表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/13

2.村長になれ?……やだけど


 「ゴンゴンッ。」

 

 ……なに?眠いんだけど……


 「すいません。エイア様はいらっしゃるでしょうか?」

 

 ……無視決め込むか。

 

 「ちょっと話があるのですがしばらくお時間をいただけないでしょうか?」


 ………………


 「あのーすいません。いらっしゃいますよね。」

 

 …………


 「ゴンゴンゴンゴンッ」

 

 ……はぁ、でていくしかないか。

 

 「ガチャッ」

  

 ドアを開けるとそこには絶世の美女が……なんてことはなく普通のおじさんが立っていた。

 確か……誰だっけ?

 

 「はい……何でしょうか?」

 「えーっとですね。……まあとりあえずついてきていただきたいのですが良いでしょうか?」

 

 なんか……怪しすぎんか?

 何するのかも告げずについてこいって言うって……ふっつうにやべえだろ。

 

 「なんでですか?」

 「少しお話したいことがありまして……ちょっとここじゃ話にくい内容なので……ね?」


 こっわ!

 何?

 どんな話されるの?

 

 「……わかりました。それじゃ支度するのでしばらく待ってて下さい。」 

 「わかりました。でもその間にどこか言ったりしないでくださいよ?」

 「はっはっは、そんな事するわけないじゃないですか。はっはっは……はっは……は……。」

 「そうですよね。それじゃお願いします。」


 「ガチャッ」

 

 くっそ、逃げようと思ってたのに!

 感づかれたか?

 まあ、腐っても元トップ学園の主席クラスですからね!

 実は優秀なんでね!

 最悪刺し違えるくらいはできるでしょう!

 理想は常に低くがモットーなんで。

 はぁ……ま、怪しすぎる人は実は逆に怪しくないっていう可能性もあるしぱっぱと準備しますか。

 

  

 

 

 

 ―――すげぇ。

 めっちゃ豪華。

 あのおっさんに連れてこられた場所がこんなところだなんて……見直したぞおっさん!

 もしかしてこの人偉い?

 でも服装はふっつーだし……?

 「―――ということなんですがどうでしょうか?」

 「……は!すいません。よく聞いてませんでした。何でしょう?」

 「はぁ。じゃあもう一回言いますよ?まず―――」

 これは申し訳な……いやあやしいおっさんの話だし別に……うん。


 それから俺は長々と村長の話を聞いた。


 「―――ということなんですが。」

 「えーっと……言いたいことはわかりました。でもいきなり村長になってくれというのは……。俺最近ここに来たばっかですし……。」

 

 うん。言葉の通り村長になってって言われました。

 来たばっかりの人に!

 もう一度言います。

 来たばっかりの人に!

  

 「まあ、一応理由を聞いても?」

 「はい。現在この村は、現在危機的な財政状況や、農作物の不漁に悩まされています。」

 

 うん。よくある感じだね。

 

 「そこで、人気もあり教養もあるエイア様を村長にさせていただいて解決しようと思っているのです。」

  

 ……うん、まあ一応理にはかなってる。

 一応。

 人気のある無しは置いといたとしても学園で学んだことを生かすことはできるだろう。

 

 え?イキんな?

 しらないね!

 使える武器使って何が悪い!

 実際に使ってなんぼだろうが!

 せっかく習ったことを使えないよりはマシだろうが!

 

 ……はぁ、なんか疲れた。

 てか誰に向かってこんなこと言ってんだろう。

 まあいっか。

 

 「でも、それだったらあなたはどうなるのですか?サイリスさん。」

 

 サイリス―――現村長のこのおっさんだ。

 なんか……話していくうちにこのおっさん優秀なのでは?と思ってきた。

 まあ、村長になる時点で優秀なんだろうけどね。


 「そうですね……まあ老いぼれはここらで身を引くのが筋というものでしょう。」

 

 いや、見た感じあなた50代くらいですよね?

 充分若いと思いますが?

 そんな理由こじつけて俺に村長ゆずんなくていいから。

 

 「あの……せっかく頂いたお話ですが今回はご縁がなかったということで……」

 「魚」

 「え?」

 「山菜」

 「あの……」

 「肉」

 「ホントにどうしたんですか?」

 「全てこの村にあるものです。村長になっていただければ一ヶ月分それぞれ差し上げま―――」

 「わかりました!実は最初からなろうと思っていましたんですよ!」

 

 一ヶ月しかないからなんだ。

 食べ物は正義だから!

 これは対等な対価なんだ!

 

 でも、案外これいいのでは?

 来たばっかりの人にいきなりっていうのは意味わからんけど。


 アルミア村

 村民200人ほどの都から離れたところにある小さな村。

 周りには大きな森や池があり農業が盛ん。 

 本当に田舎オブ田舎みたいな場所で結構な穴場。

 

 うん。

 悪くない。

 

 ……あれ?働きたくないはずなのに何で村長になること承諾してんだ?

 …………まあいっか。考えたら負けだ。


 「それじゃあ、これからよろしくおねがいします。エイア様。」

 「はい。よろしくおねがいします。」


 こうして俺は村長になることが決まった。

 あー働きたくねー。






 それからは大変だった。

 村民からは歓迎されたからよかったんだけど、それからが……ね。

 まず、現状の確認をした。

 とりあえず、言葉の通り現在のこの村の状況を確認した。

 それでわかったのは……この村意外と大丈夫なんじゃね?ってこと。


 確かに財政状況や農作物の不良とかの問題はあった。

 でも、今まで何かを作って輸出することを中心にしていた財政状況は、余った農作物の輸出でしっかり良くできるし、その農作物は肥料を使うことでしっりり生産量を増やせるはず。

 なんとこの村、肥料を一切使わずに農業を行ってるんですよ!

 俺、別に農業には詳しくないけど肥料を使わずに植物育てるのってだいぶ難しいと思うんだよね。

 だから、今まで肥料使わずに高い品質の農業を行ってたんだから結構レベルは高いと思う。


 てか何でこの村農業輸出してないんだ?

 絶対儲かるのに……。

 この村が農業で有名っていうのも自家栽培のものを旅人が貰ってそれを転売したからだし……ほんとになんでなんだろ?

 まあいっか。

 

 で、その後に街の地図の作成。

 この村、細かい地図がなくて色々と不便だったから俺が作った。

 今考えるとなんでこんな忙しいときにこんな事やったんだって思うけどやってよかったって思いたい。

 まあ、幸い地図の作り方は学園で学んだから結構手際よく作れた。

 幸い小さい村だったしね。

 完成した地図には別に不思議なところとかもなくごくごくふっつーな地図が出来上がった。

 もう一回言います。

 やってよかったって思いたい。


 そして最後が大変だった。

 副村長やらなにやら1から決めることになって……全部頑張って決めました。

 諸君!

 褒めてくれても良いのだよ?

 それで、元村長だったおっさんは副村長に。

 秘書は―――まあ、いちいち語ってたらすっげー時間かかるからまたそれはおいおいね。


 「エイア様。それではこちらへ。」

 

 さて、そろそろ行きますか。


 「あぁ。うん。今行きます。」

  

 なんと本日、村長の就任式が行われます。

 たった200人くらいの村なのに!

 もう一度言おう。

 たった200人くらいの村なのに!

 

 まあ……ね?

 別に人前に出るの俺得意では無いんだけどこればっかりはしょうがないしね。

 …………はぁ。

 

 

 

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ