表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/13

10.勇者メンバー?元勇者パーティーメンバー?そんなこと知らねーよ


「ヒール!」

 

 俺は回復魔法を唱えた。

 するとみるみるうちに傷口がふさがっていく。


 「……なんで……致命傷だったはず……。」

 

 うん。

 そりゃそんな反応になるよね。

 

 回復魔法とは本来戦闘を離脱した味方を戦線に復帰させるために使うものだ。

 こんな致命傷を回復させるためのものでは断じて無い。

 

 「だって……俺一応世界で最高峰のヒーラーだよ?たかが致命傷くらい治せるって。」

 

 ……たかが致命傷とか言ったけど結構治すのギリギリです。

 すいません。


 「……そういうことなら……回復できないほどに殺せばいいってことだよね。」

 「まあそういう事になっちゃうね。」


 こんな致命傷一発でギリギリなようじゃ確実にここで俺は死ぬだろう。

 それは困る。

 さて、どうしよう。

 さっき俺の胸を貫いた攻撃だってあいつが持ってる最低級の攻撃力の魔法だし。

 そんなので死にそうになってちゃもう絶対足止めなんか殆どできない。

 

 攻撃手段といえば……あるっちゃあるけど殆ど使ったこといし。

 まあ、使わなきゃ死ぬんだから使わない手は無いか。


 「それじゃ……反撃するけど……いい?」

 「お前ヒーラーだろ?攻撃手段なんて無いはず……」

 「いや、それがあるんだよね〜お前らがそれに気づいてなかっただけで。」

 

 そういえば勇者パーティーメンバー俺を抜かして4人いたはずなんだけど……何で3人しかいないんだ?

 あとなんで今までそれに気づかなかった?

 まさかとは思うけど……。

 

 「あのー恥をしのんで聞くけどもしかしてオルアだけちがうところから攻めてたりする?」

 「あ、今更気づいた?」

 

 あーもう!

 攻撃なんかしてる場合じゃねえ!

 ほんとなんで今まで気づかなかったんだ!

  

 多分あいつが攻めてきてるのは畑の方向。

 要は西側だ。

 

 ……いや、畑荒らされたらほんとに終わるんですが。

 経済的にも俺の精神的にも。

 

 「さて、村が終わるかお前の命が終わるかどっちが先かな?」

 

 さっきまで終始無言を貫いていた周りの勇者パーティーメンバーまで笑い始めた。

 

 あのさーきみら性格悪くない?










 【勇者側】


 やっとこれた。

 ここが―――あいつの村。

 アルミア村。

 

 「やっと……あいつを苦しませれるんだ。」

 「そうですね……俺達が死ぬ気で魔王を討伐したっていうのにあいつは今頃―――」

 「楽しく寝たり、机に向かって仕事したりしてるんだろうね。」

 「命の危険もなく。」


 メンバーが口々にエイアの悪口を言う中俺は色々と考えていた。

 

 作戦は考えてある。

 

 俺たちが畑もなにもない暴れたら被害が大きくなる住宅側から攻め込み、そのうちにオルアがこの村の生命線とも言える畑を壊す。

 

 住民はあまりいないはずだしこの村を見回る人数も少ないはずだからオルアが攻め込むのは気づかれにくいだろう。

 

 それに、あいつはヒーラーだから妨害される可能性も少ない。

 でも、可能性が少ないだけできっとあいつは来るだろう。

 なんとなく勘にはなるけど。

 

 それでも攻撃手段を持たない人間なんて俺たちの相手じゃない。はず。

 

 ……でも……アイツのことだからなんかしてきそうだけど……気のせいか。

 うん。

 そういうことにしとこう。

 きっと何も来ないさ。

 







 って思ってたのに……なんでまたこいつ来るかね。 

 ……でもこいつに何ができるんだ?

 

 ヒーラーって言っても致命傷は回復できないし一人ではなんにもできないこいつが。

 

 「それで、何しに来たの?」

 「まあ……足止め?」


 だからお前に足止めするための技術も攻撃もないだろって。

 馬鹿なんかこいつ。


 「ふーん。じゃあ死ね。」

 

 そんなことを思ってるうちにミナルが最速で光魔法を打った。

 それは俺の目でも目視できないほどのスピードで。

 

 まあ、これで死んだだろ。

 エイアの胸をミナルが放った光の矢が貫いた。

 無駄死にってこういうことを言うのか。

 

 「ヒール!」

 

 ……え?

 いや……そんなことしても意味ないだろ。

 回復魔法は致命傷は回復できないはず。

 なのに何で―――傷口がふさがってるんだ。


 「……なんで……致命傷だったはず……」

  

 ミナルが打った魔法は確実にエイアの胸を貫いていた。

 それは俺も確認した。

 こいつ……何をしたんだ。


 「だって……俺一応世界で最高峰のヒーラーだよ?たかが致命傷くらい治せるって。」

 

 ……何だよ……こいつ。

 致命傷を治せる?

 それはもはや神の技だろ。

 

 俺はこんなやつを追放したのか。

 ……いや、俺の判断は間違っていなかった。 

 間違うはず無いんだ!

 

 「……そういうことなら……回復できないほどに殺せばいいってことだよね。」

 「そういう事になっちゃうね。」


 ……そうだよ!

 いくら回復できたって回復する前に殺せば殺せる。

 幸いアイツは攻撃手段を持っていない。

 だから時間をかければ―――


 「それじゃ……反撃するけど……いい?」

 

 は?


 「お前ヒーラーだろ?攻撃手段なんて無いはず……」

 「いや、それがあるんだよね〜お前らがそれに気づいてなかっただけで。」

 

 それじゃ……何の攻撃をしてくるかわからないず延々と回復していくやつを相手に勝たないといけない……。

 それは……相当きつい。


 そんな中エイアがもしやという顔をしながらこういった。


 「あのー恥を忍んで聞くけどオルアだけちがうところから攻めてたりする?」

 

 そうだ!

 唯一の勝機! 

 オルアがこの村の畑を壊すこと。


 「あ、今更気づいた?」


 そういうと明らかにエイアの顔色が変わった。

 これは……どっちが勝ってもおかしくなくなったぞ。

 

「さて、村が終わるかお前が死ぬかどっちが先かな?」 



 こうして、エイアと勇者パーティーの直接対決が始まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ