法をぶっ放しています。
どうやら全部、偽物のフルちゃんに魔法が炸裂します。
分身と思われるフルちゃんは消えて行きます。
「それだったらお前をコピーして……できない! こっちの娘はレベル450以上なのか! こうなったら……アキラ様に……も、変身できません!? ギルドの情報だと、レベル1のはずなのにどうしてですか!? それならこうです!」
リョウは叫ぶと俺、フルちゃん、ミルちゃんに『人形劇場』を掛けます。
俺の身体は、思うように動きません。
フルちゃんは糸を切り、ミルちゃんは距離を置いて避けます。
なんでフルちゃん糸きれるんだろ? 原理がわかりません。
「始めから、人形劇場を使えばよかったんです。アキラ様『監獄』へお入りください」
リョウに操られて、俺は監獄の方に歩き始めます。
操られてたとしても俺のレベルは『1』なので、フルちゃんに軽く移動を防がれます。
「アキラ様! 駄目です! これ以上進んではいけません!」
フルちゃんは俺に抱き着きます。
俺の身体操られてるから、フルちゃんの胸とかお尻触っても、全く不健全じゃないよね?
フルちゃんがとても近くて、お日様の匂いがします。
抱き着くような形でペタペタ、フルちゃんの身体を触ります。
「アキラ様! どこ触ってるんですか!? 本当に操られているんですか!?」
「フルちゃんごめん! 身体の自由がきかなくて困りました!」
「……アキラ糸、今繋がってない……」
あれ? そうなの? 早く言ってよ。
俺はリョウの方に振り向くと、透明の糸でこんがらがってます。
ミルちゃんの風魔法で糸を切断して、はじき返した様です。
うん、もうちょっと触りたかった。
「元魔王城の外から失礼します~(元魔王)」ヤマダさんが現れます。
「すみませんアキラ様、お腹減りました。ごはんください」
「ヤマダさん! 呼んでないのに来ちゃ駄目だよ? 今、立て込んでるからまた後でね」
「はーい。シュン!」俺はヤマダさんに注意すると転移で戻って行きます。
てか、これどうするん?
リョウ、手詰まりの様な気がするなぁ。
そろそろいいかな?
「すみません、スキル返してくれませんか?」
「はいアキラ様! ……わかりました」
俺はリョウに頼むと、観念したのかスキルを返還してくれました。
返還されると同時に、女神達が現れます。
次の瞬間、リョウは消えます。
「「「「「「アキラ様に害を成す存在を消しました!」」」」」」
女神達全員報告した後、申し訳なさそうに土下座し始めます。
無事に戻ってきてくれたなら問題ないです。
女神達全員、服を脱ぎ始めます。
「ごめん、何で服を脱ぎ始めるんですか?」
「パンツ一丁になって土下座するのが、謝る礼儀ですので……」
「駄目だよ! レディがパンツ一丁になって謝っちゃ! 女神達が無事ならそれでいいから! 俺女神達のパンツ一丁姿で土下座する姿とか、見たくないよ!」
「「「「「「アキラ様申し訳ありません」」」」」」
女神達は申し訳なさそうに謝ってきます。
これまで戦った中で一番、恐ろしい相手だった……。
スキルは万能じゃないってことを、忘れてはいけない。
「アキラ様……」
「ごめん! まだ操られると思って、フルちゃんに抱き着いたままでした! 直ぐ離れます!」
俺は、抱き着いていたフルちゃんから離れます。
フルちゃんは後ろに振り向き、震えています。
フルちゃん……もしかして操られているのかな?
心配です。
「そういえば、リョウ倒しちゃったんだけど、指名手配、訂正できるん?」
「こちらに囚われてる人たちを解放して、対応に当てさせれば解決すると思います」
ヴァルちゃんが申し訳なさそうに答えてくれます。
そっか、それじゃカプセルにいる人達を解放しようか。
俺は女神達に頼んで、姫さんのカプセルを開けて貰います。
水蒸気の様な煙がカプセル内から発生します。
ルリザベートさんがカプセルの中から出てきて、立ち上がり、こちらに向きます。
「残念でしたね……消したと思われた方は、私が操っていた人形の方です」
ルリザベートさんそう告げると同時に、女神達の身動きが取れません。
俺達全員、身体の自由がきかない様です。
どうやら黒幕は、本物の姫さんでした。
「それでは、犬の様にはいつくばって下さい」
フルちゃん、ミルちゃんが、はいつくばります。
女神達も地に伏せます。
俺も犬の様に四つん這いになります。
目の前に、フルちゃんの小さいお尻が前に見えます。
俺はフルちゃんのお尻をガン見します。
操られてるんじゃ、仕方ないね。不可抗力です。
「……なぜ、あなただけ動けるのですか!?」
ルリザベートさんは驚いています。
俺、動けるの? そんな訳ないよね。
「すみません、今操られてるんでそれ所じゃないです!」
「どうやら、私のスキルは通用しない相手の様ですね。流石偽勇者と言った所ですか」
「ごめんフルちゃん! 俺今、操られているから、仕方ないんだ!」
俺はフルちゃんに謝ります。
返事は帰ってきません。
「貴方がいなくなれば、解決しそうですね」
姫さんはゆっくりとこちらに歩み寄り、床に落ちているオリハルコンの短剣を手にします。
姫さんは俺の横に来て剣を大きく振り被ります。
どうやら、俺はここで死ぬようです。
フルちゃんのお尻を見ながらそう思いました。
どうしよ。