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防御魔法しか使えない聖女はいらないと勇者パーティーを追放されました~そんな私は優しい人と出会って今は幸せです  作者: 土偶の友@転生幼女3巻12/18発売中!
第1章 聖女は出会う

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5話 グリズリーベア

「はぁはぁはぁはぁ」


 私は奴らから逃げ切ったと思う。後ろの方から声が聞こえることもない。後ろを確認するけど未だに追いかけてくることもないし大丈夫だろう。


「はぁ、何であんないきなり出てきたんだろう」


 グリズリーベアは攻撃性が高いからいいとしてもグレイビーバードは基本的には温厚な魔物のはずだ。あんな勢いで威嚇してくるなんて事もほとんどなく、出会えば逃げていくのが常だった。


「私が一人だったからなのかな?」


 不思議に思うが答えは出ない。もしかしたら勇者が生まれたということは魔王も生まれているということ。それによって魔物も凶暴化しているのかもしれない。昔にそう言ったことがあったと院で習ったのだ。


 それにしても今回ばかりは助かった。あいつらがいなければ今頃グリズリーベアの巣の中だったかもしれないのだから。


「急いで帰らなきゃ……」


 一瞬頭の中で勇者パーティの皆に知らせなきゃいけない。そんな事が頭をよぎるが恐らくそれは出来ないだろう。それに私はもう……捨てられたのだ。彼らについて悩むことは止めよう。


 私は急いで街への道を再び戻ろうとして気が付く。さっきの魔物2体から逃げていたことでここがどこなのか分からないのだ。そして同時に安心感から空腹と水筒の中身もだいぶ減っていることに気付く。


 どうしよう、ここから一番近い川とかも分からないし、近くに木のみとかはなっていないかな。


 そう思って上を見ながら歩き回ったり、川の音が聞こえないか時折耳を澄ます。しかし周囲は木ばかりで何も出てくるような状況になかった。それから更に1時間ほど歩いたところで出会いがあった。


「グルアアアアアア!!!」

「さっき別れたばっかりじゃない!」


 私はグリズリーベアと再度ご対面していた。その個体はさっきの個体とは違って少し大きく、毛並みも艶があるように見える。


 私はまたしても走って逃げることになったが、心の中は絶望感で一杯だった。たった数時間の間でこんなに魔物と出会うなんて、とてもじゃないが帰れない。だけどこのまま食べられてしまうのも嫌だ。私は逃げることにした。


 しかし、それは叶わなかった。


「やめてええええええ!!!」


 私はグリズリーベアに追いつかれ、激しい攻撃に晒されていた。周囲はたまたま岩に囲まれていて、唯一の入り口はグリズリーベアが塞いでいる。狭い場所なら奴が入ってこれないと思って入ったら奥は1ⅿも無かった。


 ガキン! ザギン!


 グリズリーベアの爪や牙が私の服につき立つ。が、それは表面で止められており、少しの痛みもない。少し衝撃が来る程度だ。私自慢の防御魔法はやっぱり健在なのだ! と勇者パーティの皆に自慢したかったが、そんなことをする暇はない。


 グリズリーベアは私に牙が通らないことを不思議に思いながらも、牙や爪を立てることをやめない。どれだけ私のことを食べたいんだろうか。私よりもサラとかディーナの方がおいしそうなのに。


しかし、それから数分。


「はぁ。どうしよう」


 未だにグリズリーベアは私への攻撃を止めないが、それでもこれだけ攻撃されても問題ないので、私は少し緊張感が無くなってきていた。


 魔力量の事も心配だったが実は問題がなかった。勇者パーティにいた時は戦闘時は皆に防御魔法をかけていたり、ちょっと危険な所を登ったりする時にも防御魔法をかけていた。


 そのせいもあってか私の魔力量は鍛えられていたようで、魔力切れを起こしたことはない。だからこの状況もどれだけ見積もっても10時間は大丈夫なように思う。


「かと言ってこのままずっといるのはな……」


 何か出来るものはないかと周囲を見回す。周囲は岩に囲まれているだけで何もない。と思ったら直ぐ傍に丁度いいサイズの木の枝が落ちていることに気付いた。


「……」


 私はそれを見てもしかして、と思い拾い上げる。そしてその木の棒に防御魔法をかけ、その棒でグリズリーベアの目を思いっきり突いた。


「グルアアアアアア!?!?!?!?」

「やった!」


 グリズリーベアはずっと無抵抗だった私に反撃されると思ってなかったのか驚いて下がっていく。


 よし、この隙に! 私はその空間から抜け出し、また逃げに徹する。あのままでも死にはしないかもしれないが、走りっぱなしでお腹もすき水も残り少ない。


 だからこのままあいつの相手をしている訳にはいかない。


「グルアアアアアア!!!」


 後ろから奴の怒り声が聞こえる。更に追いかけてくるようだった。私は必死に逃げて遂に湖の様なところに飛び出る。


 そこに一人の男の人がいた。


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