第一章 第三話 異世界への準備
今日は、二話投稿です
真っ白い空間にこれまた真っ白な手のひらサイズの球体が、ふよふよと浮かんでいる。
「…ここ、どこだ?」
「気づいたかね」
球体から発せられる言葉に対し声がかけられる。
「どうやら意識はハッキリしているようじゃな」
「あ、はい」
「ほほ、では自己紹介といこうかの。わしは、この世界のトップ。創造神ガント」
「僕は、紫閃 和輝です。あのここはどこなんですか?」
「ここは君の生きていた地球とは違う世界から君の魂だけを引っ張ってきた。まぁ天界とでも言うべきか。」
「君は残念ながら死んでしまった。本来なら妹さんが亡くなるところを君が庇ったんじゃ。君の勇気ある行動で、妹さんは寿命まで過ごすことになるじゃろ。」
そう言ってガントと名乗った白く長い髭の老人は、空中にあぐらをかいて座った。
「はぁ…やっぱり死んだのか」
「うむ。そこでな、君にはこちらの世界で若くして死を迎えた少年の中に魂として入ってもらい、第2の人生をスタートして貰いたい。納得出来ないかもしれないが」
「わかりました。」
「…いいのか?」
創造神の言葉を遮った形になるが、思わず即答してしまい、神様はポカンとした顔をしている。
「…ゴホン。話が早くて助かる。何か要望があれば可能な限り叶えるぞ?」
(ん〜、要望か。これから行く場所がどんな世界かわからないからなぁ)
「こちらの世界の様子を教えて下さい」
「君が元いた世界と比べると、まだまだ発展途上といったところかの。人はもちろんいるが魔物もいるし、魔族もおる。おお!魔法が使えるぞ。」
(魔法が使えるのは嬉しいが、生活水準が低そうだなぁ。なんの知識もなく生活していくのは正直怖い…。あ。)
「いくつかお願いしたいんですが。1つ目が、人や物を鑑定出来るようにすること。これは、相手が嘘をついてるかどうかもわかれば、尚嬉しいです。」
「ふむ、鑑定の上位互換である、全鑑定をつけておこう。」
「2つ目が、異空間に物を置けるアイテムボックスが欲しいです。物を持って移動するのは体力を無駄に削ぐので避けたいです。」
「時間停止付きで容量無制限のアイテムボックスをつけておこう。」
「最後に、魔法を作れる魔法が欲しいです。自分の意思で魔法を作る事はもちろん、何かのきっかけで魔法を覚えるとかそんな感じにして欲しいです。」
「うーん、ちと難しいの。世界のバランスが崩れかねん…いやしかし…。よし、魔力1万を消費して魔法を作れる様にしよう。これなら、他の者はホイホイ作れんじゃろう。この世界に既にある属性魔法は、都度覚えられる様にしておいたからの。」
「ありがとうございます。」
「さて、そろそろ行ってもらうとするかの。おっと最後にわしからの”ぷれぜんと”じゃ。」
神様は球体の魂に軽く手をかざすと七色の光が僕を包む。
「すぐに死んでしまっては第2の人生を歩めないから、身体能力と魔力を底上げしとこう。体力に関しては地道に強化していって欲しい。」
「ここを君が離れたら干渉することが出来んからな、最後の”ぷれぜんと”じゃ。」
「ありがとうございます」
「手出しは出来ないが、教会で祈りを捧げてくれれば少しの時間は、会うことができるから何かあったら教会に来ると良い。」
「わかりました。困った時は相談に行きます。」
「では、またの」
そうして僕の意識は途絶えた。