46話 お兄ちゃん?
クロエ達に話は戻る。
ケルベロスの素材などを売却することに成功した次の日の朝、彼らは宿の1階で食事を取っていた。
「ここのご飯も美味しいですね」
「だろ。俺がここに宿を取っている理由の一つがここの飯だ。他の美味い店にも近いがここの店も充分に美味いんだ」
「なるほど」
「毎日食べるものだからな。それをおろそかにするなど有り得ない」
「フリッツさんのことだからそんな理由だろうと思っていました」
会話をしながら温かいスープやパンを食べる。そして今日のこれからに話が変わっていく。
「それでだな。クロエ」
「はい?」
「これからどうしようか?」
「これからとは?」
「目的だった例の素材も売れた。後の用事はクロエのことだけだぞ?」
「あーそう言えばそうですね」
どうやってケルベロスの素材を売るかしか考えていなかった。先生にあった時はあれだけやりたいんですと言っていたのにフリッツさんのじょそ、……素敵な着替えを見るためにちょっと張り切り過ぎてしまった。
「それで、何がやりたいんだ? といっても何が出来るかは分からないからな。一度冒険者になってみるのもいいかもしれない」
「冒険者ですか?」
「ああ、冒険者なら色々な場所に旅も出来るし、その防御魔法も使えるし料理セットやその腕前も存分に使える。そして、最初の内は街の中の探し物とかだが、それで店の人と仲良くなることもあるからな。やりたいことを探すのに使える」
「なるほど……」
「料理や裁縫をしようと思うと、それぞれの街にギルドがあって名乗ることが出来なかったりするんだ。若しくは大量の金が要る。まぁ、今のクロエには充分あるのかもしれないが、それでも無駄に使うこともないからな」
「なるほど。では私も冒険者になってみます!」
「いいぞ、案内はいるか?」
「お願いしてもいいですか? 実は入ったことはあるんですが、人の後ろに隠れていることが多くてあんまり知らないんです」
「そう言うことなら任せろ。これでもCランク冒険者だからな。お安い御用だ」
「よろしくお願いします」
「といってもこのまま直ぐに行くとかなり混んでいて面倒だから、少し街中を観光してから行こう。どうせ今日やれることは冒険者登録とどんな依頼があるのかを見るだけだからな」
「分かりました。お兄ちゃん?」
ちょっとふざけて言ってみた。
「……」
「ど、どうしました?」
「も、もう一回言ってくれないか?」
「え……やです」
なんだか危険な感じがして断っておいた。遊びでいうんじゃなかった。
フリッツさんは残念そうにしながらも『わかった』といって上を向いていている。
私は不思議に思いつつも美味しい朝食を食べて、身支度をすませた。
こうして私たちは冒険者ギルドに向かう。
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