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ダンジョンマスターになった俺、モンスター娘たちと最強迷宮を経営して大金持ちを目指す  作者: 猫の手も借りたい


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3/3

迷宮の匂い

俺とスイは洞窟の奥へと歩いていた。


 足音が静かに響く。


 湿った空気。


 岩の壁。


 どこにでもありそうな洞窟だ。


 ……少なくとも、見た目は。


「主」


 スイが壁をぺたぺた触りながら言った。


「この岩、なんかおいしそう」


「食うな」


「まだ食べてない」


「今にも食いそうな顔してる!」


 スイは岩をじっと見つめる。


「どふふ」


「なんで笑ってる」


「なんかかわいい」


「岩だぞ」


 スイはうっとりした顔で言った。


「たべちゃいたいよぉ」


 俺は思わず顔をしかめた。


「お前それ、おじさんキャラだったら色々危ないぞ。かわいい子見て『食べちゃいたい』とか言うタイプのやつだ」


「え?」


「知らなくていい!」


 スイは少し考えてから言った。


「主って、たまに変なこと言うよね」


「お前に言われたくない!」


 俺は洞窟の奥を見た。


 暗い通路が、ずっと先まで続いている。


 ……広い。


 洞窟にしては妙に広い気がする。


「スイ」


「なに?」


「この洞窟、ちょっと変かもしれない」


「変?」


「通路が妙に整ってる」


 俺は壁を軽く叩いた。


 音が奥に響く。


「洞窟って普通もっとゴツゴツしてるもんなんだけどな」


「うん」


「でもここ、道みたいに続いてる」


 スイはきょろきょろ見回した。


「迷路?」


「……それだ」


 俺はうなずいた。


「迷路っぽい」


 そして。


「迷宮みたいな形だ」


 スイの目が少し大きくなる。


「迷宮ってダンジョン?」


「多分な」


「多分?」


「実物見るの初めてだからな」


 俺は苦笑する。


「ゲームとか漫画では見たことあるけど、同じかどうかは分からない」


 スイは楽しそうに笑った。


「でも主、なんかワクワクしてる」


「まあな」


 もしここが本当に迷宮になる場所なら。


 かなり面白いことになる。


 そのときだった。


「主」


「なんだ」


「これ」


 スイが壁を指差す。


 そこには、青く光る石が埋まっていた。


 俺は近づいて触る。


 冷たい。


 そして、わずかに魔力みたいな感覚がある。


「……これ」


「おいしい石?」


「食うな」


「まだ食べてない」


「まだって言うな」


 俺は石をじっと見る。


「多分だけど」


「うん」


「魔鉱石だと思う」


「まこうせき?」


「魔力を含んだ鉱石だ。武器とか道具の材料になる」


 つまり。


「金になる」


 スイは少し黙った。


「主」


「なんだ」


「やっぱり最後それなんだ」


「商売人だからな!」


 俺は洞窟を見回す。


 もしこの洞窟が魔力の溜まり場だったら。


 魔鉱石はここだけじゃない。


 奥にもあるかもしれない。


 それどころか。


 迷宮として成長すれば。


 資源も増える。


 つまり。


「……当たりかもしれない」


「なにが?」


 スイが首をかしげる。


「この場所だ」


「すごい洞窟?」


「まだ分からない」


「えー」


「でも可能性はある」


「なにの?」


 俺は少し笑った。


「ダンジョンになる可能性だ」


 スイの目がきらきらした。


「ダンジョン!」


「まだ確定じゃない!」


「でも楽しそう」


「まあな」


 そのとき、スイが俺の腕をぺたっと触った。


「……冷たい」


「でしょ」


「なんだこれ」


「スイの能力」


「能力?」


 スイは胸を張る。


「接触冷感」


 俺はしばらく黙った。


「……」


「触ると冷たい」


「いや冷たいだけかい!」


「でも気持ちいいよ?」


 スイは得意げだ。


 俺はため息をつく。


「お前、冷えピタ的存在か?」


「え?」


「夏におでこに貼るやつ」


「スイ便利!」


「能力の方向が生活用品なんだよ!」


 スイは少し考える。


「でも」


「なんだ」


「主、嬉しそう」


「まあな」


 俺は洞窟の奥を見る。


 この先に何があるのか。


 どれだけ資源が眠っているのか。


 どれだけ稼げるのか。


 考えるだけで、胸が少し高鳴る。


「主」


「なんだ」


「でもさ」


 スイは真顔で言った。


「そんな一回失敗した人の経営とか心配なんですけどぉ」


「いきなり信用ゼロか!」


「だって店潰れたんでしょ?」


「言い方!」


「主ほんとに大丈夫?」


「余計なお世話だ!」


 スイは少し考えてから言った。


「でもまあ」


「なんだ」


「主だからなんとかするでしょ」


「理由が雑すぎる!」


 スイは笑った。


 俺は洞窟の奥を見る。


 暗い通路が続いている。


 この先に何があるのか。


 まだ分からない。


 でも。


 この場所はきっと。


 世界最強の迷宮になる。


 そんな気がした。


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