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ミカのモノローグ:ないものねだり

作者: 刹那メシ
掲載日:2026/11/07

挿絵(By みてみん)


ある日、何かのはずみで、彼女の胸に顔を押し付けたことがあった。

それが、人間と同じ感触なのかは分からない。

ただ、分かったことがあった。これが欲しかったのだと――。

何故かは分からない。

彼女ではなくても、そう感じるのかも分からない。他人の胸に顔を埋めるなど、そうそうないことだから。

ただ、とにかく、心がよじれた。嬉しいのに、苦しい感じ。

これは多分、色っぽい話ではない。

母――を感じたのだろうか。知りもしない母を――。胸の膨らみだけで?

匂い?――いや、彼女に匂いはない――はずだ。

一つ言えることは、彼女は、私のたった一人の家族だということ。だから、なのかも知れない。

何でも話せる関係だと思っていたが、そのことは、何故か話せなかった。

一度、ふざけて、彼女の顔を、私の胸に押し付けてみた。

彼女が、何か言うかと思って。

ああ、何か、じゃない。

私が思ったことと同じことを、言うのではないかと思って。

私になら、匂いもあるはずだから――

でも、彼女は何も言わなかった。

切ないのは、私だけなのだろうか?

まあ、共感が得られたからといって、何かが変わるわけではない。

それでも――

時々、彼女の胸を見てしまう自分がいる。それを彼女に気付かれるのが怖い。

ようやく家族を手に入れたのに、切ない想いが完全に消え去ることはなかった。

まあ、そんなものなのだろう。

十分に満たされてはいる。

あとは――ないものねだりだ。

子供じみた、ないものねだり――

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