表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

49/101

リヒト対アイゼン

 さすがのアイゼンも目を丸くした。

俺がクレイモアを闇に染めたのを見て、周囲の壁も俺が操作している事を気付く。


「ははは、なんだそれ」


 俺のクレイモアと闇の壁を交互に見て。

アイゼンが乾いた笑いと一緒に呟いた。


「俺は上位属性の光、無適正に次ぐ第3の例外。闇の属性適正者だ」


「なるほど、なるほどなぁ。聖騎士団を追われたのはそういうことか。凄いな。こんな身体になった身で言うのもあれたが、おぞましいもんだ。人間の形をしてるのに、俺より化け物に見える……!」


 アイゼンはそう言ってゴーレムの拳を振りかぶった。

()いで撃鉄の音。

手の甲と肘、上腕から炎を噴き出し、加速した鉄拳が俺の顔面に向けて放たれる。


 俺はクレイモアの腹で拳を受け止めた。

その衝撃の全てを刃に(まと)わせた闇に吸収させる。


 アイゼンは(てのひら)を俺に向けた。

ガチン、という金属音と共に、そこから爆炎を噴き出す。


 すかさず俺は闇を渦巻かせて炎を後方へと受け流した。

属性の炎と違ってこれは実際に熱を伴った炎だ。

それもかなり圧縮されて凄まじい高温。

これはさすがに警戒しないと。


 炎が晴れた時、目の前にアイゼンいなかった。


 目の(はし)に移った輝きを追って。

俺は素早く視線を切った。


 炎は俺への攻撃だけでなく、目眩(めくら)ましと移動のための推進力を兼ねていた。

噴き出した炎を利用して加速を続け、身体を大きくよじって地面を蹴ると垂直に曲がる。


 小回りは今一つだけど直線での最高速度なら今まで俺が戦ってきた相手の中でもかなりのもの。

先の一撃で攻撃は吸収されると察したのか、おそらく俺の隙を突く算段だ。


だけど俺とアイゼンとじゃ踏んだ場数が、違う。

その程度で翻弄(ほんろう)されたりはしない。


 俺は闇を全身に(みなぎ)らせた。

闇による身体強化を最大にして駆け出す。


 俺は闇をたなびかせ、アイゼンを追って疾駆(しっく)

同時に闇を(まと)わせたクレイモアを続け様に振り抜いて。

放たれる巨大な三日月型の斬撃がアイゼン目掛けて飛翔する。


 アイゼンは俺の攻撃に気付くと小刻みにステップを織り混ぜた。

慣性で前後左右に振られながらも俺の放った攻撃をかわし、時にゴーレムの拳でいなす。


 あの右腕、かなり硬いな。


「直接斬らないとダメか」


 俺は大きくクレイモアを振りかぶった。

同時に背中に闇を集中。

踏み出した足が地面を蹴るのと同時に集めた闇を解放して。

俺の背から巨大な翼のように闇が拡がった。

アイゼンの炎に対し、俺は闇を使って加速する。


 ガチン、と1度。

さらにガチン、ガチンと音を連ねて。


 アイゼンは身をひるがえした。

俺を正面に捉え、ズザザザザと両足が土煙を上げながら(わだち)を刻む。


 右腕を振り上げ、複数回分の威力を蓄えた(くい)が膨大な熱を帯びて発光。

俺のクレイモアを迎え撃つようにアイゼンは白熱する切っ先を打ち出した。

(くい)を射出した炎がアイゼンの背中に繋がる装甲部から噴き出し、その背後を紅蓮(ぐれん)で包む。


 (くい)の威力も相殺できてる。

このまま刃を振り抜けばその右腕を無力化できる。


 だけどアイゼンの背から吐き出された炎は凄まじい勢いで膨らんだ。

あと一拍の間にアイゼンと俺とを炎で飲み込むだろう。


「掴まえた」


 逃げる間もなくアイゼンの声。

アイゼンの左手が俺の腕を掴んでいる。


 回避、できない。


 そして刹那(せつな)を切り取った俺の視界で、アイゼンが自身の炎に飲まれた。

炎に消えるアイゼンの顔には笑み。

いで拡がる炎が俺の肌を舐める。


 俺はクレイモアに(まと)わせた闇の全てを解放。

紅蓮(ぐれん)の炎の波を闇の渦で押し返す。


「そこだ!」


 炎と闇を貫き、アイゼンが拳を振るってきた。

クレイモアの闇を放出した隙を狙ってきていて、闇を纏わないクレイモアじゃアイゼンの攻撃は防御はできない。

そして闇を集めるには時間が足りない。


 だから、俺は闇を散らせた。

偽装の光刃。

アイゼンの生み出した膨大な炎の光を利用して、その目の前を目映(まばゆ)い光で包んだ。


「……っ!」


 閃光に(ひる)んだ隙に俺はクレイモアでアイゼンの腕を斬り突けた。


「馬鹿が! お得意の闇を使わないで俺の腕が斬れるわけがねぇだろ」


 アイゼンが今度こそ拳を振るう。


 対して俺のクレイモアは黒く染まっているけど、先ほどまでのような暗黒になるほどの密度はない。


 アイゼンは勝利を確信して拳を振り抜いた。


「────は?」


 だけどアイゼンの拳は俺に届かない。

決して傷つかないと油断したその右腕を断ち斬られ、アイゼンは顔を青ざめさせる。


(ひる)んだ隙に斬りつけた一撃はダメージを与えるためじゃない。アイゼンの右腕の闇を奪って弱体化させるためのものだよ。1撃目で相手の闇を奪って弱体化させて、2撃目で仕留めるのが俺の基本となる戦闘スタイルだ」


 ドサリと鈍い音を上げて落ちたゴーレムの腕。


 俺は闇を色濃く(まと)って再び暗黒色となった刃をアイゼンに突きつける。


「お前の負けだ。アイゼン」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ