【番外1-おまけ】メイドのメイコの素敵なおまけ
この物語はメイドのメイコ目線で語られる番外編のおまけです。
旅立つ坊ちゃま…、いえ、弟のホワイトを見送った私は、サマードレスの袖をひらめかせながら、そばに立つ大男、ダースへと声をかけます。
「ダース。謝らせてください。あなたには、これからこのファストの町の領主として、冒険者を辞め、この町を支えたいただくことになります。私の勝手に突き合わせてしまったことを、深くお詫び申し上げます。」
いくらダースとは言え、彼の人生を大きく変えてしまい、さすがに申し訳なくなった私は深々と頭を下げます。そんな私に、ダースは笑いながら言葉をかけます。
「気にすんな、メイコ…、じゃないのか、今は。ははは、慣れねぇなぁ。」
「子供の頃からの付き合いであるとはいえ、私とダースが出会った時は、すでに私はメイドのメイコでしたからね。」
「あぁ、俺の中ではメイドのメイコなんだけど…、まぁ、それに関しては慣れるしかないから、徐々にだな。ロゼ…、ロゼ…、ロゼ…って、こんなことを言いたいんじゃなかった。」
小さな声で私の名前を何度か呟いたダースは、真剣な表情へ変わります。私も真剣な表情で、ダースの言葉を待ちます。
「ロゼ、俺はメイコが領主の娘という立場を偽ってメイドをしていたとか…、突然ファストの町の次期領主に俺がなったとか…、そんなこと割とどうても良いと思ってるぜ!」
「え?」
「そんなことよりも、大好きな弟のために、俺と婚約したお前のブラコンっぷりに驚いているよ!ははははは!!」
急に笑い出すダース。
彼の人生を変えてしまったことを非難されると思っていた私は、急なダースの大笑いに呆気に取られてしまいます。
弟の旅立ちを見送りに来た方々の前で、私は指差されながら、ダースに腹を抱えて大笑いされます。ダースの突然の爆笑に、呆気に取られていた私も、だんだん恥ずかしくなってきます。頬が熱くなるのを感じながら、ダースに注意をします。
「何をそんなに笑っているんですか!大好きな弟のために、全てを投げ出すのは姉として当然でしょう!!」
「わりぃわりぃ、笑ったことは謝る!だから、そんなポカポカ殴るな!お前の坊ちゃん愛も、すげぇなって褒めてんだからさ!!」
過大評価するダースに、私は小さな声で答える。
「別にすごくないですよ…。」
「いや、すごいだろ!弟のために、自分の幸せを捨てて、俺なんかと結婚するっていうんだからな!」
私のことを過大評価し、自分のことを過少評価するダースに、私は赤い顔のまま、ずんずんと近寄ります。突然の私の接近に怯むダースを下から睨み、腕を組んだ状態で一刺し指を立てて注意します。
「私だって、結婚を申し込む相手くらい選びます…。ダースは…、その…、私の中で弟の次ですよ?」
言いたいことが言えた私は、さらに顔が熱くなるのを感じたため、その場からすたすたと去ります。
「その顔でその言葉は反則だ…。惚れ直しちまうだろ…。」
私にとっての弟の次がどういう意味かを悟ったダースの小さな呟き。
そんな呟きを、メイド時代に培った地獄耳は聞き逃しません。私は意味もなく、当てもなくファストの町の中を歩き回ることにします。
ダースの言葉を聞いて熱くなった頬を冷ますためではないですよ?




