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11.vs勇者パーティー①


 さて……どうしようか。

 ここで勝っても畑が終わる。

 畑が終わるってことはこの村の生命線がなくなるってことだからといって荒らされてる方に行っても次はコイツらに村を荒らされる。

 ……終わってね?

 

 今更助けを求めることもできないし。


 それでいま俺ができることは?

 ……コイツラを足止めすることだけ。

 

 さて、それじゃ足止めしますか。

 うん。

 

 どうせ俺にアイツらは倒せないんだし。


 「……もう何もできないんだから足止めに全力注ぐけど……いい?」

 「いいって……別に許可取る必要無いだろ。そういうところなんだよ。」

 

 そりゃそうだ。

 何で俺許可撮ったんだろ。

 ……カッコつけたかったからですね。

 すいません。


 まぁ……始めますか。

 

 「ヒール!」

 

 俺は体力を回復する呪文を唱えた。

 ただし手順を逆にして。

 

 「……は?」

 

 唱えた瞬間急にあいつらの顔色が悪くなった。

 

 そりゃそうだよね。

 

 今やったのは体力を回復する魔法の逆。

 つまり、対象を疲れさせるっていう魔法。

 

 ずっと俺はいても意味ないと自覚していたから必死で覚えた。

 結局使う機会はなかったけど。


 「お前……何やった?」

 「いや?別に?ただ……いや、言わないでおこ。」

 「……クソが!」

 

 ハイ乙〜!

 まあ……流石にやりすぎたかな。

 

 目の前には激しく息切れしている。

 この世界で最高峰の戦闘力、学力を持ってる方々が。


 ……こんなに効くと思わなかった。

 多分魔王と戦ってて疲れてたんだろう。

 じゃなきゃこんなに効くわけない。

 

 「……それじゃ、とりあえず捕まえるよ?」

 

 さあ、どう動く?

 流石にこんなのであいつらを止められるとは思ってない。

 今捕まえると言ったのは相手に行動させるため。


 「お前さ……何でこんな力を持っていて使わなかったんだ。」

 「使わなかったって……使わせる環境を作ってないくせに何いってんだ。」

 「じゃあ、使えるって言えばよかっただろ!」

 

 いや……言ってっも良かったけど……追い出した後に攻め込んでくるくらい嫌ってたやつをお前ら使うわけ無いじゃん。

 ほんと……自分のことくらいわかっとけよ。


 「お前ら俺がこれを使えるって言ったとしても絶対実戦で俺を使わなかっただろ。」

 

 勇者はとても悔しそうな顔をしている。

 まぁ当然の報いというか……でもなんか可哀想に思えてきたわ。


 「じゃあ……そろそろ俺らも戦うぞ。」

 「どうぞ。許可取る必要ないと思うけど。」

 

 さて、どんな攻撃くるかな。

 大体の攻撃は知ってるけど、もちろん魔王とかへ使った大技見たいのは知らないし何してくるのかは知らない。

 まじで怖いけどそれ以上にその攻撃をどれだけ俺の力で無効化できるのかも気になる。

 別に体力を回復させる魔法の逆以外にも状態異常を回復させる魔法もあれば、最悪俺がやったみたいな致命傷を回復させる魔法もある。 

 

 流石に致命傷を与える魔法は使う気は無いけど。

 てか、消費する体力が大きすぎて多分使えない。

 でも、多分アイツらからしてみれば今何やられてるのかわかってないはずだから迂闊に俺に隙を見せることもできないだろう。

 

 ……なんか泥沼化しそうなのは気のせいでしょうか?

 


 

 

 

 

 


 

 【畑】

 「あの、ちょっといいですか?」

 「―――!」

  

 誰だこいつ!

 全然気付けなかった。

 

 「誰だ!」

 「誰と言われましても……この村の副村長というほかありませんね。」

 「副村長?」

 

 初耳だ。

 エイアについてはサイリスから色々調べさせられたが副村長の存在があることすら知らなかった。

 

 「えっと……勇者様のお仲間ですよね?」

 「……だったら何だ。」

 「いや、畑を荒らすのをやめてもらいたいと思いまして。」

 

 俺は畑の方に目をやった。

 そこには見るも無惨な畑の姿があった。

 植えられている作物は半分ほどもう地面の中から出てきていているし土の状況も最悪だ。

 

 ……何で俺にこんな役を……。

 いくら飛び道具がないからって……。

 

 「それで……やめていただけますかね。」

  

 そもそも別に俺はエイアに恨みなんか無いし何でみんながあんなにエイアを目の敵にしているのかもわからない。

 ただただその場の雰囲気……というか……うん、言い訳してもしょうがないか。

 別に恨みもなにもないけど俺はただ、誰にも嫌われたくなかったんだ。

 ……エイアにはもう会うことは無いだろうし嫌われても知らない。

 

 完全に自己中なことはわかってるけどそれでも俺の近くにいる人に嫌われたくない。

 

 「それで……あのー聞いてますか?あのー。」 

 

 それで? 

 じゃあ、今俺は何してるんだ。

 こんなエイアだけじゃなく大量の村人達にも影響がかかる。

  

 「あの!聞いてますかね!

 「あ―――ちょっと考え事してた……。」

 「それで?出ていってくれないですか?」 

 「―――どうすればいいと思う?副村長さん。」

 

 ほんとにわからない。

 何が答えなんだよ……

 

 「いや……どうすればいいとかじゃなくてやめてくださいよ。あなたがどんな境遇なのかは知らないですけど客観的に見たら超人気な人に逆恨みした勇者パーティーのメンバーたちが村を荒らしに行ってるっていうふうに見えてるんですよ?ただただ《嫌われる》だけなのに何でこんなことやってるんですかあなた達は。」

 

 ―――嫌われる。

 

 それは嫌だ。

 勇者パーティーのみんなに嫌われるのも嫌だけど周りの人全員がこれから俺のことを嫌う……それはもっと―――嫌だ!

 

 「わかった……やめます…………。嫌われるのだけは。嫌われるのだけは―――」

 

 嫌われるのだけは。嫌われるのだけは。嫌われるのだけは。嫌われるの―――

 

 「あ、ありがとうございます。それじゃ、早くどこかへ行ったほうがいいですよ?この村を荒らしたって気づかれますよ?」

 「わかった……帰り……ます。」

 

 そして俺は足を動かし始めた。


 

 

 

 

 


 

 

 


 「はぁ、精神力が弱い人で良かったですよ。このまま畑を荒らされたら溜まったもんじゃないですしね。」

 

 畑の真ん中で副村長はそう一人で呟いた。


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