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なんかよく分からないけれど怖い話  作者: 日暮キルハ


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怪しい男

 私は小さなアパートで一人暮らしをしています。隣人は皆、顔を合わせても挨拶程度で、深く関わる人はいません。


 そんなアパートに、最近、いつも同じ男が頻繁に出入りするようになりました。彼は、どこの運送会社の制服でもない、くたびれた茶色のジャケットを着ており、いつも顔の下半分をマスクで覆っています。


 彼は、他の部屋の住人に荷物を届けているようでしたが、なぜかいつも玄関先で長々と立ち話をしています。その立ち話の様子が、いかにも怪しいのです。

 彼は荷物ではなく、何かを売りつけているように見えました。


 私はその男を無視していましたが、ある日、僕の部屋にも彼が来ました。


「ピンポーン」


ドアを開けると、あの怪しい男が立っていました。


「〇〇号室にお住まいの、タケシさんですね?」


 僕は少し身構えながら、「そうですが」と答えました。


 男は、僕に小さな茶封筒を差し出しました。封筒には、僕の名前も、送り主の名前も書かれていません。


「これは、あなたからの依頼品です。受け取ってください」


「依頼品?僕は何も注文していませんが」


 そう言うと、男はマスクの下で不気味に笑ったように見え、そして静かに言いました。


「いいえ。あなたは四日前の夜に、確かに私に依頼しました。これを受け取らないと、今後の手続きに支障が出ます」


 僕は拒否できず、その茶封筒を受け取りました。男は満足そうに会釈し、アパートの階段を下りて行きました。


 僕はすぐに封筒を開けました。

 中に入っていたのは、小さな鍵と、一枚の薄いメモでした。


メモには、「明日、午前10時に、裏の公園のゴミ集積所へ」とだけ書かれていました。


 気味が悪くなった僕は、その鍵とメモをすぐにゴミ箱に捨てました。こんな怪しい男の言うことなど、聞く必要はない。


 翌日の午前10時。僕は出勤のためにアパートを出ました。


 僕は、あの男のことはすっかり忘れていましたが、アパートの裏にある公園のゴミ集積所を通り過ぎたとき、ふと、立ち止まりました。


 集積所の、大型の南京錠がついた、金属製の大きなコンテナの前に、茶色のジャケットを着た男が立っていました。


 男は僕の方を一瞥しましたが、すぐにコンテナに視線を戻しました。


 そして、男は僕に、聞こえるか聞こえないかぐらいの小さな声で、誰に言うともなくつぶやきました。


「ああ、今日は誰も来ないか。仕方ない。このままにしておくと、新鮮なうちに処理できないな」


 僕はその言葉を聞き、身の毛がよだちましたが、そのまま立ち去りました。あの男と関わりたくない。


 その日の夜、僕は帰宅しましたが、アパートの隣の部屋から、何かをゴリゴリと削るような、異様な音が、朝まで鳴り響いていました。

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