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魔王退治は要件定義から!  作者: 荒井清次
王都挑戦編 -所持金すべて失い歌姫を護衛する-
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【番外2-1】竹調のササラは銀琴に出会ってポンコツになる

この物語は竹調のササラ目線で語られる番外編です。

京都弁を話す女性をイメージした彼女ですが、不自然なところが多いかもしれません。不快に感じた場合は申し訳ございません。

皆はん、こんにちは。

ササラの名前は、ササラ・タケナカいいます。王都では竹調(たけしらべ)のササラいう異名で知られる冒険者どす。

ササラは色々あって転生前の世界の日本で死んだんどすが、けったいなことが起きて、マグノキスいう異世界にファンタジーの定番のような転生をした、異世界転生者ってやつどす。

そんなササラどすが、異世界で恋をしてます。大好きな人がおります。

異世界で初恋どす。胸が張り裂けそうな程の燃え上がる恋どすが、残念ながら、今のところは片想い中どす。


「あ?何だ、お前。泣いてるのか?」


乱暴で粗雑な言葉やろ?

これ、ササラの片想いの相手が、ササラに最初に言った思い出の言葉なんどすよ?多分、相手は覚えてへんやろな。でも、ササラにとっては思い出の言葉どす。

片想いの相手に出会うたのは、ダンジョンの中。ササラがまだ冒険者として未熟だった頃どす。


当時のササラは、片想いの相手からの言葉を借りるなら、調子にのってたんやろな。

持ち前の浮世離れした美貌で、ササラは異世界で男性冒険者からモテモテで、様々な男性からのサポートには事欠かなかったんやから。

男は相変わらず単純やな。にこりとササラが微笑むと、なんでもササラが望むままに動いたんやから。

あの日も、ササラに言い寄って来はる、熟練の男性冒険者達に連れられ、レベルアップのために自分の適性よりだいぶ高いダンジョンに挑戦しとったんや。


今思うと、その日のササラは迂闊やったかもしれへん。

大丈夫、大丈夫と言いはる熟練の男性冒険者に甘えて、自分の実力以上のダンジョンに、気軽に挑戦したんやから。

そんなササラの甘えを感じ取ったのか、人生で一番の危機が訪れはります。

余裕綽々でダンジョンを攻略するササラの一行の前に、異常強化種のモンスターが現れたんどす。


突然現れはった異常強化種の黒マルモコに、ササラのパーティは蹂躙されはりました。

異常強化種の黒マルモコは、可愛(かあい)らしい見た目とは裏腹に、ササラのパーティを蹂躙しはりました。自分に任せろ、言うとった熟練の男性冒険者が、あっけなく散っていきはる中、ササラは頼りの綱だった武器すら落として、恐怖に震え取ったどす。

ササラを守ってくれはる冒険者が誰もいなくなり、次はササラの番や、と諦めかけたその時、片想いの相手は現れはりました。


「師匠!!サポートは私がするから、あの異常な黒マルモコをぶっ殺してくれ!!」


「弟子よ、年頃の女の子として、もう少し丁寧な言葉を使ってほしいんじゃが…。って、説教を言ってる場合じゃないのう。オルフ!!行くぞい!!」


突然、銀髪の女性がササラを守るように目の前に立ち、ササラの同行者の命を易々と奪った異常強化種の黒マルモコへ、老人と一匹の狼が向かっていきます。

ササラ達が苦戦した異常強化種の黒マルモコどすが、老人と一匹の狼によって簡単に光の粒へと変えられてしまいました。

突然の出来事にササラは放心していると、銀髪の女性が手を差し伸べてきはります。キョトンとするササラに向けて、銀色の髪を揺らしながら、彼女は言いはりました。


「あ?何だ、お前。泣いてるのか?」


彼女の指摘に、ササラの頬が熱くなるのを感じます。

その時のササラは、彼女に弱いとこを見せたくないと思ったんかな?必死に着物の袖で涙を拭い、目の前の銀髪の女性に対して、声を荒げます。


「な、泣いてまへん!!」


「お、おう、そうか!わりぃわりぃ!ほら、立てよ!一緒にダンジョンから脱出しようぜ!」


目の前に銀髪の女性の手が差し伸べられます。

小さな可愛らしいお手々やなぁ。でも、不思議や。なんでこんなに、彼女の手からは心強く感じるんやろ?

ササラは銀髪の女性が差し伸べてくる手を取り、ゆっくりと立ち上がります。

あまり背が大きい方でもないササラやけど、彼女は一回り(ちい)こい。なんやこんな小こい子が、ササラを助けてくれはったんどすか?


「ん?お前、どこかで見たことあると思ったら、最近話題の転生者だな?名前は…、えっと、なんだっけ?」


「さ、ササラ、どす。」


「ササラ!そうだ、ササラだ!私の名前はトウカ!転生者同士、仲良くしようぜ!よろしく!」


ササラの手を取ったまま、にこりと笑うトウカはん。

異常強化種の黒マルモコに殺されかけ、死の淵で震え切ったササラの体に、彼女の優しさが手の温もりと共に沁み込みます。

いつの間にか、ササラの全身の震えは止まってはりました。代わりに、トクントクンと高鳴る胸の中、ササラの中に何かが芽吹くのを感じたんや。

これがササラの意中の相手、後に銀琴(ぎんごと)のヤクモと呼ばれる、トウカはんとの出会いどす。


まだ胸の高鳴りと、全身の熱の正体に気付かないササラは、自分の体の変化に驚きつつ、その原因から逃れるため、トウカはんにお願いをします。


「トウカはん、いつまでササラの手を握っとるんどすか?熱くてかなわへんから、早う離してくれまへんかえ?」


「お、おう。わりぃわりぃ…。」


全身がふわふわの浮遊感に包まれる中、トウカはんとこれ以上手を繋いでるのは、ササラには無理どす…。体中が熱くなったしもうて、手汗がすごいことになってまう。

助けてもろうたトウカはんに、手汗すごいなって思われるなんて…、ササラには耐えられへん。

やから、ササラはトウカはんに手を離してくれるよう、お願いしたねん。


「かっかっか!!バカ弟子が助けた相手に、拒絶されとる!!やんわりと拒絶されとる!!かっかっか!!」


「うるせぇ、くそじじい!!」


両手を叩いて、大声で笑い出す老人を、いけずやと赤い顔で怒鳴るトウカはん。

あぁ、さっきのササラの言葉は、そう取られてまうんか!?ちゃうねん!!そんな意味でトウカはんに言ったんちゃうねん!!

早う、ちゃうことを伝えなあかん!高鳴る胸と緊張を抑えて、ちゃんと言わなあかん!!ちゃいますって!!伝えるんや、ちゃいますって!!


「じじいの師匠は、あんなボケたこと言ってるけど、私とササラは仲良しだよな?」


「ちゃいます!!」


必死に絞り出したササラの言葉に、トウカはんと師匠はんはポカンとした表情を浮かべます。あれ?ちゃんと、ちゃいますって伝えられたよな?


「かっかっか!!バカ弟子がドヤ顔で、仲良しだよな?って聞いたのに、ちゃいますって言われとるー!!かっかっか!!!」


タイミングー!!

ササラ、ちゃいますのタイミング、完全に失敗してますやーん!!


「ちゃいます!!ちゃいますが、ちゃいますねん!!」


「仲良しなんて言ってごめんな…、ササラ。だから、そんなに仲良しは違うって連呼しないでくれ…。」


ちゃいますねーん!!

ササラの言葉にしょんぼりとしたトウカはんは、師匠と呼ぶ老人と狼のモンスターと一緒に、ササラをダンジョンの外へ連れ出してくれました。ほぼ無言で。気まずそうに。


やってしまいました。ササラ、やってしまいました。

なんでやろ?ササラは転生前も、転生してからの日々も器用にやってきたはずどす。

でも、トウカはんに出会うてからは、胸がトクントクンと高鳴って、頭がふわふわでぼーっとして変な風になってまう。

なんでやろ?ササラはポンコツになってしまったんやろか?


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