2日目 前編
長くなったので分割しました。
3月某日の朝7時半。室内に響き渡るShiny Daysによって目が覚めた。それから少しだけ二度寝をしたが、その一因がこの日記であることはほぼ間違いないだろう。身支度を整えてから向かったレストランは、泊まっているホテルからは想像できないほどお洒落な場所だった。
食事を済ませた私たちは、バスに揺られて空港近くのレンタカー屋へ。若干の不慣れさを隠しきれていない女性従業員さんと、ちょっと耳の遠い男性従業員さん(どちらもとても親切な方々でした)に手続きをしてもらい、予約していた車へと乗り込む。正直、初めてのレンタカーの手配がちゃんとできているかで私もドッキドキのワックワクだった。
この日の予定は石垣島全体を半時計回りにドライブするというもの。レンタカーを手に入れた私たちは、まず最初の目的地、玉取崎展望台へ向かった。石垣島の道は、市街地周辺を除けばほぼ一本道。しかもオフシーズンと言うこともあり、私達以外の車にはほとんど遭遇しなかった。車を転がすこと10数分。カーナビの目的地付近であることを知らせる声が鳴ると、入り口らしき立て看板が視界を横切った。うん。横切っていった。今はバックミラー越しに見えている。どうやら通り過ぎてしまったらしい。直ちにUターンを行い、どうにか目的地に辿り着いたのだった。
この玉取崎展望台は石垣島北方を一望できる。天候にも恵まれたこの日は、白く輝くビーチから生い茂るサトウキビ畑まではっきりと見ることができた。当然ながら私たちがこれから向かう目的地のいくつかも確認できたので、旅の始めとしてここまで相応しい場所もなかったかもしれない。
引き続き私が運転手を務め再び北上する。次の目的地は明石町にある食堂だ。相変わらずの一本道だが、こちらとしては迷う心配もないので正直助かっている。おっと、どうやらさっきの道を右折しなければならなかったらしい。行き過ぎてしまったようだ(2回目)。そんなこんなで到着した明石食堂。ここは石垣島経験豊富な友人から『是非に』と勧められた場所だ。聞いていた通り、お昼にはだいぶ早い時間にもかかわらず既に多くの人が並んでいる。ようやくありつけたソーキそばは、沖縄そば特有のあっさりスープにパスタのような独特の麺を絡めたものだった。極め付きはがっつりとしたソーキだろうか。脂っこいものが苦手な私にとって、これほど食べやすいそばもない。ごちそうさまでした。
お店を後にすると、予定では北端にある灯台を目指すことになっていた。が、ここで少しわがままを聞いてもらい先の展望台から見えていた明石ビーチに寄らせてもらった。明石食堂から数分の位置にあり、道路を折れた先、入って良いのか躊躇ってしまいそうな茂みの奥にそれはある。大人の背丈を超えるほどの草木の中を走る道を抜けると、目の前には碧く輝く海が広がっていた。使い古された表現だが、これ以上にしっくりくる言葉を私は持っていない。打ち寄せる波と湿気をはらんだ風の他に音は無く、私達以外の人間も誰も…壮年のご夫婦がいらっしゃいますが、それ以外は誰一人としておりませんでした。最高。この一言に尽る景色だった。これまでに数度沖縄を訪れたことはあったが今回初めて、“いわゆる沖縄”を経験できた気がする。そんな砂浜だった。男二人でさんざんはしゃいだ後、予定通りのコースに戻るべく車を発進させたのだった。
今回の日記の最期を飾るのは、石垣島の最北端、平久保崎の灯台だ。俗称は“恋する灯台♡”。舐めてんのか。明石町を発った我々はまっすぐに灯台へと向かう。この頃には私も運転に慣れてきおり、ある程度景色を楽む余裕も出てきていた。道は相変わらず一本だが、島全体が徐々に細くなっていっているためか、人気のない砂浜が現れては消えていく。例えるならば、鋭利な矢じりがところどころ欠けているイメージだろうか。流石に一本道を通り過ぎることもなく、今回はしっかりと灯台に辿り着くことができた。ここで私必殺のバック駐車が炸裂したことを克明に記しておく。駐車場前のお店でちんすこうソフトを買いつつ灯台へ向かうと、思っていたより人は少なくのんびりと景色を楽しむことができた。岬の先端の建つ白い灯台とそれの背後でなびく青い海。これだけならば本州でも見ることができそうだが、海の色がそれを南の島へと昇華させている。インスタ映えすること間違いなしだろう。インスタやってないから知らんけど。灯台の向かい側には岩山があり登れるようになっている。頂上は灯台よりも少し高い位置にあるため、その全体像だけでなくここに至るまでに通ってきた道まで一望することができた。まあ、足場は悪いわ斜面は切り立ってるわ風は強いわであまり長居したい場所ではなかったが…。
>>後編に続く
続くよ。