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今日から学校と仕事、始まります。②莞

リアル出禁

作者: 孤独

「こんな人を二度と来させないでください!!」


ネット的な出禁というのは、その人がサイトのご利用をできない事で、その人が困るというものである。管理者様がご丁寧な対応をすることも忘れてはいけない。

飲食店とかもお店側の人間が、とても丁寧に、その人をお断りするのである。


手間暇かかるが、サービスの提供者側がその人を出禁にしたわけで。この応対は仕方ない苦労であろう。出禁にしたのに懲りず来る人には、困ったものである。

そこらへんの詳しいやり取りについては、よくは知らないので話を作れないが。

これは、知っている出禁についてのお話である。

配達の出禁のお話である。



◇         ◇


「お前、またミスしたな!あそこはな、似たような家並んでいるんだから注意しろって言ったろ!」

「す、すんません!!山口さん!」


配達でやってはいけないこと。でも、当たり前のようにやってしまうこと。

配達しているところを間違える。それが誤配達である。

その原因は様々あるが、10割で配達員が悪い。というわけでもない。が、結局。その配達員がやっているので、やっぱり配達員が悪いか。お客様からしたら配達員しか分からないのもある。

その原因については、様々あり、語ると色々マズイから今回は割愛。

今回は配達員が絶対確実に悪いというご設定で話を続けさせて頂く。


「あの人、めっちゃうっせぇよーな。誤配如きでピーチクパーチク。今の山口みたいによ」

「お前が最初にやってんだろーが!!お前が誤配しなきゃ、面倒な事にならなかったんだよ!!木下ぁっ!出禁組がホザくな!」

「年上で仕事においても先輩である俺に敬語を使え。最近の若いのは礼儀がなってない」

「仕事ができて、先輩のミスを指摘し、客に謝罪する後輩様に敬意を払えよ」


↑の連中が多いわけではないが、ごく一部にいる屑人間。双方、態度が悪いが、山口はまだ仕事ができるので会社としても、ご利用者としても有り難い存在。お客様がいないところというか、友達がいないところでそいつの悪い事を言うタイプの人間だ。本性は隠すものである。

一方で木下は、……どこかにいるであろう。人をサゲる事で俺セーフ理論の人間である。少しも反省を見せないでやらかすタイプ。自分としては嫌いなタイプの人間の1人。


「出禁するところが一つあるだけで、配達地域やルートを変えなきゃいけねぇ苦労を考えろ!!出禁されるのが苦労するんじゃなくて、その他が苦労するんだよ!!こーいう仕事は!!」


1.出禁を言われる人間は困らない。周りの人が被害を受ける。他の配達地域から休憩時間をさらに削ってやってくるからだ。ついでにまったくその事を知らない他のお客様達は、この影響で配達にやってくる時間が遅くなったりする。これがアパートだったり、マンションだとすると、迷惑はさらに倍増である。


「配達員を変えればいいだけじゃねぇか。俺、あいつ嫌いだしよ」


根本的な解決策。……と、思われるが……


「お前、いろんなところで出禁喰らってんだろーーーが!!また増やす気か!」


2.出禁にしたいと思っている人間は、どの地域でも出禁を喰らっているのでどこに置いても困る。出禁にして欲しいと言うお客様は少ないが、出禁だ出禁だと言われる人物はわりと常習犯である。

あとむやみに出禁とか辞めろとかは言わない方が良い。新人さんがやっている場合もあるからだ。新人のミスは仕方ないんで、諦めてください。キッチリ教育しますので。


「はははは、じゃあ。クビにすりゃいいじゃん。俺、他の仕事するから」

「ぐっ……この野郎!」

「人手不足になって配達はできませんけど良いですか?って、山口さんが言えばいいじゃないですか。文句言ってくる連中、ずーっと家にいるもんな?平日の昼間にクレーム挙げるか?普通」

「人の嫌がるところを的確に言うとこは、褒めてやるよ」


3.出禁じゃなくて、クビにしろ。これも解決策と思われる。が、現在の物流関係は非常に人手不足である。こーんな木下さんでもぶっちゃけ他所の配達地域では欲しいのである。長い経験があるからだ。確かに間違えるがワザと間違えているわけではないし、間違えてやっているとしたら、もっともっと間違えている。ちなみに出禁のクレームは不思議な事に、平日の昼間~夕方の16:00ぐらいの間に来ています。不思議ですね(笑)。配達のご様子も見ているというのが、ポイントがさらに上がります(笑)。


「間違えた個所はしょーがねぇだろ。入れ替えの激しいアパートや、似たような苗字の並び。隣に住んでいるクソ仲の悪い親戚とかよぉ。しかたねぇーじゃん」

「そこを間違えないのがプロなんだがな」

「引っ越してくれた方が助かるだろ?山口もよぉ」

「確かにその通りだが、お前に言われると腹立つ」

「出禁にするなら取りに来させるのが一番だぜって。不満のあるお客は利用しなきゃいい。ペコペコと、不満吐き出す連中に付き合うだけで、会社にとって不利益だ。俺を雇っている事よりも不利益だよ」

「お前、ホントに。口だけうめぇな……」


傍から見ると、木下は悪い奴と思われる。

新人さんはあまり分からないが、率直に


「なんで木下さん、クビにしないんですか?」

「…………出禁のせいなんだよ」

「は?」

「だから。最初の頃は、出禁の関係で配達地域をコロコロ変えていたんだよ。そのおかげであの人はかなり色んな配達地域を知ってるんだ。クレーマーの個所を全部把握してんだぞ。そこでミスしてるけど。それとクレーマー以外の人は特に木下の事については、言わないんだ。言わないって事はちゃんとした業務をしているという事だ。その人をクビにする損失はデカいんだよ。出禁っていう甘い事を言ったせいで、辞めさせると困る存在のまま居座ってるんだよ!」



4.出禁そのものが中途半端。

先ほど出禁を喰らう人は困らないというが。その分、別の個所を回されたりもする。これを繰り返しつつ、様々な個所を周らせると、かなり広い範囲での配達を任される貴重な戦力となってしまう。他で誤配をする事もあるが、結局なところ。出禁レベルに持ってこようとするクレーマーが少ない事もある。毎日間違えているわけでもないため。

いつも同じ人が配達しに来ている地域の方もいるだろう。ハッキリ言います。その人はそこしかほぼ配達できないので、会社としては新人さんを使っているのとなんら変わりません。その地域の人達は有り難いと思っていますが、会社側はホントに困るんですよね。他の人達が休みをとれないし、トラブル対応でもロクなことできないので。


「マジで早めにクビにしとけよ。使えねぇな、クレーマーは」

「凄い皮肉言ってる……」

「あー。分かった分かった。山口が五月蠅ぇからちょっとその出禁個所の対応を俺にやらせろ」

「は?」

「俺がクレーマーのあしらい方、その存在を見せてやる。隠れてみとけ」



◇    翌日    ◇


新人さんがやらかしたクレーマー宅に荷物を届けに行く木下。


「届けにきたぞー。住所ここでいいよな。隣と間違えてないよなー」

「……………」


普通にクレームを挙げている人からハンコをもらう。


「ありがとなー」


普通に去っていく。これだけ切り取るとお互いどこが問題か、分からない。口が悪いくらい?

その様子を隠れて見ていた山口と新人さん。これも勉強である。


「……あの、山口さんの方が俺に怒ってません?あそこ、木下さんも出禁ですよね?」

「木下の奴はクレーマーの事を知ってるって言っただろう?クレーマーの8割以上は電話だから怒るんだよ。ぶっちゃけ、出禁しろっていう奴。配達員の顔と名前を憶えてないし、そもそも見てもいない」

「えっ……」

「それどころか自分がクレームを挙げた事すら、2日くらいで忘れるのが大半だ」

「あんだけ怒られて、注意書きとその対応までこっちはしてるのに!相手はすぐに忘れるんですか!?」

「向こうも人だからな。こっちの人手不足とかの事情を知らないし。木下しかいない時は仕方なく行かせてるときもまま、ある。それで一回電話来たけど、『木下しかいないから今日の配達はできませんね』って断りの電話入れたら、配達を許された事もある。他の対策として、今日いないときはそこの配達ができる担当が来るまで、配達しないとかな。クレーマーからしたらそれを把握できないモノは多い」


5.クレーマー本人は、自分がその人を出禁にした事すら忘れている。

こーいうものはその場の怒りが大半である。誤配が悪いので、これは本当に申し訳ないのだが……。ちょっとはそちらも覚えていてくれると、嬉しいものである。電話応対の方が長いし、かなり無駄になります。

自慢じゃないですが、自分が応対した出禁からの解禁最速記録は1時間です。


『すまん、急な雨で少し濡れたんやわ』

『荷物汚しやがって、死ね、出禁、社会のゴミ、仕事を憶えられない屑は生きてて意味なし』

『すまんご~(よっしゃ、こいつと会わなくて済む。荷物多すぎで嫌だったし、他の配達員に行かせる口述できたんご。先輩行けやー)』


1時間後。


「いかんわ、まだ荷物あったの忘れてたわ。出禁言われたけど、先輩に関係ない行け言われたんや」

「んほ~~、この荷物を待ってたんご。仕事できるやん」

「(少しはさっきの電話の事覚えてろよ)」


ホント、わけわかんねぇ。



「向こうも自分が言った事ぐらいは守って欲しいんだよな」

「……働くの辞めようかな?理不尽じゃないですか」

「どこ行ってもそこのところはどこも改善されないぞ。会社でもないし、俺達の問題でもないし、まぁ。人間の問題?みたいなものだから」


言い忘れたが、お客様目線では。

誤配しなきゃ結局、誰が来ても構わないのである。


次はコールセンターのお話に行こうかなって。



こーいうお話って題材選びから考えなきゃいけないので、お話としてはよろしくないんですね。勘違いされちゃうこともあるので。

当然のフィクションです。

ノンフィクションなんかやったら、もっと話が意味不明ですよ(笑)。



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