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第1話 お前がママになるんだよッッッ!!!

 お前がママになるんだよッッッ!



 幼馴染のフリーゼがそう叫ぶと、僕は魔法の光に包まれた。


 彼女の魔法は何回も浴びてきたけど、これは新感覚だ。

 頭がポワポワするし、視界が全部虹色だ。しかも、ぐにゃぐにゃに歪んでいて気持ち悪い……。

 高熱の時よりよっぽどひどい。


 あ、徐々に落ち着いてきたかも。



「えっと、何が起きたんだ?」



 一体どんな魔法だったんだろう。

 体は……ちゃんと動くみたい。石化じゃなくてよかったー。あれ、結構つらいんだよな。


 まったく。

 いつもいつも、衝動的に魔法を使うのはやめてほしいなぁ。

 今回は僕の非が少し……いや、結構あったと思うけど、勘弁してほしい。


 って、おかしいぞ。

 

 なんだかフリーゼが小さくなってる。ただでさえかわいいのに、さらにかわいく見えちゃう。

 いや、それだけじゃない。

 椅子もテーブルも、なんだか小さくないか?


 いてっ。なんで天井が頭にぶつかるの?

 確かにこの家はあんまり大きくないけど、子供の頭がぶつかるほどじゃないのに。



「……ミース」



 ……あのー、フリーゼさん? なんでそんなに驚いているんですか?

 いつもは魔法が成功すると喜んで、満足げな笑みを浮かべるはずですよね?


 すごく嫌な予感がする。



「フリーゼ?」



 あれ、なんか声もおかしいぞ。

 普段よりも声が高いし、なんだか体のバランスもおかしい。


 なんか胸に柔らかくて大きいものがついてるし、お股が物足りない気がする。

 それになんだか肌がスベスベしているし、髪も長い?


 一体どんな魔法だったんだよ。



「ミース、これ」



 フリーゼ、なんで鏡魔法なんて発動してるの?

 自分の姿を見ろってことかな?

 あんまり自分の姿を見るのは好きじゃないんだけど、フリーゼが言うなら……。



「…………へ?」



 あれ、おかしいな。

 僕は12歳の少年のはずだったんだけど……。


 いま鏡魔法に映っているのは、どこからどう見ても、大人の女性。

 しかも、かなりの美人さん。

 多分30代後半ぐらいと見た。


 って、なんでこの人()(ぱだか)なの!?

 うわ、僕が動くと女性も動くんだけど!? どういうこと!?!?


 って、おわ!?

 …………いてて。

 なんか足元が滑ったんだけど。なんで布の破片がこんなに散らばってるの!?

 ん? よく見たら、見覚えのある柄だな。


 ……これ、もしかして僕が着ていた服じゃないか?

 どういうこと?

 魔法で弾け飛んだ?

 いや、鏡魔法で見た女性は裸だったよな……。

 

 まさか。


 これって、そういうことだよね?

 


「魔法のせいで、美女にTSしちゃったってこと……?」



 頭が追い付かないんだけどっ!

 いくら転生後のファンタジー世界だからって、こんなことあるの!?!?



「フリーゼ、何やったの!?!?」


 

 なんでキョトンとしながら頬を赤らめてるの?

 熱でもある?



「ママ……?」

「~~~~~~~~~っ!?」



 なに。

 なんなの、この気持ちっ!!!


 あのクールで、いつも僕のことを「ねえ」とか「ん」としか呼ばなくて、本ばっかり読んでて生返事しかしてくれないのに……!

 ギャップがすごい。萌える。


 キュンキュンが止まらない。

 これが庇護欲? 母性?

 フリーゼのこと、今すぐ抱きしめたい!


 でも、いきなり抱きしめたら怒られるし、がまんがまん。



「あ、いや、なんでもないから忘れて」



 え?

 無意識にママって言ってたの? この子。

 頬まで赤くしちゃって。鼻息が荒くなるのが抑えられないんですけど!



「ね、ねえ、もう1回ママって呼んでくれない?」



 ママって呼ばれるの最高すぎるんだけど!

 フリーゼにオギャリたいって思っていたけど、こっちも全然イケるっ!

 

 

「……顔、気持ち悪いんだけど。本当にミース?」

「当たり前だよ。フリーゼの魔法で」

「それはそうだけど、そんな姿になるなんて……」

「え、魔法が失敗したってこと?」



 天才魔法使いなのに、珍しいこともあるんだ。

 


「……失敗してない。ちょっと予想外なことが起きただけ」

「人はそれを失敗って呼ぶんだけど」

「…………」



 ()ねちゃった。

 あ~~~~~~~。

 機嫌が直るまで時間がかかりそうな顔をしてる。見分けるコツは頬の膨らみ具合。

 後でフリーゼの好きなアップルパイでも用意して、ご機嫌をとらないと。


 それにしても心配だ。

 僕、ちゃんと男に戻れるよね?


 落ち着くために、とりあえず。こうなった経緯でも思い出していこうかな。

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