消したい過去
私は、自分が開発したタイムマシンを起動し、この時代に戻ってきた。
私の人生は、後悔で塗り固められている。すべては、あの高校の卒業間際、想い人であるアヤカに告白する勇気がなかったことに起因する。もしあのとき告白していれば、私はまったく違う、幸せな人生を歩んでいたはずだ。
タイムマシンを隠すため、私は郊外の貸し倉庫を借りた。そして、高校の正門前で、過去の自分がアヤカを隠れて見ているのを見つけた。
過去の私は、臆病で震えている。私は彼に近づき、自分が未来から来た証拠を見せて、必死に説得した。
「いいか、今の決断で、お前の人生は決まる!どれだけ怖くても絶対に逃げるな!さもなくばお前はこの先ずっと後悔し続けることになる。私を見ろ!こんな風になりたいか?」
過去の私は震えながらも私の言葉を受け入れ、アヤカに告白した。
そして、その告白は見事に成功した。
私は知っていた。足りなかったのは勇気だけだったのだ。
二人が抱き合い、笑い合う姿を見て、私は目頭が熱くなった。ああ、これで私の人生は変わる。幸せな人生を手に入れることができる。
私は満足し、変わったであろう未来に戻るため、急いで貸し倉庫に向かった。
倉庫のシャッターを開け、中に入った瞬間、私は凍りついた。
倉庫の中は、がらんどうだった。
私が設置したはずのタイムマシンがない。
精密機械の配線や、実験器具の破片すら、どこにも見当たらない。あるのは、埃と、僕が慌てて運び込んだときの、見覚えのない足跡だけだった。
「そんなはずは……」
私は混乱した。故障したのか、盗まれたのか?
私は、タイムマシンを隠したはずの場所に立ち尽くし、ただ、自分の手のひらを見つめた。
私の手のひらには、長年の研究と孤独な作業によって刻み込まれたはずの、無数の小さな傷跡が、一つも残っていなかった。
私は、自分が長くないことを悟った。




