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あの日君に誓ったこと  作者: ハルサメ
エピローグ
54/58

第五十三話

 そこから宗司は事の発端から話を始めた。


 悠獅が夏陽との婚約に積極的でないことを聞いた宗司が、悠獅に婚約破棄移行計画を打診し、悠獅がそれに賛同した事が始まりだった。しかしいくら当人が拒否したとしても、御門家の存続をかけたしきたりを破棄することを当主である御門康成が許すわけが無い。だからこそ宗司は、一芝居うつことを立案した。その中で重要となるのが、闘矢の中に眠る閻陣の異能であった。


「閻陣はたった一家でありながら、戦が盛んでもっとも武力を保有してた時代の十二宮家と同等に渡りあった存在だ。今では十二宮家の中でも知っているものはごく一部だが、当主ともなれば全員がその名を知っているし、どれだけヤバイ存在かも理解している。元々閻陣が十二宮家を追われることになった発端は四之宮のしきたりに反対したって説もあって、お前は所謂閻陣の亡霊って形で恐れられてるんだよ。つまりそんなお前が四ノ宮を迎えに来て婚約者の御門悠獅を倒し、あまつさえ御門家当主である康成も圧倒したとなれば不吉な何かを感じてしまうわけさ。そもそもこのしきたりは性質上、四ノ宮ともう1つの家しか利益を生まないわけだから、異能の力を重んじる他の十二宮家からすれば無理に夏陽を婚約させる義理もなってわけだ」


「そんなんで本当にしきたりを無視できるのかよ?」


「十二宮家の中でありとあらゆる情報を握っている社家が騒ぎをでかくすれば、案外ころっと行くもんだぜ」


「つまり元凶はお前って事か社宗司」


「ご名答」


 宗司は特に驚くことは無かった。


 閻陣の記憶の中には情報を操る社家は十二宮家内でも機密保持のため、偽名を名乗り生活をしているとあった。宗司が十二宮家に対抗できる情報を持っていたのは、その十二宮家の情報を握っている家の人間であったことに他ならない。


「ともあれお前が閻陣の異能を思い出し、十二宮家は大混乱。それに乗じて婚約を解消。それがことの全貌だ」


 悠長に語る宗司に、闘矢は思うところが1つあった。


「そういやお前途中で回線切れなかったか?」


「あれはそこのお嬢様にクラッキングされたんだ」


 宗司に目線を向けられた雛紗は、サディスティック溢れる笑みを闘矢に向けた。お嬢様と言うよりは女王様といった風情だ。


「皇の介入は俺の予想外でな。まさかお前を被検体として狙ってるなんて知らなかったんだよ。まぁこのおかげで四ノ宮の隔世遺伝である藤代を倒したってことで十二宮家が一層危機感を感じてくれたから、結果オーライだな」


「待ちやがれ!俺はまだ翠桜使ってないんだ!本気じゃない!!」


「雑魚の言い訳ご苦労様。本当に使えない」


 傍にあった日本刀を構えようとした想だが、雛紗の言葉が予想以上に心に突き刺さったのか、意気消沈したように顔を伏せた。


「というわけでいくつかアクシデントはあったが、ひとまず目的である夏陽の婚約解消が実現したってわけだ」


 纏めるように宗司は語った。


「つまり俺は何にも知らされないまま、お前らの掌の上で踊らされてたって事か」

 状況を理解した結果、闘矢は想結論付ける。


「何で教えなかったかって質問は止せよな。囚われの姫様を助けに行く王子様に、これシナリオでこうなってますから、って伝えるのは無粋だろ?それに伝えたとしても、お前が変に立ち回ったら、それこそ台無しだ」


 見透かされたように宗司に言われる。確かに言いたいことは理解できるのだが、しかし納得のいかない所も多々ある。


「自分だけが損な役回りとは思わないことだな。シナリオ上とはいえ、閻陣という化け物に対峙させられた俺の方が不幸じゃないか?」


 ソファーにふんぞり返るように座る悠獅は、芝居がかった口調で語る。それに反応したのは、今まで落ち込んでいた想だった。


「お前、それ言ったら俺なんて絶望しか感じられない攻撃喰らってんだぜ?」


「何を言ってるのかしら?あんたは元々本気で閻陣と戦うつもりだったでしょ?そして負けたんでしょ?雑魚がうるさいわよ」


 再度雛紗の容赦ない言葉に傷を負ったのか、想はまるで燃え尽きたかのように動かなくなった。闘矢も思わず苦笑いを浮かべる。


「さて、それでは大体話は終わったようだな」


 言葉と共に悠獅はソファーから腰を上げる。


「では俺はここで退出させてもらう。まだ御門の中でも色々と問題の対処に追われている身なのでな。ではな、もう二度と会うことはないだろう」


「それじゃあ私も出ましょうか。もっとも、あんたの主治医はあたしだからまた後で顔を合わせるでしょうけど」


 済ました顔の悠獅は良いのだが、明らかに実験対象という興味本位の目線を向けてくる雛紗に、闘矢は背筋が寒くなった。


 海里が扉を開け、宗司を除く十二宮家の面々は退出していった。途中、雛紗に蹴り起こされる形で想が我に帰った姿を見て、不憫で仕方が無かった。

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