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ミラと金銀の眼

 

 ミラはそばにあったリンゴを食べた。

 美味しくて甘かった。


「食べてもらいたかったなぁ」


 ミラはこの村の人たちが生きていると思ってる。

 なぜなら誰の遺体も残っていないからだ。

 だから不安なだけで怖くはない。


 しかし、だんだんとわかってきた。


 これから自分は一人で生活するのだ。と

 父親はきっとまだまだ帰っては来ないだろう。

 次に帰ってくるまで自分一人で生きていけるだろうか。


 無理だと悟った。

 いくらリンゴなどの食料があったって

 村が崩壊した今、周りの獣たちは何のためらいもなく

 村に侵入するだろう。そして肉がないか、家を探りにくるだろう。

 たとえ見つかればほぼ命はないことくらい、ミラにもわかった。

 とはいえ、自分では何もできない。


 ミラは自分の無力さを痛感した。




 いつしか夜になった。


 リンゴの箱は、隠れるのにもってこいであった。

 ここならきっと見つからないだろう。


 そんな安心感がミラの睡魔を誘っていた。

 いつもであればとうに寝ている時間だった。

 ウトウト、ミラは眠気に身を任せようと思った。

 瞳を閉じる。大きなあくびが出る。



「カサカサ」


「!」

 木々の葉の触れ合う音とは別の音である

 何か動いている!


 血に飢えた獣か、それとも、、、


 呼吸を殺す。しかし、涙は止まらない。

 体が震え、それを止めるために必死に腕を抑える。

 口からは嗚咽が漏れる。

 それを聞かれたのか、


 闇に二つの目が浮かんだ。

 もう恐怖は最高潮に達し、それをあふれていった。

 溢れれば、止まらなかった。

 この恐怖は理性でどうこうできるものではなかった。


 目が近づいてくる。

 金と銀の目であった。

 ミラは、家族に、そしてこの村の人たちに

 申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

 もう死ぬだろう。何の抵抗もできずに。

 目を改めて閉じる。

 深い息を吐く。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・」

「・・・・」

「・・」

「 」




「だいじょうぶだよ。」


 その目は言った。小さな声で

 この世の全てを優しく、そしてあたたかく包み込むように。


 ミラはその声の主を見ようとしたが

 その前に、安心からなのか

 ミラの中で、糸がプツンと音を立てて切れた。


 その双眼を持つ、秀美な猫の姿を見たのが

 ミラの目を閉じる前に見たものであった。

短かったですか?

すみません。

次回で「彼」とミラとの過去物語?は幕を閉じたいと思っております。

次々回からは、冒険の幕へと入っていければと思っております。

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