3/30
後悔の穴
後悔したんだ。
どうしてあの時
大切な物を手放してしまったのか。
それはきっと
その時は何も想っていなかったから。
そこにあっても心に仕えとなり混乱させられたものだから。
それは未練に残る物だったから。
なんて理由で手放して、
消えてしまった。
後悔。
今なら、大切な物になっていただろう。
残しておけば、思い出せる物を。
そこにあった事実。過去。
もう無いと後悔。今。
どうして残さなかったのか。
その理由は簡単。
未来が分からなかったから。
未来が分かっていたなら
あの時手放すことはなかった。
それだけだ。
だけど、分かるはずがないんだ。
予想もつかなかったことが起きたこと。
今を後悔してる。
何も戻らない。
何も変わらない。
あの時考えていた未来。
それとは大きく外れて、胸に大きな穴を開けたまま
この道を歩いてる。
戻りたい。
だけど、足は前にしか動かなくて
だけど、止まることしかできなくて。
だけど、ここから歩いた道を振り返るだけで。
後悔してる。
未練がある。
そのまま歩いてる。
もう戻れないから。
もう戻らないから。
この道をただ歩む。
きっといつか、この穴を埋める物が
見つかるまで―――…。