9.勇者とは
あー意味分かんない。
何で急に襲撃されてるんだ?
「けが人は?」
「今のところはいません。」
「避難は?」
「一応隣町に全員避難完了させています。」
マジ優秀。
さすが。
で……何で来たんだよ。
「他にわかっている情報は?」
「えー、勇者様たちは南側から襲撃してきています。あと、肉弾戦はほとんど使わないで、攻撃方法は魔法の攻撃ばかりだそうです。」
魔法だけ?
魔王を倒したときに負傷した後遺症か疲労かで戦えないのか?
でもそうだとしたら近距離で戦う奴らは何してんだ……。
「とりあえずシーリス協会へ軍を貸し出してもらえるように頼んでくれ。」
「シーリス協会?何でです?」
「あーそうだった。えーっと……まあ、落ち着いたら話す。とにかく頼んで。」
「……はい。」
えーっと……今は考えられることを考えなきゃ。
まず……どこから突っ込めばいいのやら。
えーと……まずあいつの目的は……俺を殺すこと?
いや……どうなんだ?
まあ、最終的にはここまで来るだろうしわかるか。
南のどこらへんにいるのかわからないけど……えーっと、まぁさっき聞こえてきた音の感じからするとあと走って30分くらいか?
いや、絶対軍間に合わないだろ。
まあ、破壊活動しながら来てるんだとしたら一時間くらいか。
どっちにしても軍が来るの間に合わないだろうけど。
それに軍がどのくらいの人数来るのかも知らないし。
まあ、今の勇者パーティーに対抗できるくらいの人数……は無理だろうから200人くらい来るとして多分二時間位か?
いや、もっとか?
とりあえず最低二時間耐えないと。
幸い南側には畑とか無いし良かったけど。
南側にあるのは……家だね。
家か……全部村が賠償するとしたらすっごい金額になるね。
あーもう!
まじでさあ!
これは何が何でもアイツらからお金ぶん取らないと。
で、どうやってアイツらの足を止めるかっていう話何だけど……ほんとどうしよ。
あーーどうすりゃいいんだよ!
まだ俺村長なって数ヶ月何ですけど……。
もう追放したんだったら関わってくんなよ!
それもこれもアイツらが強すぎるし馬鹿なのが悪い。
どうすることもできない。
あいつらの足を止めるのに武力は無理だろうし、説得も無理だろう。
俺が出ていくのは完全自殺行為だし。
どうしたものか……。
「エイア様!只今戻りました。」
え?
はやっ!
まだ数分しかたって無いよ?
何したんだこの秘書。
「早すぎない?}
「えーちょうど行こうとしてたときに偶然シーリス様と会うことができて、事情を説明できた感じです。」
「何で、こんなところにいたんだ?」
「シーリス様によると一緒にお酒を飲みに誘いに来たらしいです。」
こんな状況で?
なんか、ちょっと気持ち和らいだわ。
「それで、あとどれ位で軍が来れるか聞いた?」
「はい。最速で一時間半で、最遅で半日らしいです。」
んーまあ、一時間半っていうのはいい。
いいんだけど最遅で半日って……いや、進軍が大変なのはわかるけどさ?
てか、進軍に一時間半ってどうやったらそんなことできんだ。
シーリス商店からここまで歩いて一時間くらいかかるぞ?
……あ、馬で来んのか。
だとしたら人数は求められなさそう。
でも、戦闘のプロが出てくるのはありがたい。
これで……いや、それでも時間稼ぎしかできないか。
……もう俺が行くしか無いか。
「ちょっと言ってくるわ。このままじゃ埒が明かない。」
「え?ちょ……え?いや、無理ですって。エイア様戦闘系の魔法持ってないじゃないですか。」
「そうだよ?まぁ……結果をお楽しみにってことで。それじゃ。」
「て、ちょっ……」
そう言うと俺は全速力で南側へ走り出した。
メイアさんがなんかいい始めてたけどもう知らね。
「あーちょっと……はぁ。」
エイア様って馬鹿なのかな?
流石に勝てるわけ……いや、あの人ならやりかねない。
「メイアさん。」
「―――!びっくりした。」
「何が起きてるんですか?」
「あぁ、そんちょ―――副村長でしたか。」
音もなく後ろに回り込むのやめてほしいんですけど……。
「えーっと今ですね―――」
私は今までに起こったことを全て話した。
「あぁ。そういうことでしたか。だからあんな音してたんですね。」
あー話しづらい。
なんかすごい話にくい。
私もよくそう言われるけどそんなのとは比べ物にならないと思う。
「じゃあ、私は………何すればいいのでしょうか。」
……私達することなくね?
戦闘力も無ければエイア様が何してるのかもよくわかってないから迂闊に動けないし…………あれ?
もしかして私お荷物?
まぁ……やること無いんなら待ってますか。
私達の村の村長の帰りを。
さーて、どうしようか。
目の前にはすごい轟音を立てながら環境破壊している勇者様いるんですけど。
なんですかこの状況。
んーよし行きますか。
「おい。お前ら。」
「……あ、やっと来た。」
「待ちくたびれたよエイア。」
まるで来るのがわかってたみたいな言い草だね。
「それで、何しに来たの?」
「まぁ……足止め?」
ほんとに勝てるわけないんだから俺にできることなんてこれくらいしか無い。
まあ、死なない程度にがんばりますよ。
「ふーん。じゃあ、死ね。」
ミナルがそう言うと目に見えない早さで何かが俺に進んできた。
そして俺はそれに反応できずに胸を貫かれた。
いきなりするのはずるいと思うんだけど。
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