面接も終わったことだし、パーティ名をつけよう!
前回のあらすじ:三連続の面接を終え、美雪達のパーティに、銀琴ことトウカ、竹調ことササラ、ササラの仲間であるユリスキー、レズメッグァナーイ、ユリ・シンジョウの合計五人が仲間入りした。
「美雪さん…、面接、お疲れ様、です…。」
五名の面接を終え、宿屋金字塔の食事スペースを訪れた私を迎えたのは、昨日仲間になったばかりのサっちゃんだった。
朝から愛とユウジと一緒に素材集めに石像の荒野に行っていたはずだけど、ちょうど終わって帰ってきたところかな?なんだか少し元気が無いのが気になるけど…。
そんなことを考えていたところで、サっちゃんが私の腰に抱きついてきた。
「美雪ざ~ん!!うぅ…、うぅ…。うぅー!!」
ぎゅーっと私に抱きついたサっちゃんは、感情のダムが決壊したのか本気で泣き始める。
急なことにパニックになりかけるが、サっちゃんの後ろに気まずそうに立つユウジと、そのユウジに背負われるスタミナ切れで爆睡中の愛を見て、私は色々と察する。
んなっ!?お姉様に何を!?と叫んで走ってくるユリをスキル眼光威圧で落ち着かせ、号泣のサっちゃんの髪を撫でながら、私は優しく話しかける。
「サっちゃん、お疲れ様…。ごめんね、私が一緒できなくて…。次以降は、絶対に私も一緒にクエストに行くから。鍛冶をするための炉の作成に必要な素材も…、また明日あたりに取りに行こうか!」
「はい…、ずみません…、ありがどうございます…。」
私の言葉に、サっちゃんはぎゅうっと抱きしめる力を少しずつ弱めていく。
サっちゃんが落ち着いたところで、目の前に気まずそうに立つ大男を全力で睨む。
「おい、ユウジ。お前が付いていながら、これはどういうことだ?」
「すまん…。愛の暴走を止められなかった…。」
神妙な顔で、ぺこりと頭を下げるユウジ。まぁ、愛が相手ならユウジが役に立たないのも仕方ない。
はぁ…と溜息を吐いたところで、ユウジが頭を下げた揺れによって、ぐっすりと眠っていた愛が目を覚ます。
「んぁ?…って、美雪?あれ?ミスリルゴーレムは?」
「ミスリルゴーレム?」
「あ、あぁ…、それなんだけどな…。」
愛の寝起きの一言について、ユウジに事情を聞く。途中でミスリルゴーレムとはどんなモンスターかをシロ君に聞きながら、私は話をまとめることにする。
「つまり、危険なフィールドボスモンスターであるミスリルゴーレムに、愛が勝手に戦いを挑んだけど、愛はスタミナ切れで倒れたと。それでも、なんとか勝利を掴んで、サっちゃんとユウジはギリギリのところで逃げてきたと。なるほど。」
「そう!見て、美雪!ミスリルナックル!!ミスリルゴーレムからのレアドロップー!!今までの武器より強い、星四の武器だよー!!戦利品ー!!」
「星四の武器。どれどれ…。」
愛が掲げるキラキラと薄く青く光る金属製の腕甲の性能を、マグカで確認することにする。
名:ミスリルナックル
分類:ナックル
ランク:4
性能:攻撃+120、防御+10、魔力+20、魔法防御+20、MP+30
重量:32
説明:ミスリル鉱石を素材に作られた腕甲。魔力を帯びたミスリル鉱石を素材にしているため、装備者の魔力を少し上げる。
魔力の向上は愛に関係ないと思ったが、すぐにミスリルナックルの有用性に気付く。
魔法防御のステータスが低すぎる愛にとって、魔法防御が上がるのは大きい。MPの上昇はスキル魔力昇華にも効果があるし、これは良い装備だ。
性能を確認したところで、ミスリルナックルを得意気に私に向かって掲げる愛を確認することにする。
強力な武器を手に入れたからか、にっこり嬉しそうに笑う愛だが、ミスリルナックルの脇からチラチラと私の表情を伺っている。
この愛の表情は、強い武器を手に入れて褒めてほしい…、というものじゃないわね…。
これは、今日の素材集めで暴走した自覚があって、私に怒られたくないから強力な武器を手に入れたことで誤魔化している、って表情ね…。
サっちゃんに抱きつかれたまま、私は愛の肩を掴む。
「愛、後でお話があるから。だーいじな、お話。逃げちゃダメよ?」
「大事な話?あー、このミスリルナックルの性能についてかな!?うんうん、きっとそうだね!!」
「いえ、説教です。」
「…うん。」
観念したのか、愛は落ち込んでミスリルナックルをマグカにしまう。サっちゃんも気持ちが落ち着いたのか、少し恥ずかしそうな表情で私から離れる。
ユリスキーさんとレズメッグァナーイさんが、小さい声で尊いと呟いている。お前らはどんな百合でも良いのか…。少しイラッとしたため、睨みを利かせておく。
場に静寂が訪れたところで、私は周囲を確認する。全員いることを確認し、大声を出すために私は腹に力を込める。
「はい!!それじゃ、各人には面接の結果をお伝えしましたが、本日の面接は全員合格になります!!これから、ここにいる十人がパーティになります!!お互い、初対面ということは無いですが、親交を深めるためにも、これから歓迎会を兼ねての食事会をします!!ラクレさん、レトチさん、食事の用意をお願いします!!」
私の歓迎会の言葉に、宿屋金字塔の双子看板娘であるラクレットチーズが、両手を上げる。
「りょうかーい!レトチ、久々の大仕事よー!!腕が鳴るわねー!!」
「…久々の大きな臨時収入。予算はどれくらい?」
「予算はどれくらいだ、ササラ?」
レトチさんの質問に、なぜかトウカさんがササラさんに質問する。
「なんでササラに予算を聞くん?って、まさか昨日の食事会に続いて今回もササラのおごりなんか!?」
「そりゃそうだろ。新入り五人の内、私以外の四人はササラのパーティだろ?ここは身銭を切ってでも、他の仲間の好感度を稼ぐべきだろ?な?」
「好感度を稼ぐ…!?レトチはん、一番良いのを頼むわ。」
「さっすが、ササラ!よ、太っ腹!」
トウカさんのことが大好きなササラさんは、好感度という言葉に、キリッとした表情でレトチさんへ予算天井無しを告げる。あぁ、トウカさんは無意識だろうけど、ササラさん手の平で転がされてる…。
ササラさんに憐憫の感情を抱いていたところで、レトチさんが小さな声で呟く。
「…ポン…、毎度あり。」
「トウカはん、美雪はん、愛はん、あと…、他数名!!今日はササラのおごりや!!好きなもんを頼んで、好きなだけ食うてや!!」
「やったぜー!!それじゃ、私にはシルバーブルのボアステーキを山盛りでー!!愛ちゃんも食べるだろうから、それを二つー!!」
トウカさんの注文を皮切りに、どんどん料理が頼まれていく。
次々と行われる高額注文に、ササラさんの笑顔が少しずつ強張っていく中、普段なら我先にと注文をする愛が大人しいことが気になる。
隣に立つ愛を確認すると、歯を食いしばって何かを我慢するような表情で大人しくしている。
私の説教って言葉があるから、食べたいけど自重してるって表情かな?
「ふぅ…。」
「!?」
思わず出た私の溜息に、ばっと拳を向けて警戒する愛。溜息にすら怯える愛に、私は優しく笑顔で話しかける。
「愛、今は説教のことを気にしないで、好きな料理を頼んでね。ササラさんのおごりだから、注文しないと損しちゃうわよ?」
「良いの?私、今日すごい自分勝手なことしたよ?ユウジはどうでも良いけど、サっちゃんを何度も怒らせたし、怒っても怖くないから別に良いやーって、強敵と戦うために何度もサっちゃんを無視したよ…?あえて無視したよ?」
「…。…うん、それについては、後で話させてもらうけど…、今日はスタミナいっぱい使ってお疲れでしょ?どうせ私の言いつけも破って、終の型も使ったんでしょ?スキル大食いでスタミナを回復するためにも、今日のところはいっぱい食べなさい。」
「ほんと?良いの!?」
私の言葉に少しずつ表情が明るくなってくる愛。ぐるぐると片手を回し始めたが、私の言葉がまだ信じ切れないのか小首を傾げる。
本人も反省してるようだし、良いか…。トウカさんにまた激アマって言われそうだけど、今は気にしないことにする。私は笑顔で愛の質問に答える。
「ほんと。好きなの頼みなさい。」
私の笑顔の肯定と、宿屋金字塔のメニューを渡したところで、愛は満面の笑みを浮かべる。
「ありがとう、美雪!!私、いっぱい食べるね!!」
「うん、いっぱい食べなさい。」
「10ゴールドまでだと…。これとこれかなー…。でも、こっちも美味しそうだなー…。」
「愛、今日はササラさんが出してくれるから、いつもの10ゴールド制限は無しよ。好きな物を好きなだけ食べなさい!」
「…!?まじか!?」
「まじって…、トウカさんの言葉遣いが移ってるな…。まぁ、良いか。まじよ。好きな物を好きなだけ食べなさい!」
「美雪はん、これからパーティ仲間なんやから、手加減してな…?」
いつの間にか隣に立ち、引きつった笑顔を私達に向けるのは、本日仲間入りをした竹調の異名で知られるササラさん。
和風美女であるササラさんの困ったような笑顔に、私と愛はにっこりと笑って親指を立てる。
「手加減な?分かった!!それじゃ、ラクレー、注文!!ワイルドターキーの姿焼きに、ワイバーンテールの煮込み、オーガシュリンプとオーガクラブの岩塩焼き!!ついでに、ブラックベアの手の煮込みー!!」
「私は今日は魚の気分かなー?この巨顎魚の甘酢あんかけに、妖精魚の活け造り…、あと、キングクラーケンのフライと、クイーンアワビの姿煮!」
「全部、高額な料理やん…。愛はん、美雪はん、遠慮無しかえ…?」
ひきつるササラさんの困り顔に、愛と私はにっこりと笑って親指を立てる。
「「ごちになりまーす!!」」
「肯定かえ!?遠慮無しなんなー!?」
愛と私の遠慮無しの注文に、ササラさんは驚愕の表情を浮かべるが、すぐにキリッとした表情に変わる。
「まぁ、えぇで!!こんなおめでたい日に、ケチケチしてたらあかん!!好きなもん頼んでや!!なんなら、高いお酒も頼んで、えぇで!!」
「お、ほんとに太っ腹だなー!!それじゃ、私はドンペルーニョンのロゼゴールドと、ロマネ・ポインティ、魔界山の純米大吟醸!!」
「さすがトウカさん、店一番の高額シャンパンと、高額ワイン、高額な日本酒を迷いなくいきましたね…。それじゃ、私は…。」
「「美雪さんはダメです!!」」
トウカさんの注文に続いて、私もお酒を頼もうとしたところで、シロ君とユウジから注意が入る。
「祝いの席だから、今日くらいは良くない…?珍しいんだよ?私から飲みたくなるのって…。」
「珍しくてもダメです。」
「美雪さん、今日は新入りの五人が主役だからな。お酒を飲むと、美雪さんが全部持っていっちゃうから、絶対にダメだ。」
シロ君とユウジは、胸の前で両手をクロスして大きなバツマークを作る。
んー…?と疑問を感じたが、シロ君とユウジからの睨みが相当だったので、今日はお酒の注文は自重することにする。
ちなみに、転生前の世界にあったお酒に似た名前の高級なお酒があるのは、先輩転生者が長年の苦労で作り上げたからだそうだ。
異世界なんだから、そのままの名前を付けても誰も怒らないのに…とも思ったが、やはり元のお酒の味の完全な再現は出来ていないらしく、そのままの名前では違和感から苦情が相次いだらしい。
だから、少し名前を変えて異世界風として売っている。色々な複雑な事情があるものだ。料理が作られるまでの準備時間に、シロ君が教えてくれた。
程なくして、全員の注文した料理が揃う。
私のコップには、リンゴによく似た木の実アップラで作られたアップラジュースが注がれる。
シロ君とユウジが何度も確認していたため、今回はファストの町でのフルーツサワー事件は起きなそうだ。私はお酒を飲みたいのだけどな…、残念。
数々の彩り豊かな料理を前に、トウカさんから指名を受けた私は、コップを高々と掲げて乾杯の音頭をとる。
「昨日のサっちゃんに引き続いてになりますが、今日は私達のパーティに、トウカさん、ササラさん、ユリスキーさん、レズメッグァナーイ、ユリ・シンジョウさんの五名が仲間入りをしました!そちらを祝しまして、食事会を兼ねての歓迎会を開催します!!かんぱーい!!」
「「「かんぱーい!!」」」
私の発声に合わせて、全員が手に持つコップをカツンと合わせる。
歌姫の護衛クエストで一緒だったためか、ぎくしゃくすること無く食事会が始まる。
「おい、ササラ!!このドンペルーニョン、難しい味だな!!高いイコール美味いじゃないな!!残念ながら、私の口には合わねぇ!!」
「いや、高いお酒を奢らせといて、その感想はどうかと思いますよ…。」
乾杯と同時に、ぐいっと高級シャンパンを飲んだトウカさんが失礼なことを言い、シロ君が注意する。
高級シャンパンを台無しにするトウカさんの発言に、むすーっと口を尖らせたササラさんだが、すぐに何かに気付いたのか、体がピクンと反応する。
ササラさんは赤い顔で目を泳がせながら、トウカさんに話しかける。
「ドンペルーニョンが、と、トウカはんの口に合わないんやったら、さ、ササラが、それ、もろたる、で?せ、せっかくの高級シャンパンやし、の、飲まないのは、勿体ないから、な!!」
しどろもどろになりながら、ササラさんはトウカさんの飲みかけのグラスをもらおうとする。
ま、まさか…、ササラさんはトウカさんとの間接キスを狙っているのか…!?
ササラさんの思惑に気付いた私は、トウカさんがどういう返しをするか待ってしまう。真っ赤な顔のササラさんと一緒に待っていると、鼻をぽりぽり掻きながらトウカさんが返答をする。
「ん?ササラ、あんまりお酒強くないだろ?気を遣って無理すんなって。せっかくの高い酒だから、頼んだ私が責任持って飲むよ!」
トウカさんはササラさんの申し出をきっぱり断って、ぐいっとグラスの残りを飲み干す。
あー…と口を開けて悲しそうな表情をするササラさん。見ているこっちが申し訳なくなる表情のササラさんに、私は心の中で応援をする。
ササラさん、高級ワインと高級日本酒があります。あと二回チャンスがあります。
心の中でササラさんを励ましていたところで、トウカさんが何気ない感じで私に話しかける。
「なぁ、美雪。お前らのパーティ名って、決まったのか?私のパーティ名にもなるんだから、そろそろ教えてくれよ。」
「トウカ!!私達のパーティ名は、剛け…むぐぅ。」
サイクロプス討伐後の雑談中に却下した剛険者というパーティ名を、堂々と発表しようとする愛の口を片手で塞ぐ。
ちっ、ダメだったか…という表情の愛の頭にチョップをしながら、私は正直にパーティ名を決めていないことを告げる。
「すみません、トウカさん。私達のパーティ名はまだ決まってません…。人族・亜人族と魔族の戦争を止めて平和な世界を作る、という私達の目標に沿ったパーティ名にしたい、ってことは考えているのですが…。」
「んまー、まだ決まってないだろうと思ってたよ。長く考えたら良い名前に決まるってわけでもねぇから、今日この場で決めちまおうぜ!ちょうど全員いるし、みんなで考えよう!条件は美雪の希望の、平和っぽさは名前にいれることのみ!思いついたやつから挙手で発表!」
高級ワインを飲みながらのトウカさんの言葉に、食事スペースにいる全員が腕を組み、首を傾げてパーティ名を考え始める。
むぐむぐと愛が動いたため、愛の口を塞いでいた片手を離す。新しいパーティ名を発表するのかな?と思ったが、私の予想は外れる。愛は目の前の料理を食べ始める。
剛険者を却下されたから、もうパーティ名決めには興味が無くなっちゃったのだろう。ワイルドターキーの姿焼きから、豪快に足の部分をちぎって、大きな口を開けてかぶりつき始める。
そんな豪快な愛の食事を見ながら、私も手羽の部分をもらって食べていたところで、ササラさんがびしっと手を上げる。
「トウカはん!ササラ思いついたで!」
「嫌な予感すっけど…、一応聞いておく。はい、ササラ。」
「世界を平和にし隊、なんてどうや!?」
「はい、次の案が無いかー?今ササラが言った、クソみたいな名前でも良いから、どんどん案を出していってくれー!」
トウカさんのばっさりな発言に、ササラさんがクソなんかー…と小さく呟いて落ち込む。
しかし、誰もフォローをしない。世界を平和にし隊、があまりにもな名前だからだろう。私も世界を平和にし隊はどうかと思う。
でも、ササラさんがハードルを下げてくれたおかげで、他の面々から数々のパーティ名が出されていく。
「戦争を止めたいという意味から、ウォーストッパーズなんてどうでしょう?」
「戦争を止めるかー…。転生前の世界で流行ってたのを参考にすっと、超戦争バスターズ?ゴロ悪いか…?難しいな…。」
「この世界の平和の象徴と言ったら、ラッキーバードです。そこから取って、ラッキーバーズはどうですか?」
「平和の象徴からパーティ名を取るか。転生前の俺らの世界の平和なら、鳩が平和の象徴だったな。ピジョンズ?ぽっぽって鳴き声から、ぽっぽや…は鉄道感が出ちまうか…。」
「パーティリーダーの美雪さんの特徴から取って、眼光滅殺はどうでしょう?」
「いや、平和どこいった…って思ったけど、平和に問われ過ぎても考えが狭まっちゃうよね。夢を追う者ってことで、ドリーマーズはどう?」
「全員が手を取り合って輪を作る…、オールリングス…はどう?」
「お姉様!!百合は世界を救うと書いて、リリーズなんてどうですか!?」
多くの案が出されるが、どれもなんとなくピンと来ない。
いつの間にかラクレットチーズもパーティ名の案出しに加わるが、それでもこれだっていうパーティ名を決めることが出来ない。
そんな中、おずおずといった様子で、サっちゃんが小さく手を上げる。
全員の視線が集中する中、サっちゃんは小さな声で、彼女の考えたパーティ名を発表する。
「平和への旅路と書いて、ピースロードなんてどうですか?」
「「「平和への旅路?」」」
サっちゃんの発表したパーティ名に、全員が小さな声でピースロードを復唱する。
「平和への旅路か…。」
「平和への旅路ねー…。」
「平和への旅路なー…。」
何度か呟いてみたが、なんだろう、なんかしっくりときた感じがする。
他の面々の中にも、反対って表情の人はいない。
私はパンッと手を打って、パーティ名決定の宣言をする。
「うん、なんかしっくり来た!ありがとう、サっちゃん!それじゃ、私達のパーティ名は、平和への旅路、にしようと思うけど、どうかな?」
「「「異議なーし!!」」」
こうして、私達のパーティ名は平和への旅路に決まった。
このパーティ名によって、王都最強と呼ばれる冒険者パーティと、ちょっとしたひと騒動が起きることになるが、この時の私達はまだ知る由が無かった。
私はパーティ名が決定した喜びから、再度の乾杯をしようとする。
「それじゃ、パーティ名の決定を祝して…って、飲み物もう無かった…。ラクレさん、おかわりをくださーい!」
「りょーかい!」
ラクレさんの持ってきてくれたお替りのコップを片手に、私はパーティ名決定の祝盃の乾杯をすることにする。
このラクレさんの持って来たコップの中の飲み物によって、五分も経たないうちに、ちょっとしたひと騒動が起きることになるが、この時の私達はまだ知る由が無かった。
「それじゃ、私達のパーティ、平和への旅路の結成を祝しまして…、かんぱーい!!」
「「「かんぱーい!!」」
乾杯の発声の後、私達は手に持っていた飲み物をぐいっとあおる。
濃い目の料理を食べていたから、飲み物を欲していたのかな?コップの中の飲み物は、すいすいと喉を流れていき、あっという間にコップは空になる。
ん?と飲み干したコップの中にあった飲み物の味に疑問を感じたところで、ラクレさんの慌てた声が聞こえてくる
「美雪ちゃーん!!ごめんなさーい!!美雪ちゃんのフルーツジュースかと思ったら、お父さんが間違えてフルーツサワーにしちゃったって!!美雪さんはお酒が苦手なのに~…、って、顔真っ赤じゃーん!!大丈夫!?」
「「!?」」
慌てたラクレさんの言葉に、驚愕の表情を浮かべるシロ君とユウジ。
そんな二人の表情を見ながら、私は手を組み、うんと頷く。
「味の違和感はアルコールのせいか…。なるほろ。」
「なるほろ?おいおい美雪ー、お前の口癖の「なるほど」が言えてない…って、どうした?ゆでだこみたいに、顔真っ赤だぞ?」
トウカさんが私の顔を心配そうに覗き込んでくる中、背後でシロ君とユウジが慌てている。
ん?なんだか、前にもこんなことがあったような?と思ったところで、世界が変わる。
次回、美雪の悪酔い再び。




