【番外2-おまけ】おまけでも竹調のササラはポンコツが止まらない
この物語は竹調のササラ目線で語られる番外編のおまけです。
本編8話、幕間3話と、一体どれくらいこの一日のことを書いてるんだ…?と思いつつも、つい番外編を、おまけとして書き始めてしまいました。
んなーという謎の鳴き声を上げることが多くなったササラと、ダラダラし始めてるぞー早く本編を進めろーという展開に、不快に感じた場合は申し訳ございません。
美雪はんとのパーティ入りの面接を経て、トウカはんと一緒に冒険するいう夢が叶った日の夜、ササラは宿屋金字塔のお風呂に入っとった。
正確にはお風呂場に入っとったやな。美雪はんの攻撃を食らった状態では湯船に入れんし、そもそも夜遅くのせいで、湯船はすっかり冷めてもうてる。
「ほんま…、今日はいろいろあったな…。いつもより、長く感じたわ…。」
冷めきった湯舟から桶で水をすくい、頭にかける。
「ひゃ!!冷たっ!!」
湯船の水は想像以上に冷たかったけど、文句は言えん。
ラクレはんとレトチはんのお母はんが、湯船にお湯をはってくれてたんを無視して、ササラはトウカはんと酒を飲んどったんやから…。
時間にしたら三時間くらいやろか?そら、湯も冷めてまうわ…。完全に自業自得や。
浮かれて飲み過ぎてしまったことに反省をしながら、ササラは冷たい水で頭を流していく。
冷たい水でも、酸っぱい臭いのするササラの頭を綺麗に出来る。これ以上は望んじゃあかん。ササラは念入りに、頭を洗う。
こういう時、髪長いと不便やな。洗うのも大変やけど、この後の乾かすのも大変や。もう日にちが変わるくらいの時間やけど、今日は何時頃に眠れるやろ?
風呂から上がって、髪を乾かして、自分の家に戻うて、寝間着に着替えて…。ササラもトウカはんと同じく、ここに宿泊すれば良かったわ…。部屋空いてへんかラクレはんに確認してみようかな?
そんなことを考えてみたんやけど、すぐにササラの頭ん中は、さっきのことでいっぱいになってまう。
トウカはんと二人っきりで、あんなに親しく、お互い向き合うて、お酒を楽しんだ。
思い出したササラの顔は、一気に真っ赤になる。
「ひゃー!!なんなん、一緒のパーティ初日から、この濃厚なトウカはんとの時間!!これから、どんな冒険者生活が待ってるん!?どんな幸せライフが待ってるん!?ひゃー!!」
幸せが込み上げきたササラは、頭に水をかける勢いが増す。
冷水で良かったわ、ササラのオーバーヒートしとる頭を、冷静にすることが出来るんやから!!
何度も何度もササラは頭から冷水を被る。
「なんでそんな元気なんだ?ゲロぶっかけられたってのに?」
冷水をかけられたような感覚をササラが襲う。
いや、実際に冷水をかけてるんやけど…って、そんなことはどうでも良いねん。今、背後から聞こえたんは…。
トウカはんの声だったような…?幻聴かえ?
「元気かと思ったら、固まった。大丈夫か、ササラ?」
幻聴やない…?いや、ここお風呂やで?そんなこと、あるんか…?
恐る恐るトウカはんの声のした方を確認すると、男らしくタオルを肩にかけたトウカはんが大きく足を開いて堂々と立っとった。
一糸纏わぬ、生まれた姿そのままの、トウカはん100%状態で。
「と、トウカ、トウカはん!?トウカはん?トウカはん…?トウカはん!?」
あかん!!直視できへん!!神々しすぎる!!
混乱の渦ん中にいるササラは、バッとトウカはんに背中を向ける。
大事なところどころか…、大部分を謎の光と、なぜか冷水から上がる濃い目の湯気で隠れて見えへんかったけど…、それでも、ササラには刺激が強すぎるねん!!
飛び出しそうになるササラの心臓はお構いなしに、トウカはんは困惑いう感情が伝わる声をササラの背中に投げかける。
「今日一番の驚きじゃねぇか…。そんな何度も私の名前を呼ぶほど混乱するなよ、ササラ。一体、どうした?」
「い、いや、どうしたはトウカはんの方やん!?どうしたんは、ササラのセリフなんやけど!?」
「ん?いや、ササラ背中から美雪のゲロ攻撃くらったろ?自分の手じゃ届かないかなー?と思って、流してやりにきたんだよ。」
「そ、そうなんか!?おおきにな!?」
「まぁ、お前が風呂入ってるのただ待ってるだけだと、寝ちまいそうだったから、一緒に入って時間短縮ーってのもあるけど…、って、どうした、ササラ?真っ赤だぞ?え?そんな熱湯なの?」
「ちゃうねん!!トウカはんが急にお風呂に入ってくるから、ササラは恥ずかしさの限界で赤うなってるねん!!見んで!!トウカはん!!ササラのしょうもない体なんか、見んで!!」
「なんで恥ずかし…って、そういえば、お前は奥ゆかしい感じだもんな。同性でも裸を見られるのは恥ずかしいのか…。でも、そんな気にするなよ!この世界は、謎の力で大事な部分は守られて容易に見えないんだし、これから同じパーティメンバーとして生活してくんだから、こういう裸の付き合いも増えるんだぞ?だから、慣れろ!」
トウカはんと…。裸の付き合い…?
桃色の想像力が爆発したササラの脳は、熱暴走をし始める。
「そ、そういえば…、トウカはん、さっきササラの胸、ふにふに好き勝手してくれたよな?今度はササラの番よな?」
「や、やめろ…、ササラ…!!は、恥ずかしい…!!」
「あかん!!今夜は、ふにふに祭りやー!!」
妄想ん中で、ふにふに祭りがわっしょいわっしょいしたところで、許容量を超えたササラの頭から、ぷっしゅーっと湯気が上がる。
「んなー…。」
「ササラ!?」
情けない声を上げたササラは、その場にくらきゅ~と倒れる。
薄れゆく意識ん中で、ササラの肘に何か柔らかい物が当たるんを感じる。あ、倒れたササラを、トウカはんが抱き上げてくれたんか…?ってことは、この柔らかい物は…?
「ふにふに祭り…、一部…、開催…。わっ…しょー…い…。」
「いや、何を言ってんだ、ササラ!!しっかりしろ…って、そういや、こいつも結構な量のお酒を飲んでたな…。のぼせちまったか…?」
薄れゆく意識ん中で、ざばぁと湯舟から桶で水を救う音が聞こえてくる。
ばしゃあという音と共に、頭に水をぶっかけられたんやけど、熱暴走したササラの頭は、再起動することがなかった。
「水をぶっかけても起きない…。仕方ねぇ…、ベットに運んでやるかー…。私もそこそこ酔ってるんだけどなー…。あー、しんどー…。」
トウカはんのめんどくさそうな言葉に、ササラは堪忍な…と声をかけようとする。
しかし、ぶっ倒れたササラの声が届くことは無かった。明日、トウカはんに謝らんとな…。
明日か…。
自然と明日のことを考えてまう。
一緒んパーティになったことで、明日もトウカはんと一緒にいられる。
ササラは今日何度目か分からんくなる嬉しい気持ちが込み上げてきたんやけど、熱暴走した頭はすぐに限界を迎えた。ササラん意識は、闇の中に沈んでった。
ササラん意識が戻ったんは、窓から小鳥の鳴き声が聞こえてくる頃やった。
「ん?朝?」
眩しい朝日に目をこすりながら、周囲の様子を確認する。
この部屋は見覚えがある。ササラが新米冒険者だった頃にお世話になっとった宿屋金字塔の部屋や。
トウカはんがベットまで運んでくれたんかな?
ササラが裸なんは、昨日お風呂場でぶっ倒れたからやろうか?
周囲の状況を確認しつつも、まだ寝ぼけとったササラは、二度寝をすることにする。少し肌寒さを感じたササラは、かけとった毛布を手繰り寄せようとする。
むにぃ。
ササラの右手に、妙に柔らかい感覚が伝わってくる。
まさかと思うて布団をめくると、そこにはトウカはんが眠っとった。
そうか。夢か。
ササラはほっぺたをつねってみる。あれ、痛いんやけど?
「と、トウカ、トウカはん!?」
パニックであわあわしとったところで、トウカはんが鬱陶しそうな表情で、目をこすりながら起きる。
「ん?あんだよ…?もう少し眠らせろよ…。」
まだ眠いからか、うっとうしそうにササラの手を払うトウカはん。
かけとった毛布を直しながら、トウカはんは二度寝をしようとする。そんなトウカはんを、ササラは肩を掴んで止める。
「いや、あかん!!なんで、ササラ、トウカはんと同衾しとるん!?や、やってもうたんか!?酒の勢いでやってもうたんか!?」
「朝からうるせぇな…。やってねぇよ…。私は服着てんだろ?お前が昨日、風呂場でぶっ倒れた後、私がベットに運んでやったってのに…、妙な言いがかりしやがって…。」
「ベットに運んでくれたんは、ほんまありがとう…。でも、なんでトウカはんまで、ササラと同じベットで一緒に眠っとるん?」
ササラが一大事やと思っての質問に、トウカはんは何事も無いようにベットから立ち上がる。
うーん…!!と背伸びをしたトウカはんは、眠たげな目をこすりながら、ササラの質問に答える。
「お前をベットに運んだところで、緊張の糸が切れたのか、酔っ払い過ぎたのか、すっげぇ眠気が襲ってきたんだよ…。そんで、気が付いたらそのままベットイン。そんで、爆睡。そんで、朝。」
何事もないかのように話すトウカはんに、ササラはドキドキが止まらない。
大混乱のササラと違うて、眠そうな様子のトウカはんは、頭をガシガシと掻きながらササラの顔の前に、グッと近付いた後に人差し指を向ける。
「おいこら、ササラ。お前、酒には気を付けろよ?女が倒れて意識失うまで酒飲んだら、悪い男に食べられちゃうぞ。」
本当に心配、って感じのトウカはんの言葉に、ササラは胸に優しい温かさが込み上げてくるんを感じる。
トウカはんは、ほんま世話焼きやな。
ったく、美雪にも後で言っとかねぇとな…と呟くトウカはんに、すこーし嫉妬心が沸いてきたササラは、唇をとがらしながら呟く。
「さ、ササラは、トウカはんにだったら、食べられても良かったんやで…?」
「ふわ~…って、あ?なんか言った?全然、聞き取れなかったから、もう一回言って。」
「な、なんでもないわ、あほう!!」
「痛いっ!!」
またやってもうた。
恥ずかしさが込み上げてきたササラは、思わずトウカはんの頬をぱちーんしとった。
ササラの頬ぱちーんにトウカはんは、おかげで目が覚めたぜーなんて言いながら私から視線を逸らす。
ん?どうしたんや、トウカはん?なんか様子がおかしいで…?
ササラが食べられても良かった言うてから、耳が少し赤うなっとる気がする。
もしかして、ササラのさっきの言葉、ほんまは聞こえとって、ササラの気持ちに気付いてしまったんか…?照れ隠しから、つい聞こえへんってことにしたんか?
そ、それってどういうことや…?まさか、トウカはんも…、ササラのことを…?ササラの希望がのった幻想が湧き上がってきてまう…。
「なに変な顔して…、って、変な顔はいつも通りか。」
妄想が湧き上がりそうになるササラを止めたんは、トウカはんのいつも通りのぶっきらぼうな言葉やった。
ササラん言葉でトウカはんの耳が赤うなったいうんは、ササラの勘違いやな。トウカはんはいつも通りや。
「変な顔言うな、あほう。」
いつも通り。
トウカはんと同じパーティになったから、こんな日常がこれから毎日なんやな。
いや、ほんま何回目?思うくらいの喜びが込み上げるササラに、トウカはんがじとーっとした目をしながら、言葉をかけてくる。
「ササラ…。変な顔してないで、服を着たら?大事な部分がおっぴろげーの丸見えで、見てるこっちの方が恥ずかしいんだけど…。」
「ん…?って、そうや!!ササラ裸やった!!んなー!?」
さっきトウカはんの耳が赤かったんは、ササラがおっぴろげてたからか!?
トウカはんの耳とは比べものにならないくらい、真っ赤な顔になったササラは、悲鳴を上げることしか出来んかった。




