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第四十七話

「行くぜ!!」


 掛け声と共に想が右手を薙ぐ。その直線上にいた闘矢を悪寒が襲う。そしてすぐさまその場を転がるように回避、途端に闘矢の背後にあった壁が崩れ落ちる。壁の上から下まで、ゆうに3mの大きさの切り傷が痛々しく刻まれていた。


 閻陣の記憶によれば風斬の竜閃はあくまで斬撃をイメージし、それを気で放つものだ。だがしかし、今想が放った物は斬撃というにはあまりにも生ぬるい。膨大な異能の情報を持つ闘矢、だが最早想の異能は闘矢の知りえない域に昇華されている。


 ニヤリと笑う想に闘矢は戦慄する。下手に閻陣の異能を頼れば、足元を掬われる。


 想は再び竜閃を発動する。しかし今度は先ほどとは違い、規模は小さいがその分、数が多い。前後左右、闘矢の360度が完全に囲まれる形で竜閃が展開されていた。数が多いため来た方向にそのまま反射してしまう魔鏡は使えない、闘矢は回避に思考を切り替えた。


 強く床を蹴り上に逃げる。だがそれは読まれており、即座に頭上から風衝が襲い掛かる。回避は―諦めた。藤堂家の脚技に空歩というものがあるが、十二宮家の技であるが故、さらに読まれている危険がある。闘矢は風衝を甘んじて受け止める選択をする。


 鉄槌を振り下ろされたような感覚が上から襲い掛かる。これに関しても、闘矢が知る風衝以上の規模だった。床に叩き落とされるが、何とか体勢を崩すことはなかった。


 そこから竜閃による息をつかせぬ怒涛のラッシュが始まった。回避もままならない闘矢は血鎧で体を硬質化し、何とか攻撃を凌いでいく。


 状況を打開する異能は無いか、そう問われればいくつか解答する事ができた。しかしいざそれが出来るか、と問われると闘矢は首を縦に振れなかった。


 たとえ多くの異能の情報を持ち、さまざまな状況に対応できる力を持っていたとしても、それを実行するのは闘矢の体であり、そして異能の源である気に依存する。


 悠獅との戦いによる消費、そして元々の闘矢の気の量と質が四之宮の異能で増幅した想のそれに大きく劣っている現状、反撃は取るに取れない選択肢だった。


 闘矢に焦りが生まれる。ただでさえ付き合ってはいけない持久戦、長引けばそれだけ不利になる。想のポテンシャルは、闘矢の中にある膨大な戦闘経験の中でも上位に入るほどだ。


 このままでは押し切られる。竜閃は読み通り、数を重ねるごとにその鋭さを増していく。今のところ決定的な一撃を貰ってはいないが、それも最早時間の問題だった。



―屈するのか?


 再び問いかけられる。


―憎き十二宮家に屈するというのか?


 憎悪の炎と共に問い詰められる。閻陣の意思は闘矢の精神を侵食しようとしている。


―十二宮家なんか関係ない


 闘矢は無意識の中で応える。


―夏陽を守るために俺は戦ってる、そのために俺は勝たなくちゃいけないんだ!!


 その閻陣の意思にはっきりと告げる。自分が一体何のために戦っているか。強い意志で。


―ならば、思い出すがいい。貴様が会得した桐崎の力も異能であることを

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