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98 魔法都市 臨時講師 ラッキー先生

 ラッキー先生です!

 俺達は魔法都市にある学園にきてます。


 今日から俺達は、学園の臨時講師依頼をします。


 俺は女神達の臨時講師サポートという形で、女神に付き添います。

 今日は一番授業内容を心配するラッキーちゃんと、一緒に教える予定です。


 学園の廊下を歩いて行くと、多くの魔法学生がいます。

 ギルドに見られるような冒険者もいました。

 中には厳つい戦士のような人も混じっています。


 俺達は受け持つ教室の前に着きます。


 ここで教えるのかな?

 俺は部屋割りを見てみると、受け持つ教室はこの辺りに密集してます。

 教室が密集してるのは分かったけど、時間割ってどうなるのかな?

 女神達に聞いて見ます。


「はいー。時間割は1授業に1時間程度で、休憩を10分挟みますー。午前中に2授業、昼休み休憩をはさんだ後、午後に3授業ありますー。チャイムが鳴る合図は、授業の始まりと終わりを告げますー。ちなみに休憩中は、臨時職員用の待機室も用意されていますー」


 すーちゃんが答えてくれました。

 どうやって? 時間割や休憩場所まで把握してるのか分かりません。

 でも女神なら容易に分かるような気がしました。

 普通じゃないのに慣れると、普通が何か分からなくなります。


 教室や廊下に授業始まりのチャイムが鳴りました。


 廊下でたむろっている学生達は教室に入っていきます。

 各女神達に、受け持つ教室に入って教えるように伝えます。

 フルちゃんにも移動する様に伝えます。


 俺はラッキーちゃんと、姿を消しているマツカを連れて、教室に入って行きます。


 教室の広さは9m位かな?

 高校の時に通っていた教室の広さと余り変わらない気がします。


 教室の中に入って見ると、厳つい顔つきの冒険者や、鋭い眼つきの剣士や、体育会系の武闘派を感じさせる学生達がいます。

 15人位かな?

 あれ? 俺? 教室間違えたかな? いや、合ってるな。

 


 確か……学園長にはさ?


『こちらがラッキーさん、…………どのような戦場でも生き残れる……戦術の知識があります……』


 って説明したけどさ?

 まさか学生じゃない人も交えてるとか思わなかったな。

 授業料金に見合わなかったら、キレて襲い掛かってきそうで……怖いです。

 まぁなんとかするしかないな!

 とりあえず自己紹介だ!


「初めまして、今日から副臨時講師を受け持つ、大和アキラといいます。こちらが臨時職員のラッキー先生です! ラッキー先生! お願いします!」


「はーい! ラッキーがんばる!」


 俺は自分の自己紹介を済ませた後、ラッキーちゃんに任せる事にしました。 


 俺は教室の中にある椅子に座って、ラッキー先生がどのように教えるのか見守ります。


 ラッキーちゃんは挨拶の後、土台に上り黒板に落書きを始めました。

 ん? 落書きを始めたぞ?


 落書きを始めた事に生徒達は、何をやっているんだと呆れ顔をしています。

 ラッキーちゃんは黙々と黒板に落書きを続けます。


 10分位経ちました。


 引き続き、ラッキーちゃんは落書きを続けます。

 痺れを切らした武闘派の学生が叫びます。


「高い授業料払って! 落書き見に来たんじゃないんだよ! いったい、この落書きのどこに!? 『どのような戦場でも生き残れる、戦術の知識が』含まれているんだ!! 俺は帰る!!」


 武闘派の学生が席を立ち、教室から出ようとします。


「お前のようなひよっこ学生じゃ? この落書きは理解できんのだろう?」


 腕を組みながら真剣に落書きを見ている、厳つい冒険者が武闘派学生に声を掛けます。


「よく見て見ろ? ぐちゃぐちゃな落書きに見えても、一貫性のある構図に見えなくはないか? この落書きを例えばそうだな? 将を守る軍兵が、どのような退路を断てば、将を守り自らも助かる事が出来るかの、構図を書いてるように見受けられる」


「そんなっ! 馬鹿な!?」


「退出してもいいが、それはお前次第だぞ? 俺も始めはどうなるかと思ったが、見てみると非常に興味深い」


「……分かった……もう少し様子を見る」


 厳つい冒険者が武闘派学生に説明すると、武闘派学生は席に座り直しました。


 うん、俺にはただの落書きしてる風にしか見えない。


「なるほど! その手があったのか!」

「このような方法があるとは!」

「自らを犠牲にして……仲間を守る方法だと!? しかしそれでは……こっちに書かれているのが退路だとすると……伏兵を利用するのか! なるほど!!」


 ラッキーちゃんの落書きを見て、冒険者や学生は勝手に理解していました。

 授業になってるのかな?

 なってるのかな?


 黒板に落書きを書くスペースが無くなると、ラッキーちゃんが黒板を消し始めます。


「ちょっとまってくれ!! まだ写し終わってない!」

「ああっ!? 大事な所を消さないで!?」

「お前ら! もう少し頭を使えよ! 戦場では相手は待ってくれないぞ?」

「それはお前の中でだろ!!」

「ハハハ、青いな」


 先程まで威圧感を出していた冒険者や学生達は、ラッキーちゃんの授業を見る内に、和気藹々に会話してます。

 俺にはただの落書きにしか見えないけど、戦術として精通しているのだろうか?

 よく分からないが、教室の空間が和んでいるのでいいのかな?


 隣や、別の教室から、爆発音がします。

 気にしたら負けなのでそのままスルーします。


 いったい、次はどのような戦術のある落書きをするのか、冒険者や学生達は待ち望んでいるようでした。

 そんな事を思っていたらチャイムが鳴りました。

 チャイムが鳴り終わると同時に、冒険者達や学生達がラッキーちゃんに群がります。

 

「質問よろしいでしょうか!? 逃げた先に退路が塞がれていた場面で、自軍の伏兵が居ない場合はどうすれば!?」

「先程の戦術配置で、人員が足りない場合は!?」

「攻めている最中に、本拠が攻められた時の対処法は如何に!?」


 冒険者や学生達はラッキーちゃんに質問をしていました。

 ラッキーちゃんは聞かれた順番に、簡単な落書きをしました。


「なるほど!! 地形を利用するのですね!!」

「足りないなら命を守る様に、五人一組を三人で編成するのですね!! 分かりました!!」

「与えらた任務以外の事は、考えるなと言う事ですね!? 考えつきませんでした!!」


 ラッキーちゃんの書いた簡単な落書きで、質問した冒険者や学生は勝手に解釈していった。

 うん、この落書きのどこに、解釈する要因があるのかな?

 分かりません。

 ラッキーちゃんが質問攻めにあってる間に、授業の開始のチャイムが鳴りました。

 他の女神達も同じような目に合ってるのかな?

 まぁいいっか。

 休憩無いけど授業始めようか?

 座ってるだけなんだけね!


 俺は、流石に何もしないのは不味いと感じました。

 なので黒板一杯になった落書きを消そうとします。


「「「それを消すなんてもったいない!!」」」


 冒険者や学生が消さないよう叫びます。

 どうすりゃいいんだよ!

 ノートなりなんなり書いたんだろ!?

 ラッキーちゃん落書きできないじゃん!


 俺は黒板を綺麗にすると、冒険者や学生は「あぁぁ……」と嘆いてます。

 授業は始まっているので引き続き、綺麗になった黒板に、ラッキーちゃんは落書きを始めます。


 真剣顔つきになっている冒険者や学生達は、必死に黒板を見てメモを取っています。

 始めに席を立って出ようとしていた武闘派の学生も、必死に落書きを模写しています。

 


 うん、なんだろう?

 俺の理解できない部分を、冒険者や学生達は理解しようとしているのかな?

 俺にはよく分かりません。

 とりあえず、ラッキーちゃんの落書きを分かったような振りをして、頷きながら見守っていました。


 ラッキーちゃんが新しい落書きを書き始める度に、冒険者や学生達はざわつきます。


「そんな奇抜な発想があるなんて!!」

「今まで分からなかった事が分かるぞ! すべて一つに繋がっているのか!?」

「個体としてではく全体で見るのですね!?」


 冒険者や学生達は勝手に解釈していきます。


「俺! この授業履修してよかった!!」

「授業料以上の価値はある!!」

「こんなに為になる戦術授業! 受けた事無い!! 感動した!!」


 冒険者や学生達は歓喜しながら落書きを見ています。

 中には涙で前が見えなくなっている者もいます。

 怖いよ!! 厳つい体格のした冒険者や、筋肉ムキムキの学生が、泣きながら授業受けてる姿とか見たくないよ!!


 ラッキーちゃんは、何も考え無さそうに落書きを続けていました。

 

 別の部屋から爆発音が聞こえます。

 他の女神達の授業風景が気になりますが、何とかなってるのかな?

 俺はそんな事を考えてた。


 その時チャイムが鳴ったので昼休みにすることにしました。


「午前の授業はこれまでです。昼休みにします」


 俺は冒険者や学生達に授業の終わりを告げます。


「ラッキー先生! 授業ありがとうございました! 午後もよろしくお願いします!!」


 冒険者や学生達はラッキーちゃんに、敬礼やお辞儀をしていました。

 さて昼休みにするか、ラッキーちゃんいくよー?


「はーい」


 ラッキーちゃんは返事をしました。


 敬礼やお辞儀をしている冒険者や学生達をよそに、ラッキーちゃんは俺と一緒に教室から出るのでした。


 ラッキー先生ありがとうございました!

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