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やおよろずヤケクソコーナー編  作者: iPhoneの中の人✌︎('ω')✌︎
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十二、優しさとは

書き換えをさせて頂きました。

狐乃「そこに座れ」


霧人「………はあ」


時間は早朝の5時。


誰もいないBlueFireの店内で、狐乃はソファー、霧人は床に直座り。


その隣には洲王が立っている。


閉店後、霧人は狐乃にお説教を受ける予定となっていた。


理由は狐乃がペット譲渡会から預かっていたキンクマハムスター、ピンキーちゃんの管理を怠ったからだ。


ピンキーちゃんの丸いフォルムは狐乃のハートを射抜き、今カノとして愛でられていた。


が、留守の多い狐乃では日頃の飼育ができない為、事務所で保護する事となる。


スタッフの控室の、テーブルの真ん中に。


肩身の狭そうな皆を尻目に、手厚い待遇を受けるピンキーちゃんは元気いっぱいに回し車を回していた。


それはもうガラガラと。


だが先日、交代制だったピンキーちゃんのお世話で、霧人は給水器の水を空にしてしまっていたのだ。


それを「ちゃんとやっていた」と誤魔化し、今に至る。


狐乃「お前は喉が渇いて水がなくなったら、どんな気持ちになる?」


狐乃はケージから出したピンキーちゃんを掌に乗せ、怒る訳でなく霧人に問うた。


霧人「そうっすね………」


霧人は視線を合わせる事ができず、掌のピンキーちゃんを見つめる。


ピンキーちゃんは逃げもせず、クシクシしていた。


霧人「やりきれねーなとか……」


ピンキーちゃんはクシクシしている。


狐乃「他には?」


霧人「……やるせねーなとか」


ピンキーちゃんはクシクシしている。


狐乃「違うだろ」


霧人「……違いますか?」


狐乃は「苦しい」と、素直な意見を言わせたいのだが、霧人は形容詞を連発してきた。


狐乃「もっとこう、あるだろ」


霧人「もっと……」


ありったけの言葉を浮かべていると、掌のピンキーちゃんに目がいく。


霧人「も……」


ピンキーちゃんは、静かにウンコをし始めた。


狐乃「苦しい、だ。水は全ての命の源だ、水がなかったらお前は苦しいだろ。ただでさえハムスターはデリケートな生き物なんだ」


小粒のウンコが掌に転がる。


霧人「………」


狐乃「俺はお前らを信頼してる、だからお前も俺の信頼を裏切る様なマネはして欲しくねぇ。些細な事でもだ」


霧人「……はぁ」


霧人の視線はウンコに釘付けになっていた。


狐乃「……わかるな。これからお前が俺に見せてくれる信頼とは、つまりなんだ?」


無論、ピンキーちゃんのお世話をきちんとする事である。


が。


霧人「……信頼?」


狐乃「そうだ、お前なりの俺との信頼はなんだ?」


霧人「……えっと」


視線はウンコに釘付けになっている。


霧人「……俺も狐乃さんの掌でウンコしても許されるくらいに、仲良くなる事です」


洲王「失礼……」


洲王がポケットティッシュを取り出すと、ウンコをそっと摘み取った。


狐乃は何も言わず、霧人を見ている。


狐乃「……違うな、そうじゃねぇ」


動じず、掌のピンキーちゃんを人差し指で撫でた。


狐乃「嘘をつかず、正直でいる事だ」


リラックスしたのか、ピンキーちゃんは仰向けでスヤスヤ眠りだす。


狐乃「わかったか?」


霧人「……それなら分かります」


狐乃「そうか、よかった」


霧人「嘘を付かなかったらいいって事っすよね?」


狐乃「そうだ」


霧人「じゃあ、あの……」


霧人は言いにくそうに、言葉を濁らす。


狐乃「なんだ、構わねぇから言えよ」


霧人「そのハムスターなんすけど……」


狐乃「ピンキーちゃんが?」


霧人「その、オスです……」


狐乃「……ん?」


霧人「そのハムスター、キンタマが付いてます……」


狐乃「……なに?」


視線を落とすと、ピンキーちゃんの股間には立派なタマタマが鎮座していた。


狐乃「……」


霧人「……」


洲王「……」


重苦しい沈黙が流れる。


狐乃「なるほどな……」


狐乃はため息をつくと、霧人をまっすぐ見つめた。


狐乃「……いつから気付いてた?」


霧人「初日からです……」


狐乃「お前だけか?」


霧人「みんな気付いてました……」


狐乃「……そうか。世話を任せっぱなしだった俺も悪いな」


もっと早く言ってほしかったがな。


そんな言葉を寂しそうにポツリと呟く。


霧人「お疲れっした」


霧人の居残りは終わり、朝日の差す早朝に帰路へとたどり着いた。


後日。


洲王「宿題がある」


洲王を通して課題が言い渡された。


原稿用紙3枚分、狐乃の出したテーマについて書いてくる事。


ホストの接客業として生かす意味もあり、今回の反省も兼ねてとの事らしい。


霧人「……えっと」


出されたお題は。


「空気を読む」


だった。






暑さのヤケクソで暴投となります。

申し訳ありません。


(本当に申し訳ありません、この回で書いているハムスターヘの飼育は間違っています。小動物の飼育や、暑さ寒さへの対応は大変デリケートです。ハムスターだけでなく、生き物はおもちゃではありません。フィクションの為、お許しください)


生き物は言葉を発せませんが、痛みや怖いなどの感情も持ち合わせています。


飼育するとしたら最後まで責任を持って頂き、安易なイメージを持たれない事をお願い致します。


ペットの飼育に興味を持つ前に、まずは動物園や水族館で飼育員さんのお話しなど伺ってみるのも良いかと思います。


(夏で水族館でしたら、もしかしたら桂浜水族館ではお時間が頂けるかもしれません)

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