表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王退治は要件定義から!  作者: 荒井清次
王都滞在編 -新しい仲間と共に王都での生活基盤を整え強くなる-
98/150

二日酔いに負けず新しい武器と防具の性能を試す①

前回のあらすじ:酔っ払った美雪は、夢の中でセクレトに出会い、悲劇の結末を変えるヒントを貰う。


「んぅ…。ん?ここは?」


見覚えのある場所。間違いない。ここは宿屋金字塔の食事スペースだ。

ん?なんで、自分の部屋じゃなくて食事スペースの長椅子で寝てるんだ?昨日の記憶を思い返してみる。

サっちゃんが仲間になった翌日、朝からスキル気配感知の可能性を追求して、トウカさん、ササラさん、ユリスキーさん、レズメッグァナーイさん、ユリの五名を面接の末に仲間入りし、(あい)の暴走で疲弊したサっちゃんを慰め、パーティ名を決定し食事会…。

うん、ここからの記憶が曖昧だ。食事会の途中からうろ覚え…。

なんとなく、新入り五名にこれから期待することとかは伝えられた気がするけど…。ダメだ、記憶が混乱している。


「あー…、頭痛いー…。これは、あれだな…。」


体がずっしり重く、頭がズキズキと痛む。

お酒を飲んだ次の日の感覚…、二日酔いで間違いない。

おそらくどこかで間違えてお酒を飲んでしまったのだろう。だから、私の昨夜の記憶も混乱しているんだ。

私の考えを肯定するように、少し離れたところから、トウカさんが腕を組んで睨んでいる。

あー…、怒ってるー…。

とりあえず、おはようございますと挨拶をしようとした私に、ビシッと人差し指を向けた後、トウカさんは冷ややかに一言呟く。


「美雪。お前、アルコール禁止な。」


「はい、分かりました…。」


トウカさんの重々しい一言からは、私が昨日なにかしらやらかしたことが伝わってきたため、即座に素直に謝罪をする。

反省をする私に、トウカさんはコップに入った水を渡してくる。

さすが、大人の女性…。気が利いてる…。なんて感動していたところで、トウカさんは私の目の前に椅子を持ってきて座る。

ん?どうしたのかな…?と思った私に、良いか、美雪。と前置きを置いた後、説教を始める。

女性が酒で簡単に酔っ払うのは無防備すぎるとか、成長途中の愛とシロくんに悪い影響を及ぼすとか、パーティのリーダーがあんまり醜態をさらすな、といった内容の説教。

二日酔いの頭に説教は辛い…と思いながらも、内容が全て的を射てるため、私は黙って反省するしかない。

長く続いた説教の後、しゅんと落ち込んでいた私のおでこに、トウカさんはニヤリと笑ってデコピンをする。

突然のデコピンに頭を上げると、トウカさんはにひひと楽しそうに笑っていた。


「どうしてもお酒が飲みたい時は、私と一緒に飲むこと!私と一緒なら、少しくらいお前が暴走しても、フォローしてやれるからよ!」


「…ありがとうございます。」


本当に世話焼きで、姉御肌の先輩だな。

言いたいことを言えて満足、といった表情のトウカさんに、私は昨日しでかしたことを聞いてみることにする。


「ちなみに、酔っ払った私、何かしました…?」


なぜか楽しそうに笑ったトウカさんは、黙って親指で右の方を指す。

そこには、普段の和服とは異なり、青いシャツに茶色のチノパンといった感じの服装のササラさんが立っていた。


「あれ…、ササラさん…。なんで今日は町娘みたいな服なんですか…?いつもの和服は…?」


「ササラの和服はな…、今、洗濯中や…。なんでか、分かるか?美雪はん?」


質素な町娘の服装を着たササラさんは、はんなりと笑顔を浮かべつつも目の奥に怒りの色を感じさせる。

昨日どうやら飲み過ぎてしまったという情報と、私の服の首元からほんのり香る酸っぱい臭いが、なぜ彼女が和服じゃないかを物語っている。

ゆっくりとベンチから下り、床の上に正座になった私は、両手を前に頭を深々と下げる。


「本当に、すみませんでした…。」


「まぁ、酒の席のことやから良ぇけど…。美雪はん、無防備すぎるで!!やから、美雪はんが飲む時は、ササラも一緒やからな!!ササラも先輩として、絶対に、一緒するで!!」


「ん?なんでササラも?負担は私一人で充分だぞ?」


「そうやって無理しようするんは、トウカはんの悪い癖やで!トウカはんの負担を減らすためにも、私は一緒する!絶対にな!!」


「そこまで言うなら、まぁ良いけどさ…。後悔しても知らねぇぞ?」


「大丈夫や!」


幸せそうなササラさんの言葉と表情に、思わず私はにやけてしまう。

ここで、さっきのトウカさんの言葉を思い出して欲しい。

私がお酒を飲む時は、トウカさんも一緒に飲む。それに対して、ササラさんも一緒すると宣言。

つまり、これは私をダシにした、一緒に飲む約束の取り付けである。

トウカさんに惚れきったササラさんの遠回しな可愛らしい発言に、私は思わずニヤニヤしてしまう。

ササラさんの可愛さに免じて、私と一緒に飲むことを負担と明言されたことについては、目を瞑ることにする。


「とりあえず、美雪は二日酔いを消すリカバー禁止。文句は言わせねぇ。反省しろ、バカ。」


「分かりました…。」


ササラさんにニヤニヤしていた私に、トウカさんはペトラさんと戦った後の怪我と同じペナルティーを言い渡す。

この頭痛と今日一日一緒か…と落ち込んでいたところで、他のパーティメンバーが現れる。


「やっぱり二日酔いですか…。光魔法リカバー…は、この様子だとトウカさんに禁じられていますね…。ひとまず、お水をどうぞ…。」


即座に周囲の状況を把握して、コップに入った水を手渡してくるシロ君。


「美雪さん、なんていうか…、お酒の失敗から学ぼう…。あ、これ水。深酒はとにかく水を多く飲むと良いって聞いたことがあるぜ。」


ダメな年上を見てしまって何て言ったら良いのか…って感じの困惑の表情で、コップに入った水を手渡してくるユウジ。


「美雪さん、二日酔いには梅干しとおからが利くんですよ!今、おからと梅干しを使った、卯の花の炒り煮を作ってきますので、水を飲んで待っててください!」


おばあちゃんの知恵袋を披露しながら、ほっこり笑顔を浮かべる見た目少女は、コップに入った水を手渡してくるサっちゃん。


「姐さん!!水です!!どうぞ!!」


なぜか舎弟のように私を姐さんと呼び、コップに入った水を手渡してくるユリスキーさん。


「先ほどのトウカ様とササラ様との会話。とても尊かったです…。あ、こちら水です。」


上品な服装に上品な所作で、頬を染めて震えながら、コップに入った水を手渡してくるレズメッグァナーイさん。


「お姉様!!トウカ様が、私の純粋な感情をもてあそびました!!でも、そんな放置プレイで高まった感情…、お姉様になんとか鎮めて…って、顔色悪いですね?二日酔いですね!はい、お水です!!」


なぜか頬を赤らめながら、今日も朝から元気いっぱいでコップに入った水を手渡してくるユリ。


「いや、水多いー…。この世界におからと梅干しあるのー?とか、なんでユリスキーさんは私を姐さんって呼んでるのとかー疑問があるけどー…、って、あれ?一人足りないような…?」


いつも真っ先に話しかけてくる元気印の声が、今日は聞こえてこない。

不審に思い周囲を確認すると、私達パーティの元気印こと愛が、キラキラと光るナックルを装備したまま、得意気な表情で鬼火流剛術(おにびりゅうごうじゅつ)の型の構えをしていた。

ん?それは昨日見たミスリルナックル?という私の考えを悟ったのか、愛は人差し指を立てて、ちっちっちと指を左右に振る。

ん?と思って注意深く観察すると、愛が装備していたナックルは、確かに昨日確認したミスリルナックルと少し見た目が変わっていた。

なんとなく、昨日まで愛が装備していた黒い熊のナックル、黒熊剛拳に見た目が似ているような?私はマグカを取り出して確認してみることにする。


名:青鉄熊剛拳(せいてつくまごうけん)-極-

分類:ナックル

ランク:4

性能:攻撃+80、防御+20、魔法防御+30、スタミナ+20、MP+30、スキル+背水

重量:60

説明:強力なミスリルベアの力と魔法耐性の高いミスリルの力を宿した腕甲。装備した者に、少しの魔法耐性とスキル背水を付与する。


「これは?」


「夢の中で、前に戦った黒熊と出会ったんだけど、あいつ私のミスリルナックルを食べちゃったんだよー。何すんだーって感じで戦って、ぶっ倒してこれを入手した!」


「…なるほど。」


元気いっぱいの愛の言葉に疑問を感じるが、前のナックルも夢の中でブラックベアを倒して手に入れたって言ってたことを思い出す。

今回も同じように夢の中でミスリルベアを倒して手に入れたんだね。

納得すると同時に、昨日の夜に見たセクレトの夢を思い出す。


「このナックルを手に入れたことで、私はまた最強に近付いた…って、わぷ。どったの、美雪?まだ酔っ払ってるの?あと、少し臭いから離れてほしい!」


セクレトとのやり取りを思い出した私は、気が付いたら愛のことをぎゅうっと抱きしめていた。

最初は臭いと言って嫌がっていたが、私のいつもと違う様子に気付いたのか、愛は私の頭を撫で始める。


この子を私は死なせない。私は絶対に未来を変える。


スーツの内ポケットに入ってるであろう紙封筒に思いを寄せながら、私は心に誓うのであった。



「今日、私とササラはパーティのホームを視察しようと思うけど、お前らはどうする?」


朝風呂や朝食等の支度を終えた私達は、今日の予定の確認をしていた。

おや?いつの間にかササラさんが私達パーティの視察をダシに、デートの約束を取り付けている…!これは、ぜひとも一緒しなくては…、あ、ダメだ。頭が痛い…。


「私は休みます…。すみませんが、パーティのホーム視察、お願いします…。」


「おう。ホーム決めの作戦を事前に確認するけど…、私の今の家を貸してくれてる大家さんや、他のホーム管理人たちにいくつか候補を紹介してもらう。私とササラでその中に良い家が無いか確認させてもらって、良い感じのとこはピックアップしていくから、後日全員で決める、って流れでホーム決めは良いかな?」


たくさんの候補をトウカさんとササラさんで数件に絞って、その数件を後に全員で見に行くと…。トウカさんとササラさんが二人いれば、ダブルチェックで確認も出来るから、変な家を選んだりはしなさそうね…。

完璧な作戦に、私は弱々しく片手を上げて答える。


「何から何まですみません…。その流れでお願いします…。」


私の返答に、トウカさんは笑顔で応える。

しかし、トウカさんとササラさんだけで大丈夫かな…と思っていたところで、一人の男が立ちあがる。


「それなら、数が多い方が良さそうですね。私、レズメッグァナーイも同行をさせていただきます。女性だけでなく、男性の視点も必要でしょう。良いですよね、美雪さん?」


男性の視点は大事ね。私は弱々しくオーケーのハンドサインで答える。

ササラさんが二人きりのデートを邪魔されたためか、ギラリと睨んでくるが、大事なホーム決めだから、我慢してもらうことにする。


「おい、レズメッグァナーイ!抜けがけは許さねえぞ!!俺も行く!!良いよな、姐さん!?」


「数が多い方が良いなら、私も参加する!!べ、別に百合の雰囲気を感じたわけじゃないんだからね!!勘違いしないでよね、お姉様!!」


トウカさんとササラさんの百合の雰囲気に、百合好き三人が釣られてる…。

二日酔い状態で辛い身としては、姐さん姐さん、お姉様お姉様、と大声で騒がれるとしんどいから、私はオーケーのハンドサインで答える。

私のオーケーを確認した五人は、準備のために宿屋金字塔の食事スペースから移動していく。

五人が離れていく中、ユウジが申し訳なさそうに私に声をかけてくる。


「美雪さん、俺はサっちゃんと盾を直すための道具を買いに行くよ…。前にもらった姫甲飛虫(ひめこうひちゅう)の盾、この前のゴーレム討伐で壊しちまったからな…。せっかく美雪さんにもらったっていうのに…。すみません…。」


「いや、あげた物だから、そんな申し訳なさそうにしなくても良いのだけれど…。って、そういえば…。もしかしたら…。」


会話の途中でマグカを操作し始めた私に、ユウジが怪訝な表情を浮かべながら声をかけてくる。


「急にどうしたんすか?美雪さん?」


「いや、昨日、セクレトに夢の中で、いくつか良い防具をもらったんだけど…。その中に、盾があるかなー…って思って…。」


「あー…。そういえば、昨日虹色に光ってたな…。」


え?夢の中でアイテム入手すると、私光るの?


「寝てる時、光るなんて!!はっはっは、変なのー!!」


「いや、お前も光ってたぞ。」


「まじ!?」


愛も光るの?シークレットスキルの効果だと思うけど…、知らない人が見たら、私たち奇妙な人扱いされるよね?

疑問が喉元まで出かけたが、セクレトからもらった防具を見つけたことで、疑問は頭から消える。


「あ、あったあった…。良かったわね…、盾があるわよ、ユウジ。なんか不壊ってのも付いてるし、ユウジの魔法盾のスキルにも相性が良いと思う…。はい、あげる。」


私はマグカから、セクレトにもらった大きな盾を取り出して、ユウジの前に差し出す。

神々しさすら感じさせる、青色と金色の装飾が施された見事な大盾は、私の体を半分ほど隠す大きさで、ズシリと重い。地面に置いて、倒れないようにするので精一杯。どう頑張っても、非力な私じゃ装備できない。

そんなわけで、私達のパーティのタンク役であるユウジにあげようと思ったが、肝心の大男は困惑の表情を浮かべている。


「いや、驚いてないで、早く受け取って…。結構重いんだから…。」


私の悲鳴交じりの声に観念したのか、ユウジは私から大盾を受け取る。

私が倒れないように支えるので精一杯だった大盾も、ユウジは両手ながらも難なく持ち上げている。これなら、なんとか装備が出来そうね。良かった良かった。

パーティの戦力アップに喜ぶ私と違い、肝心のユウジは大盾を持ちながら、驚きと困惑を込めた表情で私に声をかける。


「ちょっと待って…、この盾…、なんすか…?」


「ん…?昨日の夢の中でセクレトにもらった…、えっとー…、神盾(しんたて)アイギス…?」


「「「え!?」」」


名:神盾(しんたて)アイギス

分類:大盾

ランク:5

性能:防御+100、魔法防御+100、不壊、????、????、?????

重量:80

状態:封印

説明:神話級の大盾。ありとあらゆる邪悪・災厄を払う魔除けの能力を持つと言われる。一部の能力を封印されている。


ポカーンと大口を開け、まさに言葉を失うとはこのこと、といった感じのシロ君、サっちゃん、ユウジ。

愛はよく分かっていないのかキョロキョロ周囲を確認している。よし、みんながポカーンとしてる理由が分からないのは私だけじゃないわね。

誰も言葉を発さない時間がしばらく訪れるが、そんな沈黙を破ったのは、シロ君の大声だった。


「美雪さん!!」


「あー…、シロ君…、あんまり大きな声を出さないでー…。二日酔いの頭に、大声は辛いから…。」


「あ、ごめんなさい…。」


私の悲痛な声に、シロ君は申し訳なさそうに謝る。しかし、声のボリュームを落としながらも、シロ君は私に注意を始める。


「僕の杖の時もそうでしたが…、簡単に高ランク装備を…、しかも、星五装備なんて最高レア度の神話級の防具を、簡単に他人に譲らないでください…!!どれだけの価値があると思ってるんですか…!?」


「いや、ユウジはもう他人じゃなくて、パーティの仲間でしょ…?価値があるからって売っちゃうよりも…、パーティ全体の戦力アップに使った方が有意義よ…。ユウジ、セクレトがくれた神話級のその盾で、私の期待に応えなさい…。」


「…あぁ!!」


私の言葉に、ユウジは小さく素っ気なく呟いた後、くるりと背を向ける。

なによ、弱々しい返答に不安を感じるわね…。タンク役としては、長年の経験と高いレベルを持つユリスキーさんにあげた方が良かったかな…なんて思ったりもしたが、今更さっきの言葉を取り下げるわけにもいかない。

全く美雪さんは…とシロ君が呟く声と、星五装備品を観察させてくださいとサっちゃんがユウジにせがむ声を聞きながら、私はマグカでセクレトがくれた他の防具も確認する。


「他には、風食魔(ふうじきま)籠手(こて)鷹目(たかめ)眼鏡(がんきょう)絢爛豪華(けんらんごうか)な腕輪もくれてるわね…。籠手と眼鏡は私が装備できるから、ありがたく私が使わせてもらうとして…、四つもくれるなんて、セクレト大盤振る舞いね…。」


「「「え!?」」」


名:風食魔(ふうじきま)籠手(こて)

分類:腕防具

ランク:5

性能:防御+50、魔法防御+30、風魔法吸収

重量:20

説明:神話級の籠手。風属性の魔法および武技を吸収し、装備者のMPへと変換し無効化する。


名:鷹目(たかめ)眼鏡(がんきょう)

分類:頭防具

ランク:4

性能:防御+32、魔法防御+16、スキル+鷹目

重量:12

説明:望遠機能のついた眼鏡。装備者の視野を大きく広げるスキル鷹目を付与する。


名:絢爛豪華(けんらんごうか)な腕輪

分類:腕防具

ランク:4

性能:防御+6、高価買取

重量:31

説明:防具としての性能は低いが、数多くの宝石で装飾されているため高値で売ることが出来る。売却専用品。


私が取り出した装備品三つに、シロ君、サっちゃん、ユウジがまたしても言葉を失う。

愛は青鉄熊剛拳を私の前に掲げて、私の武器だって負けてないんだー!!といった感じで張り合ってくる。私は笑顔で愛の頭を撫でる。

困惑のシロ君とユウジを放っておいて、今後の鍛冶の参考にと高ランク防具を確認したがるサっちゃんと一緒に、新しい装備品の観察をする。

うん、私達のパーティ事情を考慮しての良い装備。セクレト、ありがとう。

多分届かないだろうけど、心の中でセクレトに感謝の言葉を告げる。



セクレトにもらった防具の共有を終えた私達は、ふーっと息を吐いた後にサっちゃんに話しかける。


「サっちゃん…、昨日、愛と一緒で、ろくに素材集めを出来なかったって、言ってたよね…?」


「あ、はい、鍛冶に必要な炉を作るための素材が足りません…って、まさか?」


嫌な予感が…って表情のサっちゃんに、私は親指を立てて答える。


「私達は…、素材集めに、行きましょう…!」


「そんなフラフラな状態で、素材集めに行くんですか!?無茶ですよ!?」


「だいじょーぶ…、我に秘策あり…。」


「秘策?」


サっちゃんからシロ君に向き直り、私は頭を下げる。


「シロ君、リカバーをお願い…!」


「いや、トウカさんに禁止されて、納得してたじゃないですか…?」


私の笑顔に、困った表情を浮かべるシロ君。私は彼の説得に移ることにする。


「良いかな、シロ君…。私達の転生前の世界には、こんな時に使える、良い言葉がある…。自分の言葉でも、時には前言撤回しろっていうのと、バレなきゃ良いって言葉がね…。だから、お願い…。」


「そんな、自分にとって都合の良い言葉があるんですか…?」


シロ君はユウジに確認するが、ユウジは思い当たる節が無いのか首を傾げる。

そりゃそうだ、私が考えた言葉なんだから。


「お願い…、シロ君…。」


「弱々しくお願いするフリして、スキル眼光威圧を使うのやめてください…。」


いや、使ってないよ。スキル眼光威圧なんて使ってないよ。え、私そんなひどい顔してる?

内心ショックを受けていた私に、シロ君は溜息を吐く。


「…バレて怒られても、知りませんからね。リカバー。」


シロ君の光魔法の発動に、私の体は白い光に包まれる。あぁ、この頭と体が軽くなっていく感じ…、たまらない…。

私の二日酔いが回復するのを確認したシロ君は、立ち上がって身支度を始める。


「これで、二日酔いは大丈夫ですが…、トウカさんにバレないように、念のために僕はトウカさん達とのホーム視察に行ってきますね。サっちゃんとの素材集めには…。」


シロ君の言葉と視線に続いて、元気印の少女と、大柄な男が得意気に手を上げる。


「サっちゃん、私もう暴走しないって反省した。だから、連れてってくれるよね?」


「サっちゃん、愛の暴走…、だけじゃなく、美雪さんの暴走も俺が止める。だから、連れてってくれ。」


「愛さん!ユウジさん!ありがとうございます!」


愛とユウジの力強い返答に、サっちゃんは歓喜の声を上げる。

ゴーレム討伐の準備を始める愛と私とユウジに、シロ君が冷ややかな声をかける。


「愛とユウジが付いていくなら大丈夫ですね…。っていうか、三人。サっちゃんの素材集めをダシにして、新しい武器と防具を試したいって表情…、バレバレですよ…?」


シロ君の言葉に、愛と私とユウジは、にやけ顔でグッと親指を立てる。

準備を始める愛とユウジを横目に、私はシロ君に声をかける。


「この絢爛豪華な腕輪は、シロ君に託すね。売って、ホーム購入資金の足しにして。」


私が絢爛豪華な腕輪を手渡したことに困惑の表情で溜息を吐いたシロ君は、諦めたような表情でトウカさん達の後を追う。


次回、新しい装備品の性能を確認しながらの波乱いっぱいの素材集め。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ