序章
空気は淀み、川は汚染物質で濁り、
地は荒れ果て、
動植物の機能が完全に停止した世界。
酸素マスクをつけなければ
外を歩く事も叶わなかった。
神は怒り狂い、この現況を作った人類を
一人残らず削除するために、
地上に天使を送った。
終末戦争勃発。
神はまず、生命の誕生を拒んだ。
人間の健康な赤子の出生率は
20%にも満たず、
女性という理由で人権も奪われ迫害を受け、
意思など関係なく代理母として
宛てがわれる事も珍しくはなかった。
同性愛者は性の反逆として処刑されるか、
生殖機能を奪われ奴隷とされた。
人間は女性を子孫を残すための
道具とした。
そして神は、人間から光を奪った。
地球を布で覆い被せたように、
世界は闇に包まれた。
天使の襲撃も相次ぎ、
環境汚染が原因で
体に影響を及ぼしていた地上を捨て、
地底にひっそりと住居を築いた。
私は代理母として有能な子孫を残すため、
西の中将の元に送られた。
それは中将の妻である
彼女との出逢いだった。
この闇の蔓延る世界で、
密かに惹かれ合い想いを重ね合った。
決して幸せとは言えない残酷な環境で
人類は神に抗う術は無かったのだ。
悲しい最期を迎えてしまったが、
それでも希望は捨てきれず
来世を夢みて誓い合った。
生まれ変わっても
貴女とまた巡り逢えますように…と。