14 街でショッピング
夜に、料理漫画を見るのは危険です。
体重が増えます。
ギルドから宿屋の帰り道、街並みを見て回ってから俺達は帰ることにします。
食べ物の露店などを、女神達と一緒に見て周ります。
なにか焦げる?
匂いがするので近寄ってみると、焼き鳥みたいな串焼きの店を見つけて何串か買って食べます。
腹は膨れますが肉が硬いし、味付けも無い大味です。
何店か食べまわってみましたが、どの店も似たような感じで、硬いしパサついています。
料理は栄養が取れて食えて胃に入れば、それでいい感じなのかな?
周りを見てみると、全く売れていない露店を見つけます。
「何故、この店だけ売れてないの?」
俺は店主に聞きます。
「今……この街は人口が増えて肉の消費が多く、食料の在庫が少なくなってきます。仕入れに……品質が悪い肉しか、残ってなかったんです。割高で仕入れてしまった為……適正価格だと売っても、売り上げはないんです!」
「そう! じゃぁ、頑張って!」
店主は呟いた後、俺は店主に伝えます。
俺と女神達は、その場を去ろうとします。
「ちょっ、ちょっと待って下さいよ! こういう時って、人助けとか言って、助けてくれるのがセオリーですよね!?」
店主は俺に助けを求めます。
「そんなの知りません」
「そんな言わずにお願いしますよ! これ売れないと明日、肉を仕入れるお金もままならないんです! 生活する事もできません! お願いします! お願いします!!」
店主は祈願します。
おねだりチャンスかな?
自業自得です。
「はぁ……次は俺が肉になる番か」
店主は「ウヘヘヘヘ」と、包丁を研ぎ始めます。
怖っ! 目怖っ! 目の前で死なれたら夢に出そうで後味悪すぎ!
「分かりましたから。落ち着いて下さい! その肉全部買いますから!」
俺は店主に答えます。
「ほ、本当ですか!?」
店主は、目の色を輝かせて歩み寄ります。
「正し、条件があります! この屋台を今日残り時間分、貸して下さい!」
俺は店主に伝えると、店主はよっしゃーとガッツポーズして喜びます。
奇跡も魔法もあるんだね! みたいに笑顔です。
……なんかうざいなぁ。
俺は買った肉を見て考えます。
こういう肉ってさ? スジが多くて、ただ焼いただけだと、硬すぎでダメなんだよね?
しゃーない。
とりあえず肉の下ごしらえでもするか!
原価が高ければ、それ以上に売る努力をしないと駄目だよね?
え!? 同じ値段でスジ肉を!? 出来らぁっ!
1週間待ってくれ! これより美味いスジ肉料理を……作って見せる!
どこの料理漫画だよ。
「こんなこともあろうかト! 肉を柔らかくする材料を用意してまス!」
マジちゃんが、肉を柔らかくする材料を用意していました。
どんな事を想定してたんだろう?
気にしたら負けだ。
スジ肉とかだったら、煮込めば柔らかくなるかな?
ただ煮込むだけ、それだけじゃ駄目です。
キュウィやパイナップルみたいな酸味のある果物で、1日つけるのもありかな?
今は時間がないから、ヨーグルトとかの乳製品に漬けて代用させます。
ヨーグルトに肉を漬けてる最中に、下準備をします。
女神達も手伝ってくれるから、作業は簡単です。
料理漫画が、こんな所で役に立つとは。
最後に煮込んで出来上がりです。
店主は目を真丸にして、俺達の仕込み作業を唖然として見ていました。
できたし売るかね?
女神達の客寄せ効果なのか、一人の客が料理の匂いに釣られて、煮込みスジ肉を購入し食べ始めます。
「なんだこの柔らかい肉は! 美味い!」
スジ肉を食べた人が叫んでいます。
なんだ? なんだ? と、人だかりができます。
人が人を呼び、なんか飛ぶように売れていきます。
大盛況です。
30分ほどで完売しました。
お粗末ッ!
購入した肉を調理して、原価の2倍の値段で売りさばきました。
儲けたぜ!
あれ?
1から材料集めて、露店料理して売ったほうが、儲かるんじゃね?
そんな事を思いながら、俺は7人の女神達と一緒に宿屋に向かいました。
「そんな手法で、肉が柔らかくなるのか!」
店主はスジ肉の調理法を、目に焼きつけていました。
じゅぅー。
焼肉売りの店主は、有名なスジ肉の料理人として一躍有名になるのでした。
それはまた別のお話。
(ありません)