ネオの救助
「やはり、ここにはもう何もないのか。」
いや、正確には何もないわけではなかった。
彼が入ったその家の一つの棚に
幼い子供とその母親とおぼしき人物が一緒に笑って写っている写真があった。
この家族は逃げることができたのだろうか。
いや、それはないだろう。
彼は改めて自分が生きていることを呪った。
ふと、ネオに呼ばれた。
「おーい!助けてくれー」
何かに引っかかったのだろうか
全く面倒臭いと思いながらも、することがないので
ネオの呼ぶ方へ行ってみる。
「お、おい、やめろ!俺のしっぽで遊ぶな!」
「はいはい、どうした〜?」
見ると、そこには少女がいた。
泣きながら、ネオのしっぽをむんずと掴んでいる。
「おい、助けてくれ!」
ネオは必死になってわめいている。
彼は安堵の息をついた。
人がいてこんなに嬉しかったことが今まであったろうか。
しかし、
その少女は彼の姿を見るとすぐさま、
ネオのしっぽを離し、壁の向こうへ逃げ隠れてしまった。
「ひどい目にあった。全く、とんでもない輩がいるものだな。」
ネオが呟いているのをしり目に彼は先の少女を追って行った。
少女は瓦礫の隙間に入って行ってしまい、彼にはどうすることもできなかった。
代わりに彼は呼びかけてみた。
「おーい、君、大丈夫〜?」
返事はない
「怖くないぞー、 参ったなぁ」
この村がなぜこうなってしまったのかを詳しく知りたかったが
出てこないようでは、聞きようがない
仕方ない、ネオを連れてくるとしよう。
「ネオ、あの子を呼んで来てくれないか。」
「えっ!さっきの?あの子を?
しかもただでさえひどい目にあったっていう僕に対して!?」
「あ、そうだ。ポケットの中にマタタビ入れてるんだった。
連れてきてくれたらあげようかとは思ったけど、、、、」
「えっ!?」
「まあ、しょうがないか。ネオが連れてきてくれないんなら」
「ちょっと待て、さっきのは冗談だよ〜、僕が親友の頼みを聞かないわけがないだろう」
そういうとネオは少女が隠れている方へ行った。
「おーい、どこだー、僕が行きたくもないのに自ら来てやったぞー」
ガサッ、
音の方へ目をやると、半べそ顔の少女が机の影から顔だけヒョコと出して
こちらをじっとみている
そこでネオは言う。
「ほら、おいで。怖くないよー。」
すると、身をかがめながら恐る恐る少女は出て来た。
そして周りにこの猫以外誰もいないのを確認する。
そして
猫に猫扱いされたのが悔しかったのだろう。
その少女はネオのヒゲを両手で引っ張った
「何すんだ!痛いじゃないか。
だから嫌だったんだよ、全く何て僕はお猫良しなんだろう。」
「っしゃ、喋った、、。」
「え、何。今更?」
「すごい、何で喋れるの?」
「え、そう?すごい?だよね、知ってた。
やっぱり僕天才だからさ何でもできちゃうんだよね」
「え、どうやって喋ってるの?」
「いや、だから、僕が天才だから。」
「いや、そういうの、つまんないから」
(この子冷めてる)
「まあ、あいつの魔法だな。あれで喋れてる」
「あいつって、さっきの男の人?」
「うん、そうだ。見た目は、、、ダサイけど
優しいぞ、意外とな。」
「その人、魔法が使えるんだよね?」
「さっき言った通り、使えるぞ」
「ホントにホント?!」
「あー、もう、ホントにホントのトゥルーです!」
ネオの答えを聞くやいなや、少女は外へ駆け出した。
駆けながら言った。
「おにぃさん、魔法使いでしょ!お願い村を元に戻してーー!」
ズシャァァァーーー
少女は雨で泥々の地面をカーリングのように滑った。
その滑りは彼の前で止まった。
そしてその少女は泥でまっ茶色になった顔を上げて、また言う。
「お願い!」
「・・・」
場面的にまだ少し、シリアスふーにしなければ
後に続かない気がしたのでご了承。
これからよろしくです!!