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なんかよく分からないけれど怖い話  作者: 日暮キルハ


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6/9

卒業制作

 私は美術部の生徒で、毎年恒例の卒業制作展に向けて、巨大な油絵を一人で描いていました。

 テーマは「静物」。

 誰もいない夜の美術室で、私は毎日キャンバスに向かっていました。


 制作は難航し、締め切りが迫る中で、私は焦りから少しずつ疲弊していきました。


 ある日の深夜、絵を前に休憩していると、キャンバスの向こうから、誰かが私をじっと見つめているような視線を感じました。


 もちろん、美術室には私一人しかいません。


 私は気のせいだと思い、再び筆を取りましたが、その視線は消えません。それどころか、だんだん強くなっていきました。


 そのとき、ふと、自分の描いている絵に目をやりました。


 私が描いているのは、テーブルの上に置かれたリンゴや花瓶です。しかし、今日になって、絵の中に描かれた花瓶の表面に、小さな影が映っていることに気づきました。


 それは、手を組んで、じっとこちらを見つめている人の影です。


「なに、これ?」


恐怖を感じた私は、翌日、顧問の先生に「絵がおかしい」と相談しました。先生は、私の絵を見て微笑み、こう言いました。


「ああ、素晴らしいわね!ついに主題が描かれた。この絵のテーマは『静物』でしょう?あなたは、絵の中の物に魂を込めるという、美術の最も難しい技術を、自然と身につけたのよ」


 私は先生の言葉に納得できませんでしたが、締め切りはすぐそこです。私は残りの制作に没頭し、無事に絵を完成させ、卒業制作展で最優秀賞を受賞しました。


 そして卒業式の日。私は受賞した自分の絵の前で、友人たちと記念写真を撮りました。


 写真を確認すると、私の横でピースをしている友人の顔が、花瓶に映り込んでいる人影と同じように、無表情で、虚ろな目をしていました。


 私はその時、先生の言っていた「主題が描かれた」という言葉の意味を理解しました。

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