【番外2-2】竹調のササラは銀琴に恋してポンコツになる
この物語は竹調のササラ目線で語られる番外編です。
京都弁を話す、可愛らしい女性ををイメージした彼女ですが、京都弁にしては不自然なところが多いと思います。不快に感じた場合は申し訳ございません。
「ふぅ…。」
ダンジョンでトウカはんに命の危機を救われて数日。ササラは宿泊してる宿屋金字塔におりました。
「どうしたの?ササラ?ぼんやりとして?悩まし気な溜息なんて吐いちゃって?」
ササラに声をかけたのは、金字塔の看板姉妹の姉の方、ラクレはんどす。
ラクレはんが声をかけるのは、仕方がありまへん。ササラは冒険者のくせに、宿屋で日がな一日ぼんやりと物憂げにしとるんやから。仕事しろって話やんな。
「ふぅ…。」
「あれ、私の声聞こえてない!?思ってたよりも重症!?」
「はや、ラクレはん。そない大声出して、どないしたん?」
「いや、どないしたん?は私のセリフだよ…。ここ数日、すごい悩んでるみたいだけど、どうしたの?何か悩み?」
「悩み…、やろな…。ラクレはん、聞いてくれます?」
「良いよー!お節介焼きなお姉ちゃんに、なんでも話してみなよー!」
優しい笑顔で親指を立てるラクレはん。レトチはんいう妹がいるからやろな。彼女はすごい面倒見が良いねん。
少し悩んだけど、胸が張り裂けそうなササラは、ラクレはんに甘えることにします。
「ササラな…。この間、ダンジョンの中で命の危機に晒されたところを、ある人に助けてもろうてな…。それから、その人のことが頭の中から離れへんねん…。」
「ダンジョンの中で助けてくれた人が、頭から離れない…。それで、ぼんやりとしちゃう?」
ササラの言葉に、にっこりと笑うラクレはん。楽しそうな声色で、ササラの手を両手で包み込みます。
「それって恋じゃん!!ササラはダンジョンで助けてくれた人に、片想い中ってわけだね!」
「やっぱり、これは恋やろか?」
ササラの中に芽生えたトウカはんに対する感情が、淡い恋心だって気付くのに、そんなに時間はかかりまへんでした。
やって、トウカはんのことを考えると、頬は熱を持ち、胸はトクントクンと高鳴るんやから。
でも、不思議と嫌な感じはしまへん。見知らぬ異世界に転生して、不安いっぱいだったササラの心に、ほんのりと熱が灯った気がするねん。その胸に灯った火を、ササラは愛おしく思うんやから。
「ダンジョンで命の危機を救ったってことは、冒険者だよね?誰?誰?絶世の美女と評判のササラに、王都中の男性冒険者の嫉妬間違いなしの、ササラに想われる冒険者ってのは、誰!?」
「なるべく内緒にしてほしいんやけど…、同じ転生者の…、トウカはん…。」
「トウカって、確か転生者で老騎士の弟子として有名な女の子の冒険者だったよね…?って、ササラの意中の相手は、女の子!?」
ラクレはんの言葉に、恥ずかしさが大きく膨らんだササラは、黙ってこくりと頷きます。
多分、今のササラの顔は真っ赤やろな。顔がぽっぽするねん。
ササラの表情と言葉に、ラクレはんは驚いたんか、ポカンとしとる。
やっぱり同じ女性に恋するのはおかしいやろか?でも、仕方ないやん。惚れてもうたんやもん。
この気持ちと胸の高鳴りが恋なんやって理解したら、「あぁ、自分はトウカはんに恋してんやな」って言葉が、不思議とストンと自分の中に腹落ちしたんやから。
トウカはんへのこの想いは、恋心で間違いあらへん。
「ササラかて、同性に恋してるのが、あきまへんってのは分かっててん。でも、好きって気持ちを理解してから、トウカはんに対して、好きって気持ちが湧き上がって仕方ないんや。銀色のさらさらな髪、可愛らしい見た目と小さい体なのに、男性冒険者にも負けない強気な態度。裏表のない、竹を割ったような性格。トウカはんの全部が愛おしくて、仕方ないんや!」
「上品で大人しいササラが、こんなに声を張り上げるってことは、よっぽど好きなんだね?」
知らない内に、大声を出していたことに気付き、恥ずかしさが込み上げてきます。ササラは黙って、こくりと頷きます。
そんなササラに、ラクレはんは親指を上に立てて、にっこりと笑いかけます。
「良いんじゃないかな!同性に恋しても!好きになっちゃったなら仕方ないよね!私はササラの恋、応援するよ!」
「おおきに…。ほんま、おおきに…。」
拒絶されても仕方ないと思っとった、同性であるトウカはんに対するササラの恋心。
応援してくれると言ってくれはったラクレはんの言葉に、ササラは思わず涙が頬を濡らしてしまいます。
感極まった気持ちを落ち着かせ、ラクレはんに感謝の気持ちを伝えながら、ササラは悩みの種を相談します。
「まとめると、ササラはトウカさんが助けてくれた時に、うまく感謝の気持ちを伝えることが出来なくて、後悔していると…。」
「せやねん…。トウカはんに対して、頭の中があうあうしてる間に、誤解を生んでしまって、失礼な態度を取ってしもうたんや…。ササラ、トウカはんに謝りたい…。」
「オッケー!我に秘策あり!」
「秘策?」
「そう、秘策!ってわけで、ちょっと待っててねー!私がトウカさんを連れてくるよー!」
「はえ?トウカはんをここに?そんなん、ラクレはんに出来るんか?」
「宿屋の看板娘を嘗めちゃいけないよー!!トウカさんが老騎士に弟子入りする前は、ここに宿泊してたんだから、顔馴染みだよー!今くらいの時間なら、きっと冒険者ギルドにいるだろうから、私が連れて来てあげるよー!ササラは、心の準備しておいてー!」
「はえ?って、トウカはんがここに来るんか!?」
ササラの言葉に答えることなく、満面の笑みのラクレはんは、あっという間に宿屋金字塔から走り去ってしまいます。
あまりの展開の早さに驚いたササラやけど、ラクレはんが言ってたことを思い返します。
思い返したところ、ササラはのんびりしてる暇やないことに気付きました。
「トウカはんを連れて来る!?はえ!?トウカはんが、ここに来はるんどすか!?ササラの前に!?あかん!惚けてる場合じゃあらへん!!トウカはんに恥ずかしい姿は、お見せできまへん!!着飾らなあかんやん!!しゃんとしなあかんやん!!」
マグカから一張羅の和服を取り出します。
転生前にササラが着てた見事な刺繍の施された、職人芸が光る見事な逸品どすが、ササラはここで重要なことに気付きます。
「トウカはんは冒険者や!!そんで、ササラも冒険者や!!戦いに向かん和装なんかより、冒険者としての能力をアピールしたほうが、えぇやん!!ササラの実力を知ってもろうた方が、トウカはんと一緒に冒険するいうササラの夢に近付けるんやないか!?それなら、着飾るよりも性能の方が大事や!!ササラ、天才かもしれへん!!」
一張羅の和服をマグカに仕舞って、大きく両手を上げる。
やるでぇ!!ササラは冒険者としての実力をアピールして、トウカはんに気に入られるんや!!ササラはやるでぇ!!
「ラクレ、なんだよ、急に?逃げないから、無言の笑顔で、私の襟首をぐいぐい引っ張るのは止めてくれ!!首が絞まって、苦しい!!」
「トウカさんに会わせたい人がいるの!だから、大人しく私についてきて!」
「私に会わせたい人ー?え、なに?果たし状がラクレのとこにいった?」
「なんでそんな喧嘩っ早いのよ!?違う!!ササラ!!トウカさんがこの間、ダンジョンで助けたって冒険者のササラよ!!」
程なくして、愛しのトウカはんの声が遠くから聞こえて来ます。
ササラの恋路を応援してくると言ってくれはったラクレはんやけど、トウカはんと仲良さそうに話してるのが聞こえてくると、少しばかり嫉妬してまう。
仲良さそうやんなぁ…。ぐぎぎぎぎ。
って、あかんで、ササラ!ラクレはんはササラの恋を応援してくれる言うてくれた優しい方や!!トウカはんへの恋心を暴走させる相手ちゃうで!!
「え?ササラが私と話したい?ササラって、この前ダンジョンで助けた転生者だよな?」
「そうそう!そのササラ!なんでも、この間ダンジョンで助けられたことをお礼を言いたいんですって!」
ラクレはんがトウカはんに事情を説明してくれてる!
これなら、トウカはんの前で緊張しちゃうササラでも、よっぽどのことが無い限り、ちゃんと気持ちを伝えることが出来る。おおきに、ラクレはん!
でも、ササラはお礼の言葉を伝えるだけやないねんで!ササラは狡猾なんや。
トウカはんに、冒険者として一緒にパーティを組んで良いかも?って思わせるような、冒険者の実力を分かってもらえるような装備どす!
この装備なら、トウカはんと並び立って冒険者をしたい、いうササラの夢を叶えるのも可能かもしれへん!ラクレはんのおかげで、ササラの準備はばっちりどす!
「わざわざ礼をしたいなんて、丁寧なやつだなーって、ん!?」
万全の体制で、遂にトウカはんとご対面。驚いとるどす!ササラの冒険者らしさに、トウカはんは言葉を失ってはる!
仕方あらへんよなぁ!なにせ、ササラは今持ってる一番の防御力の重装備防具と、一番の攻撃力を持つ両手持ちの大剣を二本、左右の手に持って構えとるんやから!
「はぁ、はぁ。」
重装備防具に、高火力の武器。
どうや!ササラは意外と力強いんや!サポートだけじゃないねん!これはトウカはんも仲間に加えたいと思うこと間違い無しや!
「なぁ、ラクレ…。本当にササラは私と話しをしたいのか…?全身がっちり防具の重装備で、私を迎え撃つ気満々に見えるんだけど…。」
「え、えーっとー…。んー…?」
「徹底抗戦、見敵必殺の構えじゃん…。え、お礼って、カタギじゃない人が言うお礼参りみたいな意味…?あの時の私って、そんなにササラの怒りを買った?」
「いや、違うよー!!トウカさん、ちょっと待っててねー!ササラは冒険終わりみたいだから、あんな重装備なんだよー!ちょっと武装解除してくるように言ってくるねー!!あ、トウカさんは私達の声が聞こえないくらい、離れててねー!絶対に私達の話を聞いちゃダメだよー!!急に読んで、こんな感じになって…。本当にごめんねー!!」
金属製のフルフェイス型の頭防具を装備しとるから、音がぐぐもって、二人が何を言うてるか、まったく分からへん。
まったく分からへんけど、頭防具の隙間から、ラクレはんが急ぎ足でササラに近付いてくるのが見える。どうしたんやろか?そんなに慌てて?
そう思っとったササラの頭を、ラクレはんがぺちーんと叩きはります。
「なんどす!?」
何かを大きな声で叫びはったラクレはんは、勢いよくササラの装備してるアイアンヘルムを外しおす。
スポンッという可愛い音の後、ササラは久しぶりの外気とご対面。
あ、外の空気は涼しおすなぁ。本音言うと、アイアンヘルムは熱が籠る上に、息苦しくて辛かったんや。ササラはんの可愛らしい顔も、うまく見えへんしな!大事なことなんで、もう一回言うで!ササラはんの可愛らしい顔はアイアンヘルムを装備しとると、全然見えへん!!
そんなことを考えとったササラに、ラクレはんは小声で抗議をしはります。きっと、トウカはんに聞こえないようにやろな。ラクレはんは優しおすな。
「ササラー!!なんで、そんな重装備なの!?トウカさん警戒心マックスだよ!!」
「はえ!?警戒心マックス!?ササラはトウカはんと将来、一緒に冒険するため、冒険者としての実力を知ってもろうと思っただけなんやけど、なんで、警戒心マックスなん!?」
「その重装備だよー!?明らかに周囲から浮いてるよね!?いくらササラでも、装備してる時に気付いたでしょ!?」
「仕方無いやん!!正直、数日振りのトウカはんとの再会なんや!!緊張してまうやろ!?トウカはんを前にすると、ササラは顔が赤くなってる気がするねん!!バレてまうやろ!!ササラの恋心、バレてまうやろ!?だから、なるべく顔を隠したいねん!!」
「それで、その重装備!?バカなの!?ササラって、見た目と違ってバカなの!?」
「ちゃうねーん!!考えてのこれやねーん!!」
ラクレはんに言い訳をしていたところで、その奥にいるトウカはんが視界に入る。
「あかん…。トウカはん今日も可愛い…。ぎゅってしたい。いや、ぎゅってされたい…。はぁはぁ」
「ササラ…?」
思わず呟いてしもうた今日のトウカはんへの感想に、ラクレはんが冷たい視線をササラに向ける。
あ、ラクレはん怒ってはる!!あかん、すぐに言い直さな!!
言い訳を考えるササラの視界に、トウカはんが再度入ってきはります。
「あかん…。トウカはん可愛い…。頭、なでなでしてもらいたい…。はぁはぁ」
「ササラ…?」
あかん、ラクレはんに怒られとるのに、トウカはんが視界に入る度に、思考が奪われてまう。
「仕方無いやん!!すぐそこにトウカはんがいるねんで!!見いや!!あの、きょとんと小首を傾げながら見上げるトウカはん!!小動物的可愛らしさ爆発やん!!そんで、あの首を傾げた時に流れる、さらさらの銀色の髪!!幻想的やん!!あんなん、誰でも目を奪われて仕方ないやん!!」
「え?なんで私が怒られ…」
「でも!でもでもでも!!ラクレはんまで、トウカはんのことを好きになったらあかんからな!!絶対にあかんからな!!ラクレはんまで、トウカはんのことを好きになってもうたら、ササラ大混乱やで!!そんなん、ササラ耐えられへん!!」
さっき、ラクレはんがトウカはんと仲良く話してたのを見とったからやろな。つい、熱が入ってラクレはんの肩を掴んで、問い詰めてまう。
そんなササラの失礼な態度にも、ラクレはんは優しく笑顔を浮かべます。
「私、ササラのこと容姿端麗、才色兼備、眉目秀麗な女性の理想…って感じの、物語に出てくる儚い系のお姫様?どこか陰のある絶世の美女…。そんな感じに思ってたんだ。」
「へ?あ、うん…。おおきに。って、急にどうしたんどす?」
「でも、今日のササラを見てたら、私が思い描いていたササラは虚像だったんだなって痛感させられたんだ…。容姿端麗、才色兼備、眉目秀麗なササラよ…、ばいばい…。」
「ばいばい、って、ササラはラクレはんの目の前にいるどすよ!?」
突然の別れの言葉に、驚き慌てたササラどすが、すぐにラクレはんが言いたかったことを理解します。
「もしかしなくても、容姿端麗、才色兼備、眉目秀麗って言葉が、今のササラからばいばいって意味どすか!?それなら、今のササラはなんなん!?」
「今のササラ?今のササラを一言で表すなら…。恋してポンコツ?」
「恋してポンコツ!?ササラがトウカはんに恋してポンコツになったってことどすか!?」
ササラの疑問に、ラクレはんは優しくにこりと微笑みはります。これは肯定やな。間違いあらへん。
「なんでや!?ササラはポンコツになってなんかあらへん!!ササラはササラのままやで!!」
「いや、恋してポンコツ。ポンコツササラ。宿屋の娘として、色々な人を見てきた私の目は間違いないよ。ササラは恋してポンコツになった。ポンコツササラ。私が保証する。」
ぐっと親指を立てて、笑顔を浮かべるラクレはん。自信満々の笑顔どす。
「いや、そんなことあらへん!!ササラはササラのままどす!!ポンコツササラになんか、なってあらへん!!なんやねん、ポンコツササラって!?」
ラクレはんの不名誉なポンコツササラ発言に、ムキになったササラは強気で抗議どす。
ササラの抗議に、優しく微笑んだラクレはんは、うんうんと頷きはります。
「オッケーオッケー。そこまで言うなら、今からササラを試させてもらうよ。トウカさんを今から呼んでくるから、出会いの時に失礼なことを言ったお詫びをしてごらん?それが上手くいったら、ポンコツササラの汚名は返上せてあげるよ!」
「望むところどす!!」
「それじゃ、トウカさん呼んでくるねー!良い?気持ちを落ち着けるんだよ?それで、トウカさんに、この前の非礼を詫びる。オッケー?」
心配しくれはるラクレはんに、ササラは黙ってうんうんと頷くどす。
心の準備をするどす。今日のササラは、トウカはんに前回の出会いの時の非礼を詫びるんや。かんにんなぁ…は、標準語ちゃうな。ごめんなさい、やな!
うん、トウカはんに合わせて言葉もちゃんと選べとる!やっぱりササラは冷静や!ポンコツササラなんかやあらへん!
「おう、ササラ!さっきはびっくりしたけど、ラクレに聞いたぞー!この間の失礼を謝りたいんだってー?別に気にしてないのにー、丁寧なやつだなー!」
ひや!?急なトウカはんどす!!可愛っ!!裏表無いにこにこ笑顔が可愛すぎや!!
って、慌てたらあかん!!ひとまず、冷静にうんうんと頷くんや!!ササラー、冷静にやでー。
トウカはんも気にしてないって言うてくれとる。トウカはんは懐が深いなぁ。
でも、気にしてないって言われるとちょっとショックやな。ササラはこんなに気にしてはったのに…。
それに、気にしないって言われてまうと、トウカはんとササラの運命の出会いが、なにも無いことになってまうような気がするどす。
それは絶対に嫌や。
ここで、なぁなぁな感じでトウカはんに許してもろうては、これからのトウカはんとの関係もなぁなぁになってまう。
やから、ちゃんと、ごめんなさいって伝えるねん。ちゃんと謝ることで、これからのトウカはんとの新しい一歩を踏み出すねん。
高鳴る胸と緊張を抑えて、ちゃんと伝えなあかん。ごめんなさいって。ちゃんと伝えるんや、ごめんなさいって!
ラクレはんが優しく見守る中、ササラは覚悟を決めます!!勇気を絞り出します!!
「なぁ、ササラ?私達、年も近い上に、同じ転生者じゃん?だから、ササラが良ければだけど…、一緒にパーティを組まないか?」
「ごめんなさい!!」
必死に絞り出したササラの言葉に、トウカはんとラクレはんはポカンとした表情を浮かべます。あれ?ちゃんと、ごめんなさいって伝えられたよな?
ポカンとするササラへ、ラクレはんが慌てた様子で近付いて来はります。
どうや、ちゃんと謝れたやろ?ポンコツササラなんて、汚名はきっちり返上やな!
「この、ポンコツササラー!!これで汚名返上やろ?みたいな顔してるけど、全然ダメだかんねー!!」
「なんでや!?ちゃんとごめんなさい出来たやん!!」
「いや、謝るって話だったけど、タイミング考えようよー!?このタイミングで、謝ったらダメだよねー!?トウカさんの一緒にパーティ組もうに対して、ごめんなさいだよー!?断ってるじゃん!!ササラの悲願って言ってた、トウカさんとの冒険を、断っちゃってるじゃーん!!」
「はえ!?」
緊張して聞こえなかったトウカはんの言葉やけど、そんなことになってたんかー!?
タイミングー!!
ササラ、ごめんなさいのタイミング、完全に失敗してますやーん!!
「ちゃいます!!ごめんなさいが、ちゃいますねん!!」
「うん、私は分かってるから、それはトウカさんに伝えよう?ね?」
慌てふためくササラに、ラクレはんは優しく諭してくれます。
こんなササラに対しても、ラクレはんは優しいなぁ。うん、今度はちゃんとトウカはんに気持ちを伝えよう。
まずは、さっきの言葉はちゃうってことを伝えるんや。その後で、この間のことを心から謝る。
冷静に、心を落ち着かせて言うんや。さっきの言葉は違うことと、心から謝罪をしてること。ササラの今の気持ちをちゃんと伝えるねん。
「ササラ、さっきのは照れ隠しだよな?緊張して、間違っちゃったんだよな?本当は私とパーティを組みたいんだよな?」
「ちゃいます、心からのごめんなさいどす。」
勇気を振り絞って伝えることが出来たササラの言葉に、トウカはんは小さく、「そっか…、こっちこそごめんな。」と呟いて、宿屋金字塔から去ってしまいました。
あれ、なんでや?と首を傾げるササラに、ラクレはんは大きく溜息を吐きはります。
「ポンコツササラ…。」
「なんでや!?さっきの言葉が違うことと、心から謝罪をしてる、ってササラの気持ちをちゃんと伝えられたやろ!?」
「はぁ…、ポンコツササラ、まじポンコツ。」
「なんなん!?」
ポンコツササラという汚名を返上出来なかった理由を、ラクレはんから聞きます。あぁ、これはササラがあかんな…。
やってしまいました。ササラ、やってしまいました。
なんでやろ?ササラは転生前も、転生してからの日々も器用にやってきたはずどす。
でも、トウカはんを目の前にすると、頭がぐるぐるになってしもうて、気持ちが空振りばっかしてまう。変な風になってまう。
なんでやろ?ササラはラクレはんが言うとおり、ポンコツササラになってしもうたんやろか?




