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魔王退治は要件定義から!  作者: 荒井清次
ファストの町編 -初めてのクエストとダンジョンと多くの出会い-
32/150

新武器の性能を共有しよう!

前回のあらすじ:要件定義の続きを行った!


夢から目が覚める。

なんだか、いつもより寝起きが良い。夢の中とはいえ、強敵との戦いに勝利したからかな?気分は晴れ晴れである。

近くにあるはずのメガネを手探りで見つけ出し、今日もがんばるぞと気合を入れ装備。周囲の様子を確認すると、ちょうど太陽が地平線から昇ってくるところ。どうやら早朝のようだ。

うーんと背伸びをしたところで、ふと気がつく。周囲が朝日に照らされ明るくなっていく中、太陽よりも眩しい笑顔を浮かべる少女が一人、私の事を真っ直ぐに見つめていた。


「美雪、おはよう!!」


元気いっぱいの挨拶をしてくれたのは、私の大切な仲間。

鬼火流剛術(おにびりゅうごうじゅつ) (しゅう)の型の反動で、昨晩までスタミナ切れでぐっすり眠っていた(あい)だ。


「愛、おはよう!無事に目覚めたんだね!良かった!」


私の言葉に、愛は元気いっぱいに両手を上げる。


「もう完全回復だよ!今ならあの黒熊二匹くらいなら余裕で勝てちゃうよ!!」


「昨日あんなに血だらけになってブラックベアと戦ったってのに、もう再戦を考えてるの…?まったく…。寿命が縮むような思いは、もうこりごりなんだから、ソロで戦うっていうのは控えてよね…。」


「うん、分かった!ごめん!」


「もう、調子が良いんだから…。今後は、ソロで突っ走っちゃダメよ。」


「でも、おかげで無事にレベル10になれたよ!それに見て、この装備!夢の中で黒熊と再戦したら、強力な装備を手に入れたよー!!」


夢の中でブラックベアと再戦したという話は一旦保留して、愛の両手に装備された、見た事の無い黒い腕甲(わんこう)を確認する。ブラックベアの手を思わせる、大きな爪が特徴的な黒い腕甲。ただならぬ気配が感じる。

そんな黒い腕甲を、愛はドヤ顔で私に披露してくる。その様子に、子供の頃に妹が新しい服を披露してきた時のことを思い出す。こっちは少し物騒だけど。

少しの間、懐かしい気持ちを感じながら、マグカで愛の新しい黒い腕甲の性能を確認する。


名:黒熊剛拳(くろくまごうけん)-(きわみ)-

分類:ナックル

ランク:3

性能:攻撃+60、速度+20、スタミナ+20、スキル+背水

重量:20

説明:強力なブラックベアの力を宿した腕甲。装備した者に、スキル背水を付与する。


「どうー!すごく強いでしょー!苦戦したけど、私すごく強くなれたよー!!どやー!!」


愛はこれでもかっていう位の得意気な表情を浮かべる。


「ふっふっふ、確かに愛は強くなったね…!!でも、強くなったのが愛だけだと思ったら大間違いよ…!!」


「なに!!まさか!?」


私は不適な笑みを浮かべながら、マグカの中からとある武器を取り出す。


「私も夢の中で強敵と戦い、この弓を手に入れたの!その名も、黒影剛弓(くろかげごうきゅう)-(きわみ)-!!どう?強そうでしょ?」


私がマグカから取り出したのは、夢の中で戦った黒い影の戦利品、黒影剛弓(くろかげごうきゅう)-(きわみ)-。


「うおー!!」


私の武器披露に、なぜか愛は雄叫びを上げる。そんな愛の叫びを聞きながら、黒弓の性能を確認してなかったことに気付く。マグカで性能を確認する。


名:黒影剛弓(くろかげごうきゅう)-(きわみ)-

分類:弓

ランク:3

性能:攻撃+45、魔力+10、速度+30、スタミナ+10、運+10、

重量:10

説明:強力なブラックシャドウの力を宿した弓。見た目とは違い、装備した者に幸運をもたらす。


「美雪も強力な武器を手に入れていたなんて…!!しかも、その黒い弓!強者のオーラを感じるよ!!美雪も夢の中で強敵と戦ったんだね!」


「うん!おかげで私もレベル10になったよ!」


「美雪もレベル10になったのー!おめでとー!!」


私のレベル10達成の報告に、愛がとびっきりの笑顔で、抱きついてくる。そのまま、うりうりとおでこを擦りつけてくるので、私は愛の頭を撫でてあげる。死力を尽くした後だからかな?いつもより甘えてくる気がする。

愛のさらさらの髪を撫でていると、私の胸に顔を埋めたまま、くぐもった声で愛が話しかけてくる。


「美雪。ここで私たちが誓い合ったこと覚えてる?」


「ここで私たちが誓い合ったこと?タツヒロに力の差を見せ付けられた後のこと?」


「うん、そう!」


「もちろん覚えてるよ。」


数日前、この場で交わした言葉を思い出す。


「美雪、私強くなりたい!私は突っ走るのが得意だけど、考えるのが苦手だから、美雪にそっち方面のサポートをしてほしい!」

「愛、私も強くなりたい!私は考えるのが得意だけど、考え過ぎて足を止めてしまうから、迷った時に愛に突っ走ってほしい!」


互いの強みで互いの弱点を補い合い強くなることを、言葉と(こぶし)を交し合うことで誓ったあの日。

その時のことを思い出していると、愛が顔を上げ、まっすぐ私を見てくる。


「レベル10になって、少しでもその目標に近づけたかな?」


愛は笑いながら、握った拳を向けてくる。あの日と同じように。


「まだまだかなー!強くなったと言っても、タツヒロの足元にも及ばないからね!」


あの日とは違い、私は拳をぶつけ合うことを拒否する。

ここで拳を合わせちゃったら、なんだか目標を達成したように感じるからね。私たちが目指す強さは、まだまだ先だから!


「はは!美雪は厳しいなー!でも、そうだよねー!もっと強くならないとだよねー!いっぱいモンスター倒して、いっぱい強くなるよー!」


「うん、がんばろうね!」


強くなるという決意を再び固め合ったところで、愛が何かに気付いたように、私からサッと離れる。愛の視線を追うと、ユウジが近付いてきていた。どうやら、甘えてるのを見られるのは恥ずかしいようだ。


「おー、二人とも無事に目覚めたんだな!って、なんで二人して武器を装備してるんだ?」


「へっへーん!よくぞ気付いた、ユウジ!私達、強力な装備を手に入れたんだよー!!どう!どう!!」


愛はこれ見よがしに黒い腕甲をアピールする。さらに、私の手を取り、黒い弓もアピールをする。


「私の装備だけじゃなくて、美雪の弓も見てー!!どう、この弓ー!!強さが滲み出てるでしょー!」


愛は私の手を取ったまま、無邪気にぴょんぴょん飛び跳ね、一回り異常大きいユウジに黒弓をアピールする。なんだか恥ずかしいけど、苦労して得た弓を愛が評価してくれることに喜びを感じる。

ユウジはその様子をしばらく観察した後、にやーっといやらしい笑みを浮かべる。なんだろう、いらっとする。


「お?俺に武器アピールしちゃうー?俺の大剣を見ても、その武器アピールを続けられるかなー?」


にやにやしながら、ユウジはマグカから大剣を取り出す。


「どうだー!!俺の大剣はー!!」


ユウジが得意気に取り出した大剣は、曇りひとつ無く、朝の光を真っ直ぐに跳ね返しキラキラと光っている。見た目の美麗さだけでなく、少しの凹凸(おうとつ)も無い真っ直ぐな刃は、触れた者すべてを切り裂きそうな鋭さを持っている。

それは、並の大剣では無いことが一目で分かるほど、見事な大剣であった。

昨日、ブラウンウルフの群れと戦っている時にも、謎の威圧感を感じていたが、落ち着いてまじまじと確認すると、その見事な造形に思わず溜息がこぼれる。


この大剣のことをもっと知りたいという衝動に抗えず、私達は同時にマグカを取り出し、性能の確認を始める。


名:デュランダル

分類:大剣

ランク:5

性能:攻撃+100+α、不壊

重量:α

説明:神話級の大剣。不滅の刃の意を持ち、決して壊れることなく、驚くべき鋭さを持つ。持ち主の実力に合わせて、攻撃力と重量が増える。


ランク5!?最低でも、攻撃+100!?重量は持ち主の実力で変わる!?

あまりの性能に、愛と私は言葉を失う。


「ねぇ、ユウジ…。そのデュランダルっていう大剣、少し貸してもらっても良い?」


「俺が美雪さんの頼みを断るわけないじゃん!はい、どうぞ!」


神話級の大剣を簡単に貸してくれたことに驚きながらも、渡されたデュランダルを確認する。


「うわ、見た目と違って軽い…。でも、軽すぎずで…。うん、ちょうど良い。非力な私でも不自由なく振り回せそうな大剣…。これはすごいわ。」


「だろー!!俺の筋力アップに合わせて、デュランダルも重量が変わって、常に同じ使い心地!!使ってる側の体感的な重さは変わらないけど、剣の重量は増えてるわけだから、俺の攻撃の威力はどんどん上がるんだぜ!!」


得意気にデュランダルの性能を語るユウジ。


「それに、どんなに強いモンスターの攻撃を受けても、このデュランダルは絶対に折れないどころか、刃こぼれすらしなーい!武器の強靭さに頼った無理矢理な防御も可能!恐ろしい程の切れ味で、弱いモンスターなんて一刀両断!!非の打ち所のない最高の武器だぜ!!」


得意気にデュランダルの性能を語り続けるユウジ。


「そして、その性質を活かした俺のスキル魔法剣(まほうけん)!!このスキルは、魔力を剣に上乗せして武器の威力を爆発的に上げるスキル!でも、その代償として武器の耐久を大きく削り、壊れやすくしてしまう諸刃の剣的なスキル…。だが、デュランダルには関係なし!!なんたって不壊だから、壊れない!!俺のMPが続く限り、爆発的な技を出し続けられるって寸法さ!!」


自分の取得スキルの説明も加え、さらに得意気にデュランダルの性能を語り続けるユウジ。


「そして、ここからが本題!!デュランダルという神話級の武器を持ち、その武器の性能を引き出すことで攻守を隙無く兼ね揃えた男、(たちばな) 勇司(ゆうじ)が、今は所属パーティを探しています!!お試し加入の現状から、本格的な加入への変更を検討してみてはいかがでしょう!!」


得意気なデュランダルの性能語りから、自分を売り込むユウジ。


「えぇ、確かに恐ろしい性能を持った武器ね。驚くことしか出来ないわ。」


私はユウジの説明を聞きながら、手の中の大剣を素直に褒める。


「だろー!美雪さんにデュランダルのすごさが伝わって良かったぜー!!」


「それに、その性能を最大限活用したユウジのスキル選び。素直にすごいと認めざるをえないわ。」


手の中の大剣だけでなく、その持ち主であるユウジも素直に褒める。


「おー!美雪さんになら分かってもらえると思ったよー!転生ポイントを100も使った甲斐があったぜー!」


どうやら、この大剣をユウジは転生ポイントをふんだんに使って手に入れたらしい。

転生ポイントの使い先として、いずれ手に入る追加装備は無いなーと、私はすぐに切り捨てた。しかし、ユウジはその性能に着目し、その特性に合ったスキル選びをし、最適解を導き出していたことに素直に驚く。


私が褒めたことに対して、素直に喜ぶユウジに私はにっこりと笑顔を向ける。


「確かに、この剣もユウジもすごいわ。でもね…?」


「でも…?」


「すごすぎて、腹立つ!!!!」


私は持っていた大剣を地面に叩きつける。神話級の大剣は、カランカランと軽い音を立てながら地面を転がる。


「「なんでー!?」」


愛とユウジが揃って驚きの声を上げる。ユウジは叩きつけられた大剣を素早く拾い、私へ驚愕と疑問に満ちた顔を向ける。そんなユウジに、私は異議を唱える。


「なんでは、こっちの台詞だー!!なんで、このタイミングで神話級の武器を出したー!?」


「えー!?武器の話してたから、売り込みのチャンスかなーっと、自慢の武器を披露したんだけど…?なんで…?」


「まだ分からんか!!愛と私が新しい武器を手に入れて喜んでるところで、神話級の武器を出したら、どうなる?目の前に神話級の武器があって、そこそこ強い武器で喜べるか?愛と私の喜びが薄れるだろうがー!!」


「あ、あー。確かに…。ごめん…。」


「ごめんじゃねー!!今回どころか、これから先も強い武器を入手した時の感動が薄れるだろがー!!今後、星3や星4の装備品を手に入れても、ユウジの星5の大剣に比べたらな…、うーん…。ってなるぞー!!どう責任取ってくれるんじゃー!!」


「これから先も…?ってことは、俺をパーティに入れてくれるんだなー!!」


「何を悲願達成みたいな顔してるんじゃい!!今は、その話は関係ないだろーが!!仲間に加えるとは言ってない!!」


私の言葉にユウジは目に見えて落ち込む。一体、彼の何が、そんなに私達の仲間入りを熱望させているのか。


「まぁまぁ!美雪、落ち着いて!落ち着いて!言葉遣いが悪くなってるよー!!」


ユウジに対してまくし立てる私を、愛は片手で制する。

おっと冷静沈着が売りの私が取り乱してしまった。気持ちを落ち着けなくては…。深呼吸、深呼吸。


「ごめん、愛。冷静さを失ってた。もう大丈夫!」


愛の助け舟と私の言葉に、ユウジはほっと安心した顔を浮かべる。


「大丈夫なら、良かった!!それにね、美雪!確かに、ユウジの武器自慢にはイラッとするけど、怒る必要は無いんだよ!」


「イラッとはするんだな…。」


助け舟を出してくれた愛の突然の辛辣な一言に、またしてもユウジは目に見えて落ち込む。愛の言葉の意味を確認する。


「怒る必要がない?どういうこと?」


「どんなに強い武器でも、所詮はユウジの武器だよ?私の正拳突き一発で、崩れ落ちるユウジだよ?そんなユウジごときが、どんなに強い武器を装備しても、所詮ユウジじゃん。大したことないでしょ?だから、怒る必要はないんだよ!だって、ユウジだから!」


「あれ?助け舟を出してくれたと思った愛ちゃんが、一番辛辣だぞ…。美雪さんも、確かにって顔して頷いてるし…。違うぞ!勘違いするなよ、俺は本当に強いんだぞ!」


愛はユウジの型をポンッと叩く。そして、静かに首を縦に振る。


「おい、虚勢は良いんだよ…、大丈夫、分かった分かった…、みたいな慈愛に満ちた顔やめろー!!本当に俺は強いんだー!!」


愛と私はお互いを見合い、ふーっと溜息を吐く。


「ふーっ、やれやれ。みたいな雰囲気を出すなー!!くっそー、何か実力を証明できれば良いんだが…!!」


ユウジが悔しい感情に満ち溢れた表情を浮かべた時、遠くから声が聞こえてくる。視線を向けると、ダースさんが両手を振りながら、慌てた表情で近付いてくる。


「おーい!!ユウジと嬢ちゃーん!!って美雪さんも目覚めてるな!ちょうど良かった!!早くここから逃げるぞ!!」


歴戦の冒険者であるダースさんが、こんなに慌てるとは…。余程のことが起きたのだろうか。


「逃げる?何かあったのですか?」


私の質問に、ダースさんは慌てた声色で回答する。


「ジャイアントグラスホッパーの群れが近付いてきてるんだよ!!くそっ!!今年は大繁殖の年だったか!!このままじゃ、ここも蹂躙される!!手遅れかもしれないが、逃げるぞ!!」


「ジャイアントグラスホッパー?」


「ジャイアントグラスホッパーは、大型犬くらいのサイズのバッタ型のモンスターだ。強力な脚力で飛び跳ねるが、そんなに強くないモンスターだぞ。」


私の質問に、ユウジが代わりに答える。どうやらユウジはジャイアントグラスホッパーというモンスターと戦ったことがあるらしい。ユウジごときが強くないというジャイアントグラスホッパーが、群れで現れたという話だが、そんな大事だろうか?


「群れって言っても十匹や二十匹じゃないぞ!!あれを見ろ!!」


ダースさんは、遠くの空を指差す。なんだろ、空が曇っているような?


「んー?雨雲が近付いてるのかな?向こうの空は曇ってるよー!!こんなに天気が良いのにね!変なのー!」


「その曇りが、ジャイアントグラスホッパーの群れだよ!!」


ダースさんの言葉に、遠くの曇り空を凝視する。


「確かに、何かが動いてるような…?まさか、あれがジャイアントグラスホッパーの群れ?」


「そう!!空の色を変えるくらいの群れだ!!ジャイアントグラスホッパーの群れは、十年に一度、異常な数で大陸間を移動するんだ!!その数は一万を超えるとも言われてる!!大群で動きながら、全ての草木を食べ尽くし、群れが去った後は、何もない荒野だけが広がると言われている。そんなジャイアントグラスホッパーの群れが、この辺りに近付いてるんだ!!早く逃げるぞ!!」


地球でも、海外では数年周期でバッタの大群が押し寄せ、現地に大きな被害をもたらすと聞いたことがあるが、それの異世界版かな?

慌てるダースさんに、愛は何気ない顔で答える。


「今の話だと、逃げても無駄っぽいよね。」


「無駄かもしれないが、望みはゼロじゃない!!少しでも高いところに逃げるぞ!!」


「逃げるよりも良い方法があるよ!」


愛は得意気に笑顔を浮かべる。


「良い方法?嬢ちゃん、嫌な気はするけど、一応聞くな…。その良い方法とは…?」


「その群れ、私達で倒しちゃおうよ!ちょうど、新武器を試したかったし!」


愛の言葉に、ダースさんは青ざめた表情を浮かべる。恐る恐る私に確認する。


「あの群れと戦う…?冗談だよな、美雪さんも止めてくれるよな…?」


「ジャイアントグラスホッパー単体だと大した事ない。ブラックベアと戦うために用意したポーション、私の矢は…。うん、たんまりとある。あの数と戦うってことは、経験値も多く入るだろうし、途中で何度かレベルアップするよね。そうするとHPとMPが回復するから…。」


「美雪さーん、ぶつぶつと呟いてどうしたのかな…?嫌な気はするけど、一応聞くな…。美雪さんも逃げるのに賛成だよな…?」


「よし、覚悟を決めて、戦いましょう!多分、最後まで戦いきれるわ!逃げるくらいなら、戦った方が良いし!ちょうど、新武器を試したかったし。」


私の言葉に、ダースさんはますます青ざめた表情を浮かべる。どうしたのかな?

恐る恐るといった感じで、ユウジに確認する。


「常識人の美雪さんも戦う気だ…。嫌な気はするけど、一応聞くな…。ユウジ、お前は二人を止めてくれるよな?な?」


「数が多いだけの雑兵だが、良いところを見せるチャンス!!汚名返上!!名誉挽回!!この絶好の機会は見逃せないなー!!行くぞー!!」


「最後の砦のユウジが一番ヤル気じゃねぇか!!喜び勇んで、走り出しちまったよ!!え、本当に戦うの!?あの数に!?無謀だよ!!」


ジャイアントグラスホッパーの群れに走り出したユウジに向かって、ダースさんが大声を上げる。

負けじと愛も大声を上げる。


「おい、ユウジ!!私の提案だぞー!!私より先に走り出すんじゃねー!!私が先陣を切るんだー!!この黒熊剛拳でボコボコにしてやるんだからー!!負けないぞー!!」


「嬢ちゃんも負けじと走り出しちまったよー!!そして速いなー!!あっという間にユウジを抜き去っちまったよ!!」


ジャイアントグラスホッパーの群れに走り出した愛に向かって、ダースさんが大声を上げる。

負けじと私も大声を上げる。


「こら、愛!!ソロで突っ走っちゃダメって言ったばかりでしょー!!それに、新しい装備を試したいのは愛だけじゃないんだよー!!私の黒影剛弓にも見せ場を残しなさーい!!」


「後方支援のはずの美雪さんも、走り出しちまった!!そして速いなー!!なんでユウジを抜き去っちまうんだよ!!嬢ちゃんに負けない速さじゃねぇか!!後方支援キャラじゃないのー!?」


後方で、ダースさんが何か叫んでる気がするが、走り始めた私の耳には届かない。


「あーくそっ!!俺も行かなきゃいけない雰囲気じゃねぇか!!せっかくブラックベアとの戦いでも、生き残った命なのにー!!こうなったら、やけじゃー!!」


どうやら、ダースさんも覚悟を決めたらしい。私達にだいぶ遅れながらも走り出す。

こうして、私達はジャイアントグラスホッパーの群れと戦うことになった。


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