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なんかよく分からないけれど怖い話  作者: 日暮キルハ


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最高のスープ

 私の夫は、どんな食材を使っても、すべてを最高の味に変えてしまう才能を持っています。特に夫が作るスープは絶品で、一口飲むだけで体が温まり、心まで満たされるような気がしました。


 夫はスープ作りに異常なこだわりを持っており、私がキッチンに立つことを許しませんでした。材料や調理の様子は、絶対に誰にも見せないのです。


「最高のスープは、最高の秘密から生まれるんだよ」


 と、夫は笑って言っていました。


 ある日、仕事で疲れて帰ってきた私に、夫はいつものように温かいスープを用意してくれました。


 私はスープを一口飲んで、思わず目を閉じました。今日のは、いつも以上に深みと複雑な旨味があり、今まで食べたどんな料理よりも「おいしい」と感じました。


「ねえ、今日のスープ、今までで一番おいしいわ。一体何を入れたの?」


 夫は得意げに微笑み、こう答えました。


「特別な材料だよ。人が人を想えば想うほど美味しくなるんだよ。つまり……愛情だね」


 私はその冗談に笑い、「もう!変なこと言わないでよ」と言い返しました。


 そして翌日、夫が仕事に出かけた後、私は好奇心に耐えられず、初めて勝手にキッチンの棚を開けてみました。


 棚の中には、いくつかの瓶が並んでいました。一つは塩、一つは胡椒。そして、もう一つ、蓋の閉まった小さな瓶がありました。中には、細かく砕かれた骨の破片のようなものが少量入っています。


 その瓶のラベルには、夫の几帳面な字で、こう書かれていました。


『秘伝の出汁』:香り、旨味、コク。すべてを凝縮。最高のスープの隠し味。


 私はその説明書きを読みながら、ふと、昨日夫が言っていた冗談のような言葉を思い出しました。


 そして、同時に、一週間前に「お隣さんの家から、お隣の娘さんが失踪した」という、近所の噂が頭をよぎりました。


 その日の夜、夫が帰宅すると、私はいつもの笑顔で言いました。


「ねえ、あなた。今日の夕飯も、あの最高においしいスープが飲みたいわ」

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