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8.うざいって……

 「それで……何をしていらっしゃったのですか?」

 

 怖っ!

 帰ってきて開口一番それですか……。

 メイアさん怖いっすよ。

 

 「あのー、シーリス商会にいってですね……その後お酒を飲まないかと誘われまして……そのまま、あっちで過ごしました…………すいません。」

 

 シーリスさんのことは言わないでおこう。

 一応すごい人だし。

 なんか、ここで言っちゃったらシーリスさんの子券に関わるしさ。


 「てか、帰ってきて急過ぎないですかね。なんかあったんですか?」

 「いや、特に何も。」

 

 じゃあ、何で怒られたんだよ!


 「じゃあ……ちょっと今疲れてるから。」

 「それなら起きたときに大量に溜まってる仕事お願いしますね♪」

 「え……仕事?」

 

 いや、仕事なんか殆どなかったはず。

 たかが村長になっただけだし……あ。

 

 「いや、取引先への手続きとか10店舗分ありますよ?」

 

 うん。

 すっかり忘れてたわ。

 はぁ。

 

 「ちなみにどのくらいの量あるんでしょうか……。」

 「えーっと……3日間死ぬ気で頑張っても終わらないくらいですね。」

 

 まじすか……いや、他の村とかと比べたら少ないのか?

 わかんないけど。

 

 それでメイアさんは何でそんなにニコニコしてるんでしょうか。

 俺いない間に何あったんだ?

 

 「あ、そのうち三分の一は私が昨日のうちに終わらせておきましたので。エイア様がいないうちに。いないうちに!」


 は!

 メイアさん!

 あなた神ですか!

 マジ天使!

 あとまじごめん! 

 ほんとに。

 

 「あ……なんか急に。ほんと急に眠気おさまってきたから今からやらせてもらってもよろしいでしょうか……。」

 「はい。許可します。」

  

 流石にこんな状況で寝れるほど俺の神経は図太くありません。

 あー二日酔いがー俺の頭の中がー。

 まじで……頑張ろ。









 「―――これで…………おわった。」

 

 よ……し……ねる……か。

 おやす……み。

 

 「いや、まだあと1店舗ありますよ?」

 

 あのーメイアさん何でそんな元気なのでしょうか。

 もうあなた2日くらい寝てませんよね?

 

 「いやーエイア様の仕事が早くて助かりましたよ。まだ一日くらい仕方ってませんよ。あと少しなんですし頑張ってくださいよ!」

 

 あの……あなた鬼ですか?

 いや……やりますけどね。


 あと、明らかにおこってますよね。 

 ねぇ。

 ほんとごめんって。

 だから……寝させてください。

 








 【勇者側】


 「よし、これで……よし、魔王城に入れたぞ!」

 「やった!」

 「これで……あともう少しで……。」

 

 思ったより早くつけたな。

 それに……ヒーラーもいなくてもここまでこれたし。

 

 やっぱあいつは必要なかったってことだ。

 今頃あいつどうしてんだろ。

 生きてんのかすらわからないけど、まあ勇者の仕事を放り出して帰ってきたんだから相当叩かれてるだろ。

 ざまー!

 

 まぁ、今は魔王を倒すのに集中しよう。

 負けたら元も子もないし。


 「それじゃ……行きますか。」


 

 

 

 

 


 【エイア側】

 今度こそ……終わった…………。

 寝させてください。

 

 「今度こそ終わりですよね……。」

 「…………は……い……。」

 

 もうメイアさんも死にそう。

 もう副村長も来なかったし!

  

 「おや……すみ……。」

 「は……い。」

 

 そして俺は倒れるように横になった。

 二日酔い?

 もうそんな感覚無いよ。

 

 

 

 

 

 


 おはようございます!

 まじでスッキリした。

 えーっと……20時間寝たのか。

 もっと長いと思ってた。

 

 「―――ガランガラン」

 

 ……んえ?

 

 何の音?

 なんか転がったような音したけど―――


 「バーーーンッ」

  

 ……ほんとに何の音だ?

 爆破音っぽいけど……ちょっと見に行き―――


 「ヒュッ」


 ん?

 なんか……聞いたことあるような……。

 

 てか明らかにおかしい。

 なんでこんな大きい音してんだ?

 なんかまつりでもやってんの?

 いや、許可とかした覚えとかないからそれはないと思うけど……。

 

 

 「エイア様!緊急事態です!」

 

 お?

 どうしたメイアさん。

 この音のことですか?

 

 「勇者様たちが―――この村を壊しに来ています!」

 

 ……は?

 

 





 【勇者側】

 よし……倒した……。

 魔王を……これで……帰れる。

 俺はリュックの中から緑色に輝く石を取り出した。

 これは魔王城へ出発するときにもらったものだ。

 

 これを使うと一回だけワープする。

 この石のワープの座標はこの魔王城に行くときに出資してくれた国だ。

 

 「よし……けが人はいるか?」

 「全員怪我だらけですよ。てか、勇者様も怪我だらけじゃないですか。」

 「……あ、ほんとだ。」

 「気づいてなかったんですか?」

 「……うん……。」


 つい夢中で頑張ってたら、痛みに全然気づかなかった。

 

 「まぁ……帰ろうか。」

 「うん。」

 「そういや、エイアどうなってんのかな?」

 「……確かに。」

 「転移してしばらくしたら探してみるか。」

 「ま、生きてたらだけどね。」


 まあ、流石に行きてないだろ。

 流石に……ね?

 

 「それじゃ、行きますか。」










 

 人族領に帰るとまずは、パレードやら何やらに半ば強制的に出席されて大量のお金をもらった。

 それはもう大量の。

 

 その後は特に何もなくみんな自分の帰るべき場所へ帰る。

 はずだった。

  

 どこへ行っても「あれ?エイアさまは?」「エイア様どこ?」「なんでエイア様いないの?」と口々に民衆が言っている。

 なんでだ。 

 なんで、勇者パーティーから追い出したのにそれを誰も気づいてないんだ!

 なんで……あいつは追い出されたことを公表してないんだ……。

 

 それで、調べてみるとあいつは今どこかの田舎村の村長をしているらしかった。

 しかも、別に普通の生活をしているらしい。

 


 ……うざ。

 

 

 なんで、追い出したのに何の苦労もせずにそんな生活をしてるんだよ。

 おれは、何回も何時間もどれだけでも努力したし、あいつをおいだしてからもずっと頑張ってたのに……。

 

 潰したい。

  

 「みんな……これどう思う……。」

 「…………何も……考えたくない。私達より楽して冒険しててなんで……今こいつ楽しく生きてんだ……。」

  

 他のパーティーメンバーも同じような意見だった。


 「じゃあ……潰しに行くってことで……OK?」

 みんなは大きく首を縦に振った。

 

 こうして、エイアを潰すことが決まった。

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