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4.勇者様流石っすわー


 「おい、大丈夫か!」

 「ああ、なんとか。」

 「うん……。」

 「大丈夫。」

 

 目の前には大量の傷を受けながらも力強く佇んでいる魔物の姿があった。

 対してコチラも傷だらけだけどもう体力も気力も残っていない。

 

 はぁ。

 何でこんなことに……いや、原因はわかってる。

 【あいつ】を追い出したことだろう。

 

 「相手の様子は?」

 「結構大きい技出したからしばらくは大技を出せないと思う。でも……。」

 「あぁ、わかってる。このまま体力勝負になったら圧倒的にコチラ側が不利だろう。回復するアイテムも底をついたし……。」 

 「勝ち目は?」

 「ゼロでは無い……でも厳しいと思う。」

 

 あーうぜぇ。

 この亀が!

 

 今、戦ってるのは……簡単に言ったら亀。

 見た目はアレだけど、こいつめちゃくちゃ強い。

 意味わからん体力に耐性。

 広範囲で高火力の攻撃。

 今まで戦った中でも1,2を争うほど強い。

 森の中を歩いてたら急に出てきて……その後は……覚えてない。

 なんか無我夢中で戦ってた。

 

 でも……認めたくないがあいつ。

 【エイア】がいさえすればもっと楽に倒すことができただろう。

 なんやかんやあいつ優秀だったからな……。

 実戦ではあんまり使えないけどそれ以外の事前準備とかいろいろやってくれてたからな。

 だけど後悔はしてない。

 俺が勇者になって血反吐はいて努力してできた道を人気であいつは俺より頑丈で安全な道を短期間で作った。

 そんなの……嫌になるに決まってる。

 エゴだとしても俺は後悔をしない。

 

 ……てかそんなの考えてる場合じゃなかった。

 

 「それじゃ、一気に特攻しかけるぞ。このままじゃジリ貧だ。」

 「わかった。じゃあ俺が囮になる。」

 「じゃあ、ミナスはオルアの援護を。俺とクエルはそのスキに一気に畳み掛けるぞ。ミナルは援護を頼む。」

 「「「「了解」」」」

 「それじゃ行くか!」








 つ、疲れた……。

 まさか、こんなに苦戦するとは……。

 もう体中痛い。

 

 何もが完璧なサリアスはどこへ行ったのやら。

 もう寝よ。

 もう少しで魔王を討伐できるんだ。

 今頃あいつがのたれ死にそうになっていると考えると気力が無限に湧いてくる。

 まあ、あと一ヶ月位で討伐できるだろう。

 そのために何回今日みたいな賭けを行わないといけないのか……。

 今まであいつがやってくれてた雑用みたいなこともやらないとだからくっそめんどいし、あいつがまだいればあと半月くらいで魔王討伐できたのかもしれない。


 …………考えても仕方ないか。

 今日はもう寝よう。 

 ほんっとに今日はつかれた。

 ってことでおやすみ。

 

 

 

 

 

 

 「はっっっく……んん!」

 「どうしました?風邪ですか?あとくしゃみの仕方癖強いですね。」

 「んーそうかも。最近結構激務だったし。……それはほっとけ。」

 「色々やるのもいいですが、少しは休んだらどうです?別に政治をやれと言われているわけじゃないんですから。」

 

 しらないね。

 財政状況の回復とかもしなきゃなんだから実質政治だろ!

 

 この村、輸出もしていないのになんで財政状況が関係あるのかというと……なんと!

 普通に国に税金払うために必要なお金をいろんな村から借りてるから。

 

 だから近くの村への借金が……考えたくもない。

 しかも他の村で充分農作物あるから物々交換みたいな感じでお金と野菜を取引できないっていう……はぁ。

 

 

 でも、どうせリーダーなるんだったら村民の人たちには嫌な思いしてもらいたくないし。

 それに、村ちょ――副村長はなんか……なんか仕事させにくいじゃん。

 

 「まあ、休むのは無理だね。ま、これが終われば一段落するしゆっくりできるし?」

 「そう言い始めてもう2日経ってますが!」

 「まぁでももうほんとに終わるから。」

 「終わってきたのはいいことですがこれ本来は村民がやることですよ?」

 「だってこれ以外に今仕事ないんだもん。なんか村民のみんなが頑張ってるのに俺がゴロゴロするのなんか悪いじゃん?」

 「はぁ、そのしわ寄せが私にも来てるんですが?あなたの机の上にある紙の山を見てみてはどうですか?」

 

 机の上には高さ20センチくらいの紙の束が置いてある。


 「それは……ごめん。」


 今、村民が商売できる場所を確保するために色々といろいろしてる。

 それはもういろいろと……ね?

 売る場所の提供場所やら交渉やら……はぁ。


 〜三十分後〜


 「でも……これで…………よし!終わったーー。」

 

 うぉっしゃー!

 これでゆっくり寝れる。

 ってことでおやす―――


 「え……終わったんですか?」


 ―――?


 「え?終わったけど。それが何か?」

 「あ……いや、あと1日くらいかかるかと思っていたので……。っていうかあの量の紙の山全部終わらせたんですか?」

 「終わらせたけど?」


 それがなにか?

 

 「終わらせたじゃないですよ。なんでこの量三十分で終わらせられるんですか……。前まで一時間であの束が一センチくらいしかなくなってなかったのに……。」

 「俺結構優秀なんだよ?元勇者パーティー(雑用担当)舐めんな!本気出せばすぐ終わるんだよ!」

 「あ……そうでしたね。すっかり忘れてました。というか、そんなに優秀なら最初から本気でやればいいんじゃないですか?」

 「……それは……無理なお願いだね。本気でやるのはちょっと……」

 

 だってめんどいし……。

 

 「へー……でも本気でやっていただければ私の労働時間も減るんですけど。」

 「いや……でも農業やるの嫌でしょ?」

 

 この村は農業とか漁業とかそういう一次産業みたいなことにほとんどの人が就いていて、それ以外は俺みたいなリーダー系くらい。

 メイアさんも秘書はやってもらってるけどそれと同時に農業もやってる。

 

 こんな村だから家を立てるのにも他の村から来てもらわなきゃいけないしくっっそめんどい。

 

 …………あれ?


 「……もしかしてメイアさん怒ってます?」

 「何言ってるんですか。怒ってるわけないじゃないですか。」

 

 「そうですよね。はは…は…は。」

 

 メイアさんの目怖いんですが?

 うん。考えちゃ負けだよね。

 この話やめ!

 

 「うん。今日はつかれたからもう寝ます。おやすみ!」

 「はい。おやすみなさい。」 

 

 ちょっと、まじで笑顔でそういうの言わないで。

 ほんとに顔が笑ってないから。

 いや笑顔だから笑ってはいるんだけど笑ってないんだよ。

 ……どゆこと?

 

 ……いみわかんね。

 てことでもう寝よう。

 難しいこと考えるのはもうやだ!

 

 てことで今度こそおやすみなさい。

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