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プロローグ

 「よし、行くか」


 「ええ、そうね」


 砂漠の真ん中、岩陰に隠れながら月のある夜に戦士のラシドはぽつんとある水場を見つめていた。

 そこには篝火が焚かれ、休息を取る兵士達が居る。

 ラシドは目を細めながら周りにいる黒服、黒頭巾の仲間達二十名に号令をかけた。

 一斉に馬に跨ると抜剣、月明かりに照らされた曲剣は怪しく輝き、自分たちを映す。


 「敵の数は?」


 「数は三百程。今回は少ないわね。ラシド」


 隣で馬に乗り、話しかけてきた細身の女性、名をサハルという。

 他の仲間と同じく黒服を着こみ、長い黒髪はそのまま流している。

 そんな彼女の褐色の美しい顔は憤怒に歪んでいる。

 だがそれはこの場にいる人間全員がそうであった。


 「行くぞ!ティエップの豚共を地獄に送ってやれ!!」


 「「「「おお!!」」」」


 ラシドの号令に、馬に跨った仲間はラシドを先頭に一斉に突撃していく。


 「『砂塵の民』だ!皆起きろ!!」


 「ギャアアアア!?」


 砂塵の民と言われる彼らは今現在戦っている敵国、ティエップ王国とかつて交流があった。

 

 「助けてく……」


 だがこのような状態になる少し前、問題が発生した。

 流行り病である。

 

 「逃げる者は追わなくていい!!向かってくる奴を狩れ!!」


 ティエップ王国に蔓延していたこの病、国民は教会で祈りをささげていたが効果は無し。

 国民は次々に死んでいった。

 

 「いやぁッ!!」


 「グァッ!!」


 そんな中、砂漠から来た砂塵の民は王国の人間に予防法、治療の仕方を教え徐々に病気は収束した。

 だが流行り病の収束後、『神に祈っても意味がない』など教会に対する不満が募るようになった。


 「ラシド!!あれ敵の指揮官じゃない!?」


 「俺に任せろ!!」


 信者が減少することを恐れた教会は『病気は砂塵の民のせいである!奴らが居る限り病はまた流行する!』と宣言。

 まだティエップ王国に残っていた砂塵の民への弾圧と虐殺を行った。


 「ひぃいいいいッ!!来るな!来るなッ!!」


 「指揮官が真っ先に逃げるとはな。恥を知れ!!」


 こうして、砂塵の民の戦士であるラシドは他の戦士と共に敵国となったティエップ王国との戦争に赴くことになったのである。


 「勝鬨を上げろォッ!!」


 「「「「ウオアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」」」」


 


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