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ヒーラー:ミリティ

 声がした方を振り向くと、つぶらで蒼い瞳と目があう。

 その次に、周りを見渡すと、この階層に残っているの俺たちくらいだと理解した。


 「ごめん、ミリティ」


 同じ高さの目線をもつ少女へと謝る。

 身長は約145cmと、俺と大した差のない背丈の少女は、同じ村で生まれて家が近いからということ一緒に育った幼馴染のミリティ・ロンガ・ローレンス。

 魔王城に行きたいと両親にわがままを言った俺に付いてきてくれた幼馴染だ。

 職業は回復魔法を得意とする癒し手(ヒーラー)

 俺の母が使用していたという、ところどころブカブカなところが目立つ真っ白な神官服の着ている。

 神官服というのはなぜか肌の露出が多くしているらしいがこの服はそうでもない。母はグラマラスな女性であり、まだ成長途中であるミリティとは体格に雲泥の差があったため、服のサイズを調整した際にそういった部分がなくなったためだ。

 正直いって目のやり場に困るので助かる。

 

 「どこか身体が悪いの?あたしが魔法をかけてあげよっか?」


 そう言いながら、装備アイテムである回復魔法の質を向上させる杖……”初心者の杖”を俺へと向ける。


 「大丈夫、大丈夫。これから80階層だからな、達成感による感銘を受けてこれまでのことを思い出してたんだ」

 「そっか、ならよかった」


 杖をひっこめ両腕で抱きしめながらミリティは安堵した。


 「まーくんには、あたしがいるんだから、困ったらいつでも言ってね」

 「その時は頼むよミリティ」

 「まかせなさ~い。へっへ~んなんせあたしはまーくんよりもお姉さんだもんね」


 一応1つ年上のお姉さんだ。

 お姉さん風を吹かせられ、頼られたのが嬉しいのか、ミリティは満足げ。

 今回のみならず、ちょくちょくと年上だからとマウントをとってくる。

 それ自体には悪い気はせず、一人っ子である俺としては姉がいるのは嬉しいが、少々ドジなとこがあるのが難点。よく一緒にいるからこそ、俺は毎度迷惑をこうむっている。

 とくに悪意がない点が困ったところだ。

 ミリティは基本的に善意で行動をする。

 もっともたる例は……幼いころから俺の母に、適性があるからと回復魔法を教わっていたのだが、たまに、ごくたまに、回復魔法を掛ける際に間違えて攻撃魔法をぶっぱなしてくることだ。 


 「じゃああたしたちも行こっか、まーくん」

 

 俺の名前はアルベルトなのだが、ミリティは俺のことを「まーくん」と呼んでくる。

 「ま」という文字は俺の名前には存在しない、つまり……そう、まーくんの「ま」は魔王の「ま」から来ていた。

 言っておくが元魔王であることはバレていない。昔は「アルくん」と呼ばれていたりもした。ならなぜミリティが俺のことを「まーくん」と呼ぶのかと言えば……、


 「マオーさま、困ったことがあればミリティさまではなく、このワタシに言ってくださいませー!」


 2つある原因の1つはこいつだ。

 ハッハッハッと、俺の足元で健気にしっぽを振りながら存在をアピールしてくる子犬……もとい、ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアに似た真っ白な犬型の魔獣。

 俺の忠実な(しもべ)である魔神グラシャボラスのせいである。

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