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魔王と元カノと異世界と  作者: 土佐牛乳


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6/17


 時和タウンで、黒の布を纏う男を倒した俺たちは、次の街へと向かう準備をしていた。

 道具をそろえ、明日の早朝にはこのホテルを出る。


 今日はアメリアといろいろなことを話したかったため、二人で酒場に向かうことにした。

 この前訪れた、勇者の酒場に来た。中世アメリカの酒場のようなところだ。


 「早速なんだけど、あの男は誰なんだよアメリア?」

 カウンターに座ると同時に、彼女に今日のあの男について聞いてみることにした。

 黒の布を顔を覆い隠すように纏い、大きな体格、そしてあの式神達。

 謎だらけだ、一刻も早く知り合いであろうアメリアに聞きたかった。


 「あれは…… 私の婚約者だった人です」

 彼女は下を向き、声には気がなくなっていた。

 辛い過去があったのだろうか…… 人の悲しい過去を詮索するマネはあまりしたくはない。

 ごまかすようにカウンターの店員にビールを頼んだ。


 「マスター、ビールをお願いします! アメリアも飲もう」

 彼女に飲むとも聞かず、彼女の分までのビールを頼んだ。

 マスターがこちらを見て、おkサインを出す。


 「あと、おつまみもお願いします アメリアは何か頼む?」

 アメリアがメニューを見ている。豆を頼むようだ。

 しばらくするとマスターが先にビールを持ってきた。


 「今時カップルの勇者さんは珍しいね! ゆっくりしていってよ」

 さわやかに彼が言う。見事な好青年だった。


 ビールを受け取るとお互いに黙ったまま、ビールを同時に飲んだ。

 前にも紹介したけど、ここのビールは美味い。現実の世界とは比べ物にならないほどだ。

 彼女の過去のことは聞くつもりはない。今日の俺が生き返った話でもしようかな。


 「「あの」」

 二人同時に話してしまう。付き合い始めたカップルかよ俺たちは。

 彼女は照れるようにこう言った。


 「先にどうぞ……」

 下を向くように、手を太ももに乗せ身を縮ませていた。

 彼女の顔は、ほのかに赤くなっている。凄い可愛いしぐさだ。


 「じゃ、じゃあ…… 俺のあっちの世界での話でも」

 そう言いビールを飲み込んだ。いい感じにお酒が回ってきた。




 「へはは 面白いですねえ」

 腹を抱えるように彼女は言った。目からは笑いすぎたのか涙が見える。

 人差し指で涙を拭いながら笑い、さきほどの堅苦しい感じが無くなってきた。


 「アメリアの小さい頃の思い出とか聞いてみたいな」

 横目でアメリアに言う。


 「わたしですかぁ、そうだなあ…… わたし実は魔王だったんですろぉ」

 飲みすぎてしまったんだろうか、べろんべろんで彼女は言う。

 確かに昨日の黒の布を纏う男がたしかそんなこと言っていたな……


 「昔から魔族は、女性が最高権力を握るしきたりがあるんですぅ。

そこで双子で妹だった彼女と権力をめぐる戦いをしたんです。まあ、わたしが勝ちましたけどお。

それで、わたしが魔王になりました。妹とはもともと仲が悪かったので魔族から追放させました。

元旦那だった、今日の人ですね。あの人からいろいろと説教をされまして、

『そんなにアイツが気になるならアイツのところに行けばいいと』言いました。

そうしたらアイツ本当に行ってしまったんですよぉおおお」

 ダムが崩壊したように彼女は泣きだした。

 あの人が相当好きだったんだろうな……

 突然号泣をして、俺はどう返していいか分からなくなった。


 「正直私には魔王なんて向いていませんでいた。未熟な私は一人で魔族を統治しなければならない、

何もかも出来ない私は、もう戻らない彼と妹を殺したいがために、少数の部隊と一緒に彼らが住んでいるところに行きました

彼らが許せなかったんですよ。わたしがこんなにも苦しい思いをしているのに幸せに暮らしてるんですよ

何よりも私の彼を奪った妹が許せなかった。全ての仕事そっちのけで殺しにいきました」

 彼女の感情が高ぶっている。グラスを握る手が小刻みに揺れこちらにも怒りが伝わってくる。

 ビールを勢いよく飲み干した。あまりにも壮絶すぎて俺の話が赤ん坊並みだあああああああ。


 「不意打ちに会い私は死にました。昔からそうなんですよ妹はずる賢い。頭がいいんですね

ショックだったのが、彼の性格が豹変していたことです。まるでネズミが虎になったような感じです……

多分彼は操らているんだと思います。でも、もう彼のことは好きではないんです」

 と言いこちらを見つめる。あれアメリアって俺に気があるのか?

 確かに俺は学生時代は彼女には恵まれなかったものの、それなりに女子に話しかけられていたからな。

 容姿はそこそこと自分でも分かっている。まあ自分では、自分のことがイケメンだとは微塵も思っていないが。


 「そ、そうなのか…… 取り合えずお代わりしよう」

 マスターにビールのお代わりをする。

 こんなにも飲んで明日は大丈夫だろうか。


 「だからというか、せっかく生き返ったので復讐がしたいです。そして何よりも……」

 そう言うと彼女は固まり、俺の方をまだ見ている。


 「いいえ…… これは内緒です」

 か、肝心なところは言わないのか……


 しばらく話した後、ホテルについて眠りについた。

 復讐が悪いだなんて微塵にも思わないし、彼女が復讐しようがしないがどうでもいい。

 いっぱい話したけどもっと彼女のことが知りたい。

 

 

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