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93 魔法都市 魔法商店 2

 犯人はこの中にいる!

 俺達は、魔法都市の商店街にある、回復魔法商店の中にいます。


 商店の中には、血まみれになって倒れている白い髪の少女がいます。


 奥さん! 事件ですぜ!

 少女が倒れている場所は血だまりになってます。

 倒れた少女を観察してみると、体のあちこちに刃物を切りつけた後があります。

 少女の手には小さなナイフが握られています。

 このナイフが凶器かな? 

 俺は少女に近づき、少女の持っているナイフを俺は手に取って見てみます。

 うん、よく手入れされた、切れ味がよさそうな普通のナイフだね?

 犯行は自殺に見せかけた他殺で、犯行動機は恨みや金のたぐいだね! きっと。


 俺は少女に触ってみます。

 脈をはかります。

 脈はありません。

 しかし、少女はまだ暖かい……と言う事は? 犯人はまだ遠くに行ってないはずだ!


「よし! 名探偵大和アキラの出番だな!」


 そういって俺はナイフを持って出口に向かっていきます。

 商店の入口に人が入ってきます。


「ごめんくださ~い……? ヒィ! 人殺しだ! 街兵さん! 助けて! 人殺しだ!」


 入って来た人が、外に出て助けを求めます。


「待ってくれ! 俺は犯人じゃない!」


 俺は逃げ出す人に声を掛けるが逃げ出します。

 ……まぁ、血まみれのナイフ持って、死体が転がっていれば、そう思われも仕方ないか。

 この状況まずいな……犯人に仕立て上げられて、指名手配になったら街を検索しにくくなるなぁ。

 それに犯罪者奴隷なんかに、なりたくないぞ!


「ひーちゃん。回復魔法でこの少女生き返らせて?」


「はい~分かりました~」


 俺はひーちゃんに頼んで、少女を蘇生して貰います。

 被害者を生き返らせることによって、俺の疑いも晴れて、真犯人は少女を殺しに来るはずです。

 そこで、俺達が真犯人を捕まえれば、疑いも全て晴れるはず。


「あれ……私なんでこんな所で……」


「ごめん、なんか倒れてたから回復魔法掛けさせてもらったよ」


 気が付いた少女に俺は回復魔法で助けた事を伝えます。

 本当は蘇生魔法だけどね?


 俺は少女に血まみれのナイフを返します。

 犯人は一体誰だろう?

 疑問を少女にぶつけてみます。


「なんで血まみれで倒れてたの?」


「はい、助けて頂いでありがとうございます。私の名前は『ユル』といいます。私はこの、回復魔法アイテム店の娘でして……自分で切り傷を付けて、回復魔法アイテムの効果実験をしていました。使って治してるうちに立ちくらみがして……気が付いたら貴方達がいました」


 ユルと名乗る少女が、俺に説明してくれます。

 うん、自業自得です。

 駄目だよ、自分傷つけて治しちゃ! なんかあった時どうするの!?


「俺達が居たからよかったけど、もしかしたら死んでたかもしれないよ!?」


「ごめんなさい……」


 俺はユルちゃんに言うと、謝ってきます。

 死んでたけどね?


「あれ……私の古傷まで治ってます……普通の回復魔法では古傷までは治らないはずですが……」


 ユルちゃんは自分の腕や足を見ながら不思議そうな顔をしています。

 古傷作る位昔からやってる常習犯なの?

 ユルちゃん綺麗な肌なのにもったいないよ?

 俺は話の論点を切り替えるようにユルちゃんに聞きます。


「それで、この店ってどんなアイテム売ってるの?」


「はい、この店は回復魔法のスクロールを売っております」


「効果はどうなってるの?」


「はい、スクロールを使えばヒールの回復魔法が使えますが、一度きりの使い捨てです。スクロールに魔法媒体である紙に魔力を注入することで、魔法が使えなくても、スクロールを使用すれば魔法が使えます。スクロールに込められた回復魔力量と触媒によって、効果は上がります」


「どうすればスクロールの効果上がるの?」


「はい、回復スクロールは通常回復魔法の半分程度しか効果がありません。いかに魔力伝達のいい触媒の紙を使うか、より強い回復魔法を込めるかしないと、良い効果のスクロールはできません」


「その効果実験で自分を傷つけて、スクロールを使って試してたのね?」


「その通りです」


「勉強熱心なのはいいけど、倒れるまでやるのはどうかと思うよ?」


「すみません、今、学園の講師が少ないみたいで休講が多いんです。頑張って独学で学ぼうとしても限界が見られます。早く学園は、良い講師を見つかればいいのですが……」


「あれ? 俺達明日から、臨時講師で魔法学園で雇われる予定だけどさ? ユルちゃん? カリキュラム確認とかしてないの?」


「ちょっと待って下さいね……確認してきます!」


 俺はユルちゃんと話します。

 ユルちゃんは店の奥に入って行きます。

 うむー、苦労してるのね?

 店の外が騒がしくなります。


「こっちです! 店の中で人が刺されて、倒れているのを見たんです!」


 店の外から声が聞こえます。


「私達はこの街を守る警備の者だ! こちらに店主の少女が刺された事を聞いてきた! 事情を聞かせてもらう!」


 警備兵とみられる人が店の中に入って、問いかけてきます。


「この大量の血だまりはなんだ!? どこに死体を隠した! 証人がいる限り言い逃れはできんぞ!」


「なにかの見間違いではないですか? 店主の娘さんは部屋に戻って行きましたよ?」


「第一発見者が一番怪しいんだ! 言い逃れをせずにこちらに来るんだ!」


 俺は警備兵に事情を話すが、警備兵は信用してくれないようです。

 困ったな。本人がいれば言い訳できるのになぁ。

 俺は犯人じゃないって……どうすればいいんだろ。


「どうされました?」


 そこに若い女性の魔法使いと魔法剣士が騒ぎを聞きつけて入ってきます。


「これは! 『ヒル様』に『ヨル様』! お勤めご苦労様です!」


 警備兵は二人に敬礼をします。

 あれ? ヒルさんにヨルさんって確か、闘技場で戦ってて、エメラレルドゴーレム狩ってた人達だよね?

 なんでこんな所にいるの?

 爆発騒ぎの人員にでも、あてられていたのかな?


「あら、貴方達は! 昨日はありがとうございました! おかげで命を救われました! ヒル? 昨日言った私達を助けてくれた人達よ?」


「そうなのか、昨日は助けてくれて助かりました。所で何故、このような場所に貴方達はいるのですか?」


 ヒルさんとヨルさんは、俺達に問いかけますが、警備兵に遮られます。


「ハッ! 傷害事件がこちらで発生したとの、報告がありましたので! 確認しに来た次第であります! 犯人はこの男という証言もあります! 他の爆発騒ぎの関連性も兼ねて調べております!」


 警備兵はヨルさんと、ヒルさんに、アピールする様にいいます。

 警備兵の目は、キラキラ輝いている様に見えます。

 なんだろう、好感度あげたいのかな?


「そちら方は、事件に巻き込まれただけでしょう? 私達も知りえない、未知の力を所持しています。本気になれば、私達もろとも切り刻まれてますよ?」


「そんな物騒な相手なら! なおさら放置する訳には行けません! お縄に頂戴しろ!」


 警備兵がこちらに振り向き、俺を取り押さえようとしてきます。

 それを「はいそうですか」と捕まる訳にはいきません。


 女神達が何かしたのか分かりませんが、警備兵が店の外に吹っ飛んでいきます。

 警備兵は倒れて気絶します。


「悪気があってやってる訳じゃないから、ほどほどにね……?」


「「「「「「「はーい」」」」」」」


 俺達は女神達に注意します。

 店の奥からユルちゃんが出てきます。


「カリキュラムを確認したら、明日から臨時講師が配備されるそうです! 久しぶりなので楽しみです!」


 ユルちゃんは嬉しそうに喋りかけます。

 元気そうな店主の娘を見て、ヨルさんとヒルさんは確認します。


「この店で倒れていた少女と言うのは、貴女で間違いないでしょうか?」


「はい。なにかありました?」


「こちらで傷害事件が発生したと聞きました」


「あ、お騒がせして申し訳ありません。私が魔法回復スクロール実験で、自分の身体を傷つけていました。それを勘違いした人が通報したのですね……お騒がせして申し訳ありませんでした」


 回復魔法店主娘のユルちゃんは、魔法剣士ヒルと魔法使いヨルに謝ります。

 大事な事なので2回言ったのですね?

 分かります。

 

 俺の疑いも晴れた事だし行こうかな?

 回復スクロールは別に買わなくてもいいかな?

 俺は冷やかしで商店に入ったら、逆に俺の肝が冷やされる羽目になるとは。

 世の中よく分からないね!


「それじゃユルちゃん明日から頑張ってね! それじゃ行くから!」


「はい! 頑張ります!」


 俺はユルちゃんに頑張る様に伝えます。


「よろしければこちらの警備兵の謝罪や、昨日のお礼も兼ねて、一緒にお茶でも如何でしょうか?」


「私からもお願いします。お茶でもどうですか?」


 ヒルさんとヨルさんは、この場から離れようとする俺達に話しかけます。

 俺は、魔法剣士ヒルさんと魔法使いヨルに逆ナンされます。




「また、みてしまった……」


 とある少女は呟いて見ていました。



 犯人は自分!

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